フランスからの日本入国と検疫所の待機施設について最新まとめ【2021年12月/税務大学校寮】

公開日 : 2021年12月24日
最終更新 :
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現在、フランスから日本へ入国する際は、検疫所長の指定する場所(検疫所が確保する宿泊施設に限る)での3日間待機が義務付けられています(私が日本入国した時点での内容、12月24日午前0時から6日間になりました)。理由はオミクロン株に対する日本政府による水際措置の強化です。

フランスからの日本入国について、パリ特派員ブログではこれまで何度か現場をレポートし、その変遷をお伝えしてきましたが、今回の制限強化で、日本入国の様子がどのように変わったのかをまとめます。

日本入国に必要な書類など

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フランスからの日本入国には、「1. 出国前検査証明」「2. 誓約書」「3. スマートフォン」「4. 質問票」が必要です。以前は、所持していれば待機期間の短縮ができた「ワクチン証明」ですが、2021年12月1日からはその緩和措置は停止されていますので、入国時に提示の必要はありません。

1. 出国前検査証明

出国前検査証明とは、、出国前72時間以内に実施した新型コロナウイルス感染が「陰性」であったことの検査証明です。検査方法は、日本の厚生労働省が指定するもののみ有効です。検査証明書を提出できない場合は、検疫法に基づき、日本への上陸が認められませんし、搭乗前に検査証明書を所持していない場合には、出発国(フランス)において航空機への搭乗を拒否されます。

陰性証明の取得方法は、過去の特派員ブログ「フランスから日本への帰国体験談、出発72時間前PCR検査証明の取り方」をご参照ください。

2. 誓約書

日本行きのフライトの機内で、客室乗務員によって配られます(もしくは日本到着後にも受け取り可能)。事前の準備は必要ありません。

3. スマートフォン

日本でも使用可能なスマホの用意が必要です。スマホが用意できない場合は、日本到着後にレンタルする必要があります(日本到着後にレンタルできる受付があります)。スマホには入国者健康居所確認アプリ「MySOS」と接触確認アプリ「COCOA」のふたつのアプリのインストールが必要です。

これらアプリは、日本入国後にインストールしてもいいですが、私は日本到着後の空港係員の確認時間短縮のために、事前にインストールしておくと良いです。インストールについては、日本の厚生労働省のウェブサイトに説明があります。

4. 質問票

日本に入国する際に、新型コロナウイルス感染症の検疫手続として、滞在歴や健康状態を記入した「質問票」を検疫官に提出する必要があります。質問票には事前にウェブからアクセスし、QRコードを取得します。アクセス方法は、日本の厚生労働省のウェブサイトに書かれています。

入力項目には搭乗フライトの座席番号などもあるため、これは出発当日のチェックイン後(座席確定後)に記入します。記入後に生成されるQRコードは、スクリーンショットをとって保存しておきます。理由は、ブラウザから消えてしまうともう一度最初から生成し直す必要があり、手間が増えます(現場の係員もスクリーンショットを推奨しています)。

記入は、搭乗前の待ち時間でもいいですし、日本到着後でも可能です。フライト中の機内WiFiを使って行う場合、インターネットの速度の関係上、ページを開くことができない可能性が高いため、空港内での入力をおすすめします(以前、私が機内で行ってみた時は、開くことができませんでした)。

日本入国時の様子

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コロナ禍においての日本入国については、実際の現場での様子を、定期的に特派員ブログでお伝えしてきました。

今回は、以下のような流れで進みました。

【入国から待機所までの流れ】

15:00 羽田空港に着陸

15:44 入国必要書類チェックと唾液検査

16:23 待合室にて軽食が提供される(水と惣菜パン)

16:26 唾液検査の結果を呼び出し、5人ずつのグループにまとめられ入国へ

17:00 入国審査、荷物受け取り、検疫所が用意したバスへ

17:20 バスが待機施設へ出発

19:00 待機施設到着

19:10 入所説明を受けて部屋へチェックイン

書類チェックなどの作業工程は、時間を経るごとに効率よくスムーズに改善されています。書類のチェック場所まで、ターミナル内で長い距離を歩かされるというのは事実ですが(今回のことがなくてもターミナル内の移動というものは基本長いですが)、大量に到着する旅客を滞りなくさばいていくというのと、異なるチェック段階の人の動線が確実に交わらないということを実現するには、ターミナル全体を使ってあのような経路を組むのは仕方ないのではと思います。

書面が多いのは、各人にルールを遵守させるためにサインが、それぞれの書類で必要なことも関係しているかもしれません。

前回の場合「フランスから日本への入国の様子、羽田空港検査から隔離場所までの流れを順に解説」、空港から待機施設への出発前に、空港から宅配便を手配することができませんでしたが、今回は手配が可能でした。ポケットWiFiの返却はどちらもできました。

検疫所の待機施設での様子

帰国後に振り分けられる待機施設は、いくつかあるようです。今回は埼玉県和光市にある税務大学校の寮になりました。空港の書類チェック時に、宿泊施設の候補として「禁煙か喫煙か」「テレビはいるか、いらないか」の2項目が選択肢として与えられました。私は「禁煙」「テレビはいる」で希望を出しました(具体的な施設の指定はできません)。

以前、アパホテル&リゾート両国駅タワーで3日間待機となった際は11平方メートルの広さでした。今回の税務大学校の寮はそれと比べて倍くらいの広さで、部屋の中でスーツケースを二つ広げられることができました。以前のアパホテルでの待機時は、ほぼベッドしかないという部屋の狭さに、2日目後半くらいからとても辛くなってきた記憶がありますが、税務大学校の寮では特に苦痛を感じず過ごせました。個人差はあると思いますが、「広さ」というものが結構、精神的に作用するようです。

一方で、寮ですからビジネスホテルのような備品は部屋になく、以下のものがチェックイン時に渡されます。

【チェックイン時に渡されるもの(税務大学校寮)】

- ポケットWiFi

- ポケットWiFiの充電器

- マスク2枚

- ポケットティッシュ3袋

- 除菌シート1つ

- 石鹸1つ(家庭用の大きなもの)

- 入浴用ナイロンタオル1本

- 歯ブラシ1本

- 歯磨き粉1つ

- ゴミ袋2枚

- 紙コップ3個

- 当日の夕食(弁当)

【部屋に備え付けてあるもの(税務大学校寮)】

- ハンドタオル1枚

- バスタオル1枚

- 寝具一式

- 冷蔵庫

- 電気式湯沸かしポット

- ドライヤー

- テレビ

館内は禁煙・禁酒です。土産物であろうと、アルコール飲料や刃物、火気類は、入所時に預けるように言われます。そして退所時に返却されます。

入所中の食事について

待機施設では、朝昼晩と3食が提供されます。宿泊費と食費は公費で賄われます。同じ便に乗った人が、すべて同じ施設に収容されるわけではないようです。私が経験したスケジュールを以下に記します。

【入所から退所までの流れ】

0日目 羽田空港に到着、全ての検疫・入国手続きが終わった後に専用バスで施設へ

1日目 部屋で1日待機

2日目 同上

3日目 7:00頃に唾液検査、その後朝食と昼食、検査陰性の場合、午後に退所し空港へ

【1日の流れ】

8:00 検温し健康管理チャットから体調を報告

8:30 朝食

12:00 昼食

18:00 夕食

税務大学校の寮の場合、滞在中はランドリーが無料で使えました(10:00〜17:00)。利用の際は、あらかじめコールセンターに連絡し、ランドリーを使う時間のアポイントメントを取ります。その時間になると、案内係がドアをノックするため、その誘導でランドリーへ向かいます。洗剤も用意されていました。

部屋に用意されているリネン、タオルなどの不足は、追加のリクエストは受け付けてくれます。追加の物品は、ビニール袋に入れられ、部屋の外側のドアノブにかけられます。配布が完了すると声がけがあります。

家族からの差し入れやデリバリー、ネットショッピングは利用可能です。クレジットカードなどによる事前決済が済んでいる商品のみで、現金など到着時の決済方法は取れません。すしや生もの、温かい食事、冷凍・冷蔵食品は、受け取りからすぐに各部屋へ届けることができない可能性もあることから、注文できません。

退所から空港解散までの流れ

最終日の検査陰性であった際の退所時間ですが、事前の説明では16:00、入国時検査で陽性となった人が同じ機内におり濃厚接触者認定された場合は、他の退所者と時間がかぶらないように18:00と伝えられます。ただし、私の待機経験では、前回と今回どちらも予定より早く連絡が来ました。

今回は14時25分に電話連絡があり「予定より早くバスが到着しました。10分後に係が部屋の前まで行くので荷物をまとめて退所してください」と突然言われました。3日間そこで生活していたため、まだ部屋に荷物が広がった状態であり、しかもシャワーを浴びてすぐだったため退所できるような状態ではなく、急いで身支度をしてパッキングを済ませました。そのため案内係の人を、30分ほど部屋の前に待たせてしまう結果になりました。

施設での待機期間が終わった後は現地解散(私の場合は税務大学校の寮)できません。専用バスで出発地の空港まで戻され、そこでの解散となります。空港からは公共交通機関を使わず、各自が手配した待機場所(自宅や各自で予約したホテルなど)へ向かいます。

公共交通機関は基本使えませんが、帰国者が使えるバスや列車が一部で用意されています。それらについては、過去記事に「羽田空港および成田空港からの帰国者・入国者用の移動手段まとめ【ハイヤー以外の電車・バス利用】」まとめましたので、そちらをご覧ください。

注: 待機施設内の様子などをSNSや動画サイト等に投稿しないように言われました。どこまで伝えるべきか迷いましたが、特派員ブログでは文章のみにとどめました。文章で様子を伝えた理由は、もし事前に部屋の備品内容や流れなどが分かっていれば、各自準備も万全に整えられますし、入所してから足りない物が出た際に、現場スタッフの作業量を減らせると思ったからです。

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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