百貨店裏側の歴史遺産を探検できるプランタン店内ガイドツアーが楽しい

公開日 : 2019年01月30日
最終更新 :
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歴史建造物が多く残るパリ。外側は古くても一歩建物内に入ると、現代的に改装されている建物は多いです。パリを代表する百貨店プランタン・オスマン本店もその一つ。外観はアール・デコの装飾が施された昔ながらの建物ですが、内部はとてもモダンです。

ただそのプランタン、お客さんが立ち入れない扉の向こう側には、昔の遺構が残っています。それら歴史遺産を見学できるガイドツアーが始まりました。ツアー開始に先立ち、現地報道陣向けに体験ツアーと取材の機会をいただいたので、行ってきました。

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当日はまずプランタン・メンズ館の地上階で待ち合わせ。1865年に創業者ジュール・ジャリュゾにより始まったプランタンの成り立ちの説明を受けます。現在メンズ館として使われている建物が、オスマン本店の最初の建物です。

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解説を一通り受けた後は、エレベーターで最上階プランタン・デュ・グーがある8階まで登ります。屋上はレストランとテラスがあり、エッフェル塔やマドレーヌ寺院、凱旋門の頭などを見渡せるパリの絶景スポットです。

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プランタン・メンズ館として使われている建物は、じつは1881年に火事に見舞われました。その再建を任されたのが、鉄骨とガラスを用いたアバンギャルドの建築家ポール・セディーユでした。当時鉄骨は、ギュスターブ・エッフェルが先鞭をつけたように、石造り変わるものとして建築素材に使われ始めていました。

内装も時代と共に、百貨店はその時の流行を取り入れていきます。その一つが電気でした。プランタン・オスマン本店はパリで一番最初に電灯を導入した店です。現在、メンズ館地下1階に入るレストラン「Bellota-Bellota」がある場所に、かつての電気設備がありました。

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売り場の奥、普段はお客さんが入れない百貨店の奥に広がる地下通路も見学できます。通路の分かれ道には、迷わないよう表示が描かれています。現在のものもありますし、昔に描かれた表示もあります。さらに、ここから地下水路に降りる道もあるそうですが、残念ながら見学はできません。

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プランタンを立ち上げたジャリュゾでしたが、巨額の投資していた砂糖産業が不況になり、プランタンを後継のギュスターブ・ラギオニに渡します。ラギオニは店舗の拡大を決め、現在メンズ館の横の本館として使われている建物を建築家ジョルジュ・ウイボを用いて建てました。本館の建物で注目してほしいのが、オスマン通りに面したロトンド(円柱の建物)に飾られた4体の女性像。それぞれの出で立ちが四季を表しています。

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本館に進みます。入口部分(係員が荷物チェックをしている場所)は、現在立ち入りはできませんが、階段が螺旋状に階上へ伸びています。床はプランタンのシンボルである花模様のモザイクです。

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4本あるロトンドですが、天井にもモザイク画が描かれています。それらは現在、6階のウェディングドレス売り場やヘアサロンから眺めることができます。

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ハイライトは同じく本館6階にあるクーポール(丸天井)。天井を彩るアール・デコ様式のステンドグラスは1911年にガラス職人ブリエールによって作られました。

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じつはこのステンドグラス、1944年に空襲による被害を避けるため、取り外され一時倉庫に保管されました。その際に、ステンドグラスをバラして、再設置するための目印として書き込まれた数字が今も残ります。ツアーではそれも確認できます。

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現在ステンドグラスは、人工的に照明を当てることによって昼夜、輝きを楽しめるようになりました。クーポールの下はレストランですので、食事もできます。

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という感じで、ざっとプランタンの裏側を紹介してみました。

見学ツアーはプランタンと提携する歴史遺産ツアーを専門とする会社Cultivalにより2月2日からスタート。英語やフランス語など各国語で催行されます。もちろん、これらブログに上げた他にも見所はあり。ショッピングだけではない歴史的建造物としてのプランタンを楽しんでみてください。

【データ】

住所:64 boulevard Haussmann 75009 Paris

営業時間:9時30分〜20時(日曜は11〜19時)

定休日:無休

最寄り駅:地下鉄3、9号線Havre - Caumartin

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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