日本の実験的音楽&アートを紹介するイベント「Japan Tribute」がパリで開催

公開日 : 2018年03月04日
最終更新 :
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パリ市は毎年、フランス政府公式のフランス語学校・文化センターであるアンスティチュ・フランセと協力して、パリ市と姉妹都市の関係にある都市と「タンデム」という名の文化対話イベントを行なっています。

タンデムの目的とは、その年のパートナー都市と共に、互いに相手都市の文化シーンの活力を住民に紹介すること。これまでブエノスアイレス、ベルリン、ダカール、ローマ、ロンドン、ニューヨーク、マドリードなどの都市と開かれてきましたが、今年は日仏友好160年という節目であることから、パリ市は東京都と組んでタンデムを実施しています。

そのタンデムの一環として今月3日、パリ19区のアートスペース「104(サンキャトル)」にて開催されたアートイベント「Japan Tribute」を見学してきました。今回のイベントでは、フランス国立視聴覚研究所のフランス音楽研究グループによって、日本の実験的音楽のアーティスト5組が選ばれ、プログラムを披露しました。

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21時に開場し、まず観客を迎えたのが斎藤麗さんによるフード・パフォーマンス。キュイジーヌ・エグジスタンシェルと名付けられた、実際の食材で作られ食べることもできる、観客参加型および一期一会のインスタレーションです。作品の周りでは、皆ひとしきり鑑賞した後、次々と手を伸ばし、作品を口の中へぱくり。最後にはすっかり無くなってしまいました。

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次に行われたのがトモコ・ソバージュさんによるパフォーマンス。使うのは水を張った磁器のボウル、水中マイク、電子機器です。水滴がボウルに落ちる高く響く音から、砂嵐のような音まで、水を使った多様な音をその場で作り出して、それらを組み合わせ、音楽を紡ぎ出します。

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3番目に登場した和田永さんのプログラムは換気扇サイザー。和田さんは、役割を終えた古い家電を、電子楽器として演奏します。今回使用したのは10機の換気扇。換気扇の裏に照明を取り付け、換気扇の羽根が回ることによって漏れる光を太陽電池で拾い、その光量の差を電気の波の加減として音にします。換気扇の羽根の枚数を変えることで音階を作り、モーターの回転数を変えながら演奏します。

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次に行われたのが中山晃子さんのライブペインティング。その場で絵を描くだけでなく、インクやさまざまな材質のものを加え、その混ざり具合と、あらかじめ用意された自然の造形美の写真を組み合わせて、音楽と共にライブでスクリーンにその移り変わる様子を投影していくというものです。刻々と変化する映像に見入ってしまいました。

その後、私はうっかり帰宅してしまったのですが(勘違いして、すべて終わったと思っていました......)、じつはもう一つプログラムが残っていまして、それが4人組のインストゥルメンタル・バンドLITEによるライブ。こちらもとても良さそうなパフォーマンスだっため、心残りです。

Japan Tribute以外にも、今年は例年より多くの日本イベントがフランスで開催されます。日本とフランスでは、同じパフォーマンスでも当然ながら観客の受け取り方、視点などいろいろ変わります。パリでスケジュールに余裕があるようなら、それらイベントに参加して違いを比べてみるのもおすすめです。

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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