国際イプセン・フェスティバル2016 ノルウェーというお国柄を知ることができる、「現代社会の苦悩」がずらり

公開日 : 2016年09月13日
最終更新 :
EID_77881 (1).jpg

Foto: Øyvind Eide/"Vildanden + En folkefiende - Enemy of the Duck"

 ノルウェーを代表する劇作家ヘンリック・イプセン。各国の劇団が集まり、イプセン作品を独自の解釈で上演する演劇祭が幕を開けた。同演劇祭は、今年で15回目を迎え、9月8~25日の18日間、国立劇場をはじめとする、オスロ市内にある11か所で、40以上の催しものが開催される。

IBSEN-PEERGYNT_4_foto_Paula_Reissig.jpg

Foto: Paula Reissig"IBSEN: PEER GYNT"

 イプセン演劇祭の面白さは、歴史ある伝統的な作品をそのまま再現するのではなく、驚くほど奇抜に、各国の劇団が、現代的な解釈で「改造」しているところだ。性的なシーンもあり、一部はお子様向けではない。社会問題や難しい人間関係が主なテーマとなっているが、問題提起は現代のものに変更していることもある。同じ作品でも、劇団によって、まったく再現方法が異なり、何度みても、新しい作品を見ている気分に襲われる。今年のプログラムにある作品『野鴨+民衆の敵-鴨の敵』については、Yahoo!JAPAN「なぜ演劇、音楽祭、高校文化祭が政治的に?ノルウェーという国は、「石油」なくして語れない」でも紹介中。

2058FOTOGisleBjrneby.jpg

Foto: Gisle Bjørneby/"Hedda Gabler - Teater Innlandet"

 筆者も2年前のイプセン演劇祭を取材したが、作品を見れば見るほど、人間というものの複雑さを考えさせられ、また、ノルウェーやノルウェー人という、この国独特の価値観を理解する手助けとなる。ノルウェーのライフスタイルや考え方をもっと知りたいという北欧ファン、留学生の方々など、演劇ファン以外の人々にも、ぜひ試しに一度見てみてもらいたいと思う。

EID_6383.jpg

Foto: Øyvind Eide/"Borkman"

 唯一、この演劇祭に課題があるとすれば、「字幕」だろう。これは2年前にも感じて、演劇祭の関係者に伝えたが、あまり大きく改善されていない印象を初日に受けた。字幕の位置が、見にくい場所にあり、字幕と演劇のどちらかが集中して見れないこと。また、オリジナル言語のセリフが、字幕では大幅カットされていることがある。そのため、鑑賞前に、できるだけインターネットなどで、事前に作品のあらすじを頭に入れて、予習しておくことを強くおすすめする。

_DSC36302.jpg

Fotograf: Gisle Bjørnebye/オスロ中心地にある国立劇場はアクセスも簡単

 ほかにも、国立劇場やイプセン博物館の見学ツアー、トークショー、俳優たちとの交流会など、様々なイベントが開催中だ。この期間、オスロにいる方は、一晩カルチャーナイトを体験してみてみるのはいかがだろか。プログラムやチケット購入の詳細は、公式HPにて

関連記事2014年

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。