オスロ・ジャズフェス2016/レポート2 音楽と文学を50:50にした新文化と、妖艶な歌姫
ジャズフェスの2日目がスタートした。プログラムを見た瞬間、「あ、聞きに行こう」とすぐに思ったのが「ファルディスナッカ」(Ferdigsnakka)だった。50%は音楽、50%は文学となった融合エンタテイメントカルチャーとでもいおうか。「コンサートは楽しく聞けるのに、なぜ文学の朗読会では居眠りする人がいるのか?一緒にしちゃえ!」という試みからスタートした。文学をラップやポップの生演奏で聞けるという演出は、若者の間で評判となった。これまでも、幅広いジャンルのイベントでFerdigsnakkaを見かけてきた。そういえば、まだジャズ版では体験したことがなかった。
ちなみに、この団体は、以前「北欧ノルウェーのおしゃれなカルチャー雑誌FANFARE 日本語版が初リリース!」でも紹介した雑誌の創設者と同じ人物、シンネ・オーヴェルラン・クヌーツェンさんによって創設されている。Ferdigsnakkaは2015年1月にスタートしたのだが、今年なんとジャズフェス・デビューという快挙を果たした。
バンドはBroen & Moskus、そして4人の文学者、Kjartan Fløgstad、Vigdis Hjorth、Geir Gulliksen、Lars Saabye Christensenが、順番にボーカリストとなって共演した。
音楽を、これまでとは違った形で楽しみ、新しいファン層をフェスティバルに誘い込むという挑戦は、ぜひ評価したい。この団体の作品は、高度なノルウェー語がないと話している内容は理解することができない。しかし、雰囲気だけでも、「これまでの音楽や文学とは違うぞ」ということは、肌で体感できるだろう。日本版でこういうものがあったら、面白そうだ。
会場は、カール・ヨハン通りにある Nasjonal Jazzscene 。ジャズ好きが集まるコンサート会場で、旅行者も気軽に立ち寄れる。
オスロで最も人通りが多いこの通りで、小さな入口を抜けて入った瞬間、ひっそりとした、数十年前にタイムスリップしたかのような、ジャズ独特の世界が広まっている。この場所は、とても神秘的で特別だ。音楽好きの旅人の方は、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。
この夜の締めは、カール・ヨハン通りから、中央駅を通り過ぎ、オペラハウスへ。ノルウェーのジャズ界の歌姫Hilde Louise AsbjørnsenとKABA ORCHESTRAの夢の競演だ。
ジャズフェスのプログラムを見るとき、「会場」というのは、アーティストの現在の実力を見極めるひとつの指針となる。オペラハウスは、その頂点だ。フェス期間中、ここでコンサートをすることを許され、チケットを大量に売ったのは、このグループと、初日のヤン・ガルバレクのみ。知名度と集客力がなければ、オペラハウスは観客で埋めることができない。
Hilde Louise Asbjørnsenの歌声は初めて生で聞いたのだが、聞きほれてしまった。あの妖艶さと魅力はどこからくるのだろう、またコンサートで聞いてみたいと思わせた一人だった。
Photo&Text:Asaki Abumi
Yahoo!JAPAN「ジャズ業界の未来とデジタル化がもたらす音楽文化の課題/ノルウェー」
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