高校生、卒業前の「ルス」(RUSS)の洗礼式

公開日 : 2011年04月28日
最終更新 :
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 4月後半から5月前半にかけてノルウェーの至る所で見られる赤いオーバーオールを履いた若者たち。彼らはルス(RUSS)と呼ばれる卒業を目前に控えた高校生たち。この時期、彼らはアルコールを飲みまくり、毎日大騒ぎをすることをオフィシャルに認められています。

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 今回は「Dåp」と呼ばれるルスのイベントのひとつをご紹介します。

 「Dåp」(ドープ)は「洗礼式」という意味で、ルスの記念すべき第1日目に行われる、いわゆるお祭り騒ぎ初日のオープニング儀式。ルスの洗礼式は学校にもよりますが、4月18日から5月1日の間に行われるのが一般的なようです。洗礼式の日程や儀式の内容は学校側が決めることもあれば、高校生たちが自ら率先して決めます。

 写真の高校生たちは自分たちのクラスで洗礼式の日付を決めたようです。理由は、彼らの高校でルスたちを取り仕切る「ルス委員会」がしっかりと機能していないから。

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 「洗礼式」なので、ルスのリーダーが「司祭」(ノルウェー語で「ルッセ司祭」)とされ、「聖水」の代わりに「ビール」の洗礼を受けます。司祭から頭にビールを浴びせられ、笑顔になる高校生たち。ノルウェー人は多くがプロテスタントですが、日本人のように(?)宗教は日頃あまり意識していません。ルスにおける「洗礼式」も宗教を意識していというよりは、ルスの恒例行事の一貫として楽しんでいます。ほかの宗教を信仰している高校生は「ルッセ司祭」という言葉は使わずに、例えばイスラム教の高校生たちは、イスラム教の指導者を示す「イマーム」にちなんで、リーダーを「ルッセ・イマーム」と呼びます。

dåp5.jpgのサムネール画像

 ルスの間は毎日大騒ぎして飲みまくります。「親は心配しないのか?学校は何も言わないのか?」と思うかもしれませんが、ノルウェーでは18歳以上はもう「大人」。保護者や学校側は、大人である彼らに「ああしなさい、こうしなさい」と指示は出さないのです。

 高校生のムラちゃんに「そんなに飲んで遊んで、お母さんたちは心配しないの?」と聞いたところ、「心配してるよ。アルコール依存症にならないか、性暴力の被害にあわないかとか。でも、ルスのほとんどは"親が心配してるだろう"とかって考えてないかも。だって、18歳以上の大人には親はなにも口出したりしないもん」。

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 ルスの高校生たちにとって重要な意味を示すルス帽子。各高校生はルスの期間中は自分たちに特別なニックネームをつけて、その名前を帽子に書きます。洗礼式のこの日にこの高校生たちも帽子にルス期間限定ニックネームを書きました。

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Photo: Astrid Molle Elisabeth Sjo

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