パルマ名産、ハムの王様クラテッロ・ディ・ジベッロ
パルマは9月に入って、急に秋らしくなってきました。
今年の夏は猛暑、そして雨不足が心配されていたのですが、9月になって、北風、集中豪雨で寒い日は、セーターが必要なくらいです。
ここ数年気候を予想するのが難しくなっています。ご旅行の際は、重ね着をできるものをお持ちになった方が良いかもしれません。
さて、今回は、パルミジャーノ・レッジャーノ、プロシュット・ディ・パルマ(パルマの生ハム)に続いて、ハムの王様と呼ばれるクラテッロをご紹介します。
クラテッロは、豚の腿、お尻の部分の肉を使った生ハムです。プロシュット・ディ・パルマは後ろ足全体の腿のハム。その外腿の部分だけを取り、豚の膀胱の皮に入れて乾燥させたものがクラテッロです。
プロシュット・ディ・パルマがパルマの南、アペニン山脈を通ってくる、リグリア海の風を浴びて作るハムなら、クラテッロはパルマの北、ポー川沿いの沼地、湿気を利用して生産されます。同じパルマでも生産地は車で約1時間、50km離れています。
生ハムは、肉に塩漬けして乾燥させて作るのが基本ですが、クラテッロは生産地の特徴として、湿気が多く、他のイタリアの生ハムの産地と違って、一筋縄ではいかない。もも肉をそのまま乾燥させてもうまくハムができないので、腿の中でも一番脂ののった、ハムになった時に甘いお尻の部分のみを取り出して、作るようになったのです。
サラミのように腸詰されるのですが、肉の塊が腸では入らなく、膀胱の皮の大きさがぴったりなので、膀胱の皮に詰めて熟成されます。
古人の知恵ですね。独特の熟成香がマニアにはたまらないようです。
「ハムの王様」と呼ばれ、パルマハムの倍近いお値段で売られています。
「クラテッロ・ディ・ジベッロ」はパルミジャーノ・レッジャーノチーズ、プロシュット・ディ・パルマ同様ヨーロッパからD.O.P.原産地保護保証に指定されている食品です。
今では冷蔵保存ができるので、1年中生産されていますが、伝統的に秋から春先までしか作られていなかったものなので、この称号が使えるのは9月から3月までに生産されたものだけです。
原産地保護保証に指定されるのは、8つの街、ジベッロ、ポレジネ、シッサ、コロルノ、ロッカ・ビアンカ、ソラーニャ、サン・セコンド、ブッセートで、作られたもののみです。
それ以外の場所、もしくは4月から8月に生産されたものは、「クラテッロ」と呼ばれて区別されています。
「クラテッロ・ディ・ジベッロ」には、生産開始時に下の写真のように、それ用の紐がつけられます。
生産開始から10ヶ月すると、検査員が検査をし、合格したもののみが、「クラテッロ・ディ・ジベッロ」という名称で市場に出ます。
合格したものには、下の写真のようなラベルがつけられます。
食べごろは、好みにもよりますが、15ヶ月から24ヶ月の熟成と言われています。
「クラテッロ・ディ・ジベッロ」は、パルマ料理のレストランでしたらだいたい試食することができます。
パルマにいらっしゃったら一度は食べてみるものとして、是非ご試食ください!
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