3年ぶりにパリのジャパンエキスポが開催、アニメ・漫画を中心とした日本文化イベントに多くの人

公開日 : 2022年07月20日
最終更新 :
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パリで行われるアニメ、漫画、ゲームを中心とした日本文化イベント「ジャパンエキスポ」が今年は開かれました。昨年、一昨年はコロナ禍により中止となっていたため、3年ぶりの開催です。

2022年は7月14日から4日間の期間で行われ、初日はフランスの革命記念日と同日でした。

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▲パトルイユ・ド・フランスが空に描いたフランス国旗トリコロール

その日の午前は、まずテレビで革命記念日に行われるシャンゼリゼ大通りの軍事パレードを見ました。軍事パレードは革命記念日の恒例行事で、フランス大統領や要人が隣席のもと、フランスの陸海空軍の各部隊と士官学校の生徒が後進し、戦車など軍事車両が走行、航空機が上空を飛びます。

同軍事パレードの見どころは、イベント中ほどに行われるフランス空軍のアクロバットチーム「パトルイユ・ド・フランス」がパリ上空を横断して描くトリコロール。このタイミングで、シャンゼリゼ大通りから延長線上にあるチュイルリー公園へ行き、その様子を観覧しました。

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▲パリ上空を飛ぶフランス空軍の飛行機

午後からはジャパンエキスポに取材へ。コロナ禍で中断していたことと、まだ日仏間に完全に障壁が無くなったわけではない(フランスから日本出発時にPCR検査が必要など)ことも関係しているのか、コロナ禍前よりは少しイベントや来仏するゲストが大人しい印象を受けました。

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それでも、やはり会場内の各所では盛り上がっていて、いくつか個人的に目を引いたブースがありました。ひとつは、アメリカのアニメ配信会社クランチロールのブース。『約束のネバーランド』『呪術廻戦』『怪獣8号』『鬼滅の刃』『進撃の巨人』など、クランチロールが配信する作品をテーマに、個別のブースが設営されていて、どれもファンで大賑わいでした。

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▲クランチロールのブース

ジャパンエキスポはイベントが派生した歴史から、アニメ、漫画、ゲームをテーマにしたブースが主になってはいるのですが、その他に合気道、相撲、剣道といった日本の武道に関したエリアや、日本の食に関したエリアもあり、さまざまな角度から日本を知ることができます。

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▲フランスの相撲愛好家らが会場で披露していた取り組み

たとえば武道などは、その場で体験できるという点で、とても裾野を広げていると思います。またJETRO(日本貿易振興機構)のブースでは、今回はおにぎりやカレーの試食なども行っていて、こういうところで偶然であれ接点を得たことがきっかけで、日本の食を知り、それが将来のフランスにおける顧客につながっていくのだろうと思いました。

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▲JETROのブースにて、パリ市内に店舗があるおむすび権米衛が配布したおにぎり

日本の食におけるジャパンエキスポの役割については、関係者の方が言うには、じつはパリに住んでいるフランス人については、そこまで訴求効果はないといいます。なぜなら彼らは、すでにパリの町中にあふれている日本の食に触れているため、ここで触れる日本食については特段「新しいこと」ではないそうです。一方で、ジャパンエキスポにはフランスの地方から来る人も多く、彼らにとってジャパンエキスポで触れる日本の食は「新しいこと」であるため、そこへの働きかけが効果としては大きいと言います。

パリには日本人や日本の会社がやっている日本の食の他に、日本食に情熱あるフランス人が開いたお店も多いです。そのひとつが「タイヤキ・パリ」。パリ市内13区にあり、カンボジア系フランス人が営むたい焼きの専門店です。いつも美味しいたい焼きを焼いてくれて、また笑顔も素敵で、ついつい個人的に贔屓にしてしまうのですが、ジャパンエキスポに出店していると言うので、買いに行ってきました。

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▲タイヤキ・パリのたい焼きと抹茶ソフト

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▲タイヤキ・パリのジャパンエキスポでのブース

たい焼きを頬張った後は、怪獣絵師の開田裕治さんの展示が今年のジャパンエキスポで行われているというので、そのブースへ。ウルトラマンやゴジラなど「怪獣」を中心に描いているイラストレーターさんです。臨場感ある力強い作品が展示されていて、フランスのファンも熱心に見ていました。

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▲開田裕治さんの展示ブース上に設置された開田さんの作品がプリントされた看板

日本の「特撮」についても、フランスではコアなファンがいます。以前、『大仏廻国 The Great Buddha Arrival』という戦前映画『大佛廻國・中京篇』のリメイク作品のヨーロッパ上映(パリの他に英オックスフォードと独デュッセルドルフ)を、個人的に縁があるので手配したことがありました。ちなみに『大佛廻國・中京篇』とは、日本最初期の特撮作品であり、愛知県東海市にある聚楽園大仏が動き出し、名古屋とその近郊の行楽地を見物して巡るというストーリーです。

そのパリ上映の際に、『大仏廻国 The Great Buddha Arrival』を撮影した監督に対するフランスメディアからの取材希望を募ったのですが、ニッチな作品なのに特撮を専門とする記者さんやメディアからいくつか問い合わせがあり、また取材当日も彼らの知識に驚いた記憶があります。

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この特撮の件は一例として、とにかく日本文化の各分野で「コアなファン」はフランスに確実に存在しています。たとえば私なんかの上辺の知識では彼らに太刀打ちできないのですが、そういう人たちと偶然であれ話ができたり、交流ができたりするのも、ジャパンエキスポのようなイベントの良い側面であると思っています。

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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