<インタビュー>北欧ノルウェーで英語留学 交換留学生の学生ライフを垣間見る

公開日 : 2012年06月13日
最終更新 :
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 「英語留学」というと、アメリカやイギリスなどの英語圏がまず頭をよぎるかもしれないが、実はノルウェーも英語で勉強ができる国ということをご存知だろうか。

 ノルウェーの公用語はノルウェー語だが(ブークモールとニーノシュクという2言語)、ノルウェー人は驚くほど英語がペラペラ。大学では英語での講義が多く用意されている。

 首都オスロにあるオスロ大学に通う日本人の交換留学生は、英語で授業を受けている。オスロ大学への日本人留学生は毎年約20人前後とまだまだ少ない。ノルウェーで就職するとなると話はまた別だが、1年間英語で交換留学をするのであれば、ノルウェーを留学先の候補に入れてみるのもいいだろう。ちなみに筆者は、1年間の交換留学ではなく、正規の大学生としてメディア学を専攻しているのでノルウェー語は必須(加えてスウェーデン語、デンマーク語、英語も授業では使用する)。

 今回は、オスロ大学に通う交換留学生の木村 理恵さんにインタビューをしてみた。オスロ大学での学生ライフはどういうものなのだろうか。

Norway

 関西学院大学国際学部の木村 理恵です。

 2011年の8月にノルウェーに来て、今はオスロ大学での2学期目を終えたところです。

 小学生の頃にオーストラリアにホームステイしたことがきっかけになり、英語を学び始める前から外国に興味がありました。

 そして、このノルウェーでの交換留学は私にとって始めて経験する約1年の海外滞在でした。

写真:木村 理恵さん(写真左)

※ノルウェーの大学生の1年は、前半の秋学期と後半の春学期の2学期制

なぜ留学先で「ノルウェー」の「オスロ大学」を選ばれたのですか?

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 英語のスキルをまず一番に伸ばしたかったので、ネイティブランゲージが英語である国に留学したいと思っていました。 しかし、私の大学ではアメリカへの交換留学を希望する場合、TOEFLという英語の試験で高得点を取る必要があり、また実際にアメリカに行くことができる学生の数も決められていて、その枠が少数でした。 私のスコアはアメリカに行くために必要なスコアにわずかしか届かず、その結果、ただ「北欧へ行ってみたい」という小さな興味から選んだ第二志望の「ノルウェー」に決まってしまいました。

 「オスロ大学」に決めたのは、私の大学の枠にはオスロ大学か、ノルウェー科学技術大学しか選択肢がなかったからです。 私の勉強分野は科学とは関係がなかったので、最終的にはオスロ大学に決めました。

 最初はただの小さな興味だけでしたが、調べてみるとほとんどのノルウェー人が英語が上手だと知り、英語を学びたい私にとっては良い国だとわかりました。 実際に住んでみて、若い人からお年寄りまで本当に上手に英語を話すので、ノルウェーに決まって良かったと思っています。

オスロ大学のキャンパスはどのような雰囲気ですか?

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オスロ大学ではノルウェー語ができなくても、英語だけで1年間を過ごせるのでしょうか

 問題なく過ごせます。実際、私は秋学期にノルウェー語の授業を受けただけなので、ほとんどノルウェー語を話すことはできませんが、問題なく快適に学生生活が送れています。

どのような授業を受けているのですか?

 最初の学期では、留学生用の「英語」の授業や「ノルウェー語」といった言語の授業を中心に受けていました。またノルウェーは福祉が充実していることで有名なので、「ノルウェーの福祉」についての授業も取りました。後半の学期では、より難しめの「経済」と「法学」を取りました。 英語で学ぶ経済、法の授業は日本語で受けるよりも難しく感じたので、オスロ大学での私の2学期目は大変でした。

英語での授業は、正規のノルウェー人の大学生と混ざって受けているのですか?

 基本的に、交換留学生用の英語科目やノルウェー語以外では、ノルウェー人の学生と混ざって授業を受けます。

英語での科目なのに、ノルウェー人がノルウェー語で質問することも

 2学期目に受けた経済の授業では、多くの学生がノルウェー人でした。 セミナーなどで、ノルウェー人の学生の割合が多くなってしまうと、学生が先生にノルウェー語で質問したりすることがあり、交換留学生の私はまったく理解できないので、困ります(※セミナーでは、討論や話し合いが中心となる)。だけど、そういう時は、たいてい先生は英語で対応しなおしてくれるので、授業についていけなくなるという支障をきたすことはありません。

交換留学生用の英語科目は、日本人学生やほかの留学生とかぶりやすい

 交換留学生用の英語科目、ノルウェー語のクラスでは、交換留学生ばかりなので、友達ができやすいです。 ただ、やはり日本人学生とかぶりやすい科目でもあります。ノルウェー語ではクラスがたくさんあるので日本人とかぶる確率も低いかもしれませんが、交換留学生のための英語はクラス分けがないので、かぶる確率は高いです。

授業ではどのような点で苦労されますか?

英語を聞きながらメモを取り、授業を理解する

 私がすごく苦労したのは、パワーポイントを使って授業をしない先生の授業の時に、自分でノートをとらないといけなかったことです。まず、自分で英語を聞き取れないと、メモもできません。けれども、私は「自分でメモをとりながら、英語で授業を聞く」形式に慣れていなかったため、どんどん授業は進んでいって、ついていけなくなったりしました。

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 また、ある授業では、先生がノルウェー語なまりのまま英語で説明していました。先生は、さらに早口だったため、聞き取るだけで必死だった私は、ノルウェー語なまりの英語にすごく苦戦しました。討論などの授業をとっていなかったけれど、普通の授業形式のレクチャーでも、突然先生が「日本出身の人!」などといって、日本人に日本のことを質問したりすることがありました。そのとき、「日本人なのに日本のことを十分に知らないな」と思い知らされたことを覚えています。また、他の国出身の学生たちは、自分から進んで発言したり、自国のことを話せたりして、日本についての知識の薄さを思い知らされると同時に、すごく良い刺激を受けました。

大量の宿題と予習の日々

 どの授業でも宿題や予習がありますが、毎週50ページくらいは当たり前。ときには100ページほど1週間で1つの科目だけのために読まないといけない授業もあります。毎週読んでいないと、試験前に大変なことになります。

ノルウェー語の授業も受けていますか?

 秋学期にノルウェー語の授業を取りました。テキストを使って進めていく授業形式で、文法はもちろん、発音、会話も練習します。試験は、クラスメイトの前でノルウェー語でプレゼンテーションをする「オーラル試験」と、「筆記試験」でした。

ドイツ人などヨーロッパ圏の学生が多いと、ノルウェー語の授業のレベルが高くなる?

 ドイツ人の学生が多いと、授業についていくことが多少大変になります。ドイツ人は、ノルウェー語と似ているドイツ語を話すので、習得がほかの学生よりずっと簡単のようです。私にとって、ノルウェー語は日本語と全く違うので、ついていくのが本当に大変でした。やはり、ヨーロッパ圏の国の学生にとって、ノルウェー語は学びやすいのかなと、差を感じました。

課外活動はされていますか?

 オスロ大学で「AIESEC」という、学生が運営する1番大きな団体に所属しました。私が担当していたチームの活動内容としては、「海外でインターンシップがしたいノルウェー人の学生をインタビューし、インターンシップする会社を見つけ送り出す」ことです。

学生活動でレベルの高い英語力を身につける

 AISECでは、普段友達と話している時のような雰囲気があまりなく、もう少しオフィシャルな環境で英語を使わないといけなかったので、自分の英語力を試すことができたかなと思っています。例えば、インタビューも私がしないといけませんでした。電話でのインタビューなど単に学生生活を送っているだけでは得られない機会だったので、良い経験だったと思います。またもちろんそこで友達も増えました。試験との両立が大変でしたが、時間を有効活用するのが上手になった気がします。

学生寮での生活を簡単に教えてください

 多くの交換留学生、ノルウェー人学生が住んでキッチンやバスルームをシェアするので、友達をつくったり交流したりするのに良い環境だと思います。私の住むKringsjåではバスルームを1人とシェア、キッチンを6人とシェアする形で、1ルームプライベートの部屋ももらえます。一人の時間もしっかりとれるし、フラットメイトとご飯を食べたりもできて楽しいです。安いスーパーも目の前にあるので学校帰りに寄れるし、すごく便利です。

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 大学で出来た友達もたくさんこの学生寮に住んでいて、よく「キッチンパーティー」などを開いたりします。みんなでご飯を作ったり、自分の国の料理を作ったりするので、楽しいです。フラットメイトがキッチンパーティーをしていても、気軽に参加できるので友達がつくりやすいと思います。ただ、ほかの学生のキッチンパーティが夜中遅くまで続くこともあります。私の住む上の階では夜中の3時になっても音楽が鳴り止まないこともありました。寮の建物によってはすごく古い場所もあり、バスルーム、キッチンをどれだけ掃除しても汚いというところもありますね。

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今後留学を考えている方々に、「物価が高い」ノルウェーで、生活するうえでのアドバイスをお願いします

スーパーでは節約のために、安いメーカーの商品を選ぶ

 ノルウェーでは食べ物の物価が本当にすごく高いです。食べ物は生きるために必要なので買うしかありませんが、スーパーで安いメーカーを見つけることができます。例えば、「トマト缶」など、普通に買うと高いですが、安いメーカーのトマト缶もあります。たいていの食品にこの安いブランドがあるので、あまり健康に良くないと言われているようですが、私は気にせずにそのブランドを買います。

高価な大学の教科書代、図書館でコピー&セカンドハンドを利用

 テキスト代は本当にびっくりするくらい高いです。テキストのすべての章を授業で扱うことは少ないので、友達の中には毎回レクチャーの前に授業で扱うところを図書館でコピーして読んでいた人もいます。あるいは、セカンドハンドのテキストも少なくとも普通に買うよりは安いです。

「雪国」ノルウェーで生活をしていて驚いたことはありましたか

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これからノルウェーへの留学を考えている方々にぜひ一言お願いします

 英語圏でないからといって不安に思うかもしれませんが、大丈夫です。英語もしっかり学べます。ノルウェー人は英語が上手だし、日常で困ることといえば「スーパーでの食品の表示がノルウェー語」であるというくらいです。

 私も最初はすごく不安でした。けれども、「交換留学生として留学する限り、どこの国に留学しても友達になる人の多くは交換留学生だった」と思います。だから、結局アメリカに留学していても友達の多くは交換留学生だったでしょう。もちろん、ノルウェーにも英語ネイティブ話者が交換留学生としているので、ノルウェーでもネイティブ話者の友達はできます。

 ノルウェーの国、人の特色、文化などすべて含めて、私はノルウェーに留学することができて本当によかったと思っています。ノルウェーに住む日本人交換留学生はまだまだ少ないので、是非ノルウェーに留学にきて、英語も学びつつ、ノルウェーのこの大自然に囲まれた生活を楽しんでほしいです。

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