『EUREKA(ユリイカ)』パリ上映に青山真治監督と宮﨑あおいさんが来場【ジャポニスム2018】

公開日 : 2019年02月25日
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日仏友好160年を記念したイベント「ジャポニスム2018:響きあう魂」イベントの一環として、「日本映画の100年」という1920年代から2018年までの日本映画の100年を、119本の映画で巡るという企画が行われています。このため、特に2月は日本の映画関係者の来仏が相次いでいます。

2月16日は『EUREKA(ユリイカ)』の上映がパリ日本文化会館で行われ、同作の青山真治監督、女優の宮﨑あおいさん、アシスタントプロデューサーの佐藤公美さんが登壇しました。

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『EUREKA』は、福岡県で起きたバスジャック事件で生き残ったバス運転手・沢井(役所広司さん)と、その時に乗り合わせた兄妹である直樹(宮﨑将さん)と梢(宮﨑あおいさん)の物語。運良く事件から生き残ったにも関わらず、事件によりそれぞれはトラウマを負います。その心の傷から上手くいかなくなった人生を何とかやり直そうと、バスで旅に出るストーリーです。

同作は2000年に開かれた第53回カンヌ国際映画祭では国際批評家連盟賞とエキュメニック賞を受賞。約3時間半という映画としては長尺の作品です。

上映が終わり青山監督が舞台へ上がると「長かったでしょ。僕は、今日は(作品を)見ていないので、そんなにお尻は痛くないですけれど」と客席を温めてから質疑応答へ。

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アシスタントプロデューサーの佐藤さんによれば、『EUREKA』は元々5時間半の作品だったそうです。そこから各方面の関係者と相談した結果、現在の長さに落ち着いたとのこと。

作品の長さに関しての観客から質問が出ると、青山監督は「最初は3時間の映画を作ろうと思い2本立てで考えていたが、プロデューサーが休憩を入れないという暴挙に出たんです。僕自身はみなさんのお尻の心配をしていたのですが、プロデューサーはそうじゃなかった」と冗談を交えつつ、制作秘話を披露しました。

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撮影時のことについて触れた質問では、当時14歳だった宮﨑あおいさんが「兄妹(直樹役の宮﨑将さんは現実でも宮﨑あおいさんの兄)で親元を離れて自由に過ごせるというは本当に楽しかった」「14歳の時にこのような作品に出会ったということは、私の人生で大きな意味を持っている。こんなにものづくりをしていることを楽しんでいる大人の人たちに出会えたことが、映画を大好きになるきっかけになっていると思います」と当時を振り返りました。

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アフタートークの最初は遠慮していた観客も、一人が質問すると次々に手を挙げ、すぐに全体の持ち時間がいっぱいに。宮﨑さんは「こうしてみなさんとお話をさせていただけたことがとてもすごく楽しかったです」と話し、青山監督は「また会えるといいな。J'adore Paris !(パリ大好きです!)」とお別れのご挨拶。名残惜しくも笑顔で会場を後にしました。

2月末で「ジャポニスム2018」の期間は終わりますが、今回のように日本の映画人とパリの観客が近くで交流できる機会が、引き続き多くあるといいですね。

なお「日本映画の100年」イベントの様子については、無声映画『雄呂血』アニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』怪獣映画『シン・ゴジラ』「日本映画の100年」発表会の過去記事もあわせてどうぞ。

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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