町と文化を大切にしたい人たちの集まりをフランス・パリで立ち上げました

公開日 : 2022年06月28日
最終更新 :
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今回はいつもの特派員ブログとは少し趣向を変えて、私のことを少しお話ししようと思います。私はパリで暮らし始めてから十数年になりますが、5年ほど前から、今まで私がこの町から学んだことを、生まれ育った場所に還元できないかと思い始めるようになりました。

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日本から観光客のみなさんがパリにいらっしゃると「パリは本当に町並みがきれいですね」と口をそろえておっしゃいます。実際私もそう思いますし、パリという町が世界中から観光客を惹きつけている理由です。

ではこの魅力はどのように生み出されたのでしょうか?それは、このような古い建物や景観を守ろうという人々の意識と、それを汲んだ行政の仕組みが合わさった結果です。日本にも江戸時代の町並みが残る宿場町など、同じように頑張っている地域はありますね。私が生まれ育った町は、今までは歴史や文化よりも、高度経済成長期に代表されるような日本のどの町でも見られた、物質と消費の優先でした。それは今も根底に流れています。

たとえば古い建物は傍から見ると素敵ですが、住人にとっては大変です。不便も多いです。文化も余白があるからこそ醸されます。しかし、その不効率さを許容してでも、町並みや文化を守っていこうという気持ちが上回ると、町は魅力が集積した場所になります。

歴史や文化の集積はとても繊細なもので、常に気をつけていないと、あっという間に壊れて消えてしまいます。一方で、ほんの少しでも気をつけ積み重ねていくことで、その場所に確実に堆積していき大きな花を咲かせます。そのために「自分のできることを身の丈にあった形で実践し文化に寄与していく活動」を、ひとまずはパリと実家のある愛知県などで行おうと思いました。パリでは今ある環境がさらに続くよう少しでも役に立てるように。地元では方々に埋もれてしまっている魅力を掘り起こして、より輝いてくれるように。

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今月、同じような思いを持った人はいないだろうかと思いSNSで呼びかけたところ、十数人が賛同してメッセージをくれました。年齢も職業も生まれ育った場所も多様でしたが「文化に興味がある」ということでは共通した人たちです。

スケジュールの合った人とでまず顔合わせをして、お互いの自己紹介と意見交換をしました。その日はお互い興味のある分野と今後していきたいことなどを話し、ひとまずの第一回目としたのですが、そこで出た意見などを元にしながら、また将来合流してくれるかもしれない人たちと話し合いながら、今後の具体的な活動をしていきたいと思っています。

まだ会の名前も決まっていませんし、動き出したばかりですので薄っぺらな内容しかありません。しかし今後、この集まりに少しずつ厚みが増していけばいいなと思っています。厚みが出た時には、この集まり自体もまたいずれ文化になるはずです。またご報告します。

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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