日仏交流のパイオニア、佐賀商人・野中元右衛門の慰霊祭を開催

公開日 : 2015年06月20日
最終更新 :
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幕末、日本が開国した時に、佐賀藩が対外貿易を任せた人物の一人に、同藩の商人・野中元右衛門という人がいました。その元右衛門の慰霊祭が、6月28日(日)にパリのペールラシェーズ墓地で行われます。

江戸末期、今までの秩序が崩れ各藩が軍備の増強などをしていく中で、佐賀藩も海外貿易により富国強兵政策を進めていました。その佐賀藩で、軍艦購入のための資金繰りを行うなど、手腕を発揮していた1人が元右衛門です。彼がフランスの地を踏むきっかけとなったのが、1867年にパリで開かれた第二回万国博覧会。同博覧会で、日本からは幕府、薩摩藩、佐賀藩がそれぞれ出品することになりました。そこで元右衛門が佐賀藩の渡仏メンバーに抜擢されたのです。

元来、元右衛門は身体が丈夫ではありませんでした。そのため家族はフランス行きに反対しますが、それを押し切り渡仏します。一行は船で南方を回り、エジプトを経由してパリへ到着しました。しかし長旅がこたえたのか、元右衛門は現地で急病に襲われ亡くなってしまいました。その後、パリ市内の墓地・ペールラシェーズに埋葬され、故郷の佐賀へ戻ることなく、今もパリで眠っています。

現在、日本人にとってもフランスは、人気ある渡航先になっています。ビジネスでも多くの人が訪れています。元右衛門は命をかけて渡仏し、日仏交流の原点の1つを作った人です。子孫の方々により墓の管理はされていましたが、さらに広く元右衛門の功績を見直そうとことで、パリの有志により立ち上げられたのが今回の慰霊祭です。

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当日は3部構成のプログラムで進められます。慰霊祭は欧州駐在神職・奥谷公胤さんにより執り行われ、慰霊祭では雅楽の生演奏も行われます。佐賀県人会などパリの佐賀県関係者も列席する予定です。慰霊祭の前後には、有志のボランティア解説によりショパンやイヴ・モンタンなど、有名人の墓を巡るペールラシェーズ墓地散策も行われます。参加費はすべて無料。途中参加・途中解散も自由です。

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筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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