海外でも使える国民健康保険! ただし注意も必要

公開日 : 2015年09月14日
最終更新 :
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海外旅行へ行く前に海外旅行保険に加入する人も多いと思います。事前に保険に入っていれば、海外で病院にかかった時にその費用をカバーしてくれるため、高額の医療費を自己負担することを避けられます。クレジットカードに付帯している場合もありますね。じつは日本の国民健康保険でも、加入者は海外での医療費の払い戻しを受けられるのです。

外務省の公式サイトによれば、国民健康保険とは「農業者や自営業者、民間企業を退職した方等が加入するもので、各市町村がその市町村に住所を有する方(健康保険組合等に加入する方を除く)を加入対象として運営」されたものです。その国民健康保険加入者には、海外に短期渡航した際、海外療養費が支給される制度があります。つまり日本の保険で、海外の医療費をカバーできるのです(医療目的の渡航は除く)。

今回、同ケースに関わることがあったため、使い方を記しておこうと思います。

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まず海外で病院へ行ったら、その場で医療費は全額負担しなくてはいけません(即金が必要! )。その後、健康保険組合等に請求手続きをすると、同組合等が負担する分の医療費が戻ります。手続きには、「療養に要した費用の額がわかる書類(診療報酬明細書や領収明細書等いずれも日本語翻訳文を添付)」が必要です。戻る額は、日本国内で同じ保険診療を受けた場合が目安になります。

外務省によれば、同制度の詳細は各市町村の保険担当窓口に問い合わせくださいとのことなので、私が関わった自治体の場合を説明します。役所によれば、申請時に必要なものは次の5点でした。

診療内容証明書(日本語翻訳文添付)

領収明細証(日本語翻訳文添付)

保険証

印鑑

預金通帳

パスポート

ただし、これらを揃えれば、すんなりと申請が通るものではありませんでした! 診療内容証明書および領収明細証は、現地の病院(在留邦人が多く来るため、国民健康保険での対応に慣れている)で、国民健康保険を使う旨を伝え、出してもらったものですが、その後、日本の役所へ提出したところ、現地の病院で「これで申請可能」と言われた診療内容証明書が、窓口で受理されませんでした。

役所によれば、最近は特に保険の審査が厳しくなっており、現地で記入してもらった診療内容証明書の内容より、さらに詳細が書かれたものが必要だそうです。役所規定の用紙もあり、これに記入してもらうのが、もっとも良いとのことでした。

怪我は不慮に起きますし、その時に役所規定の用紙を持っていることの方が少ないです。しかし役所によれば、その用紙を旅行前に役所で受け取り、万が一のことを考え、それを常に携帯して旅行へ出かけてください、とのことでした。

海外の同じ場所を何度も訪れる人は多くありません。一度帰国してから現地の病院とやりとりし、再び書類を作成してもらうのには大変な労力がかかります。国民健康保険を海外での保険の一手段として考えている人は、まず出国前に役所へ出向き、担当窓口で相談することをお勧めします。

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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