幻のジャガイモ料理、グレメル・マウルタッシェを作ってみた
グレメル・マウルタッシェは、オーバープファルツ県のレストランでは、ダンプフヌーデルのウリでしか食べられない、といわれる、ジャガイモの生地を用いたマウルタッシェです。レストランのもののように、美しくは仕上がらないものの、なかなかおいしくできました。
この写真(↑)は、今回昼食として作ったものです。ピントが甘くてすみません。付け合わせは、本来ザワークラウトといわれるキャベツを発酵させたものですが、手抜きでキャベツの千切りと、2020年の今年はとっても豊作なラディッシュを直前に収穫して添えました。生まれも育ちもレーゲンスブルクである主人に、付け合わせがバイエルンらしくないといわれていまいましたが(リンゴのコンポートも添えてみましたが、これはなかった方が素敵でしたね)。
そもそも、土曜日に開かれるドナウの市場から、グレメル・マウルタッシェの「具」を購入してきました。まだまだ一般の人がなかなかお肉を食べることができなかった時代に、グレメルと呼ばれる(日本語ではどうやらラードのようです)豚から取れる「安い」食材を利用して、昔のニーダーバイエルン県、オーバープファルツ県の人たちが、グレメル・マウルタッシェを作って食べていたという話を、あの日ウリさんに教わりました。それ以降けっこう気になっていたんです。
買ってきたグレンメルは、こんな感じ。みじん切りの玉葱をフライパンで炒め、これを加え、塩胡椒で味を整えます。
ジャガイモ生地についてですが、蒸したジャガイモの皮を取り除き、金網みたいな道具を使って、力を加えずにすりおろします(100円均一のお店で、これに似たようなもの買えば、日本でも作れますよね)。
余談ですが、普通、これにお塩と少々の片栗粉とを加えて成形し、フライパンでオリーブオイル、またはカボチャ油でこんがり焼き上げるゴールドターラー(↓)といわれる料理もあります。これは、ケチャップを添えて、リンゴのコンポートを付け合わせとしてサービスしたりします。
ジャガイモの生地はけっこう難しいです。金網ですりおろす作業で、少しでも力が入ってしまうと、生地がなめらかに仕上がらないし、生地の扱いは、小麦粉のそれよりもずっと難しいと私は思います。私は何度作っても美しく仕上げることができません。
そして、今回のグレンメル・マウルタッシェは、生地(卵と小麦粉、ナツメグも混ぜ込まれています)を均等に広げていくので、さらに難しいです。
さて、今回はグレメル・マウルタッシェのレシピをネットで検索して作ったのですが、ドイツ語で検索してもレシピが本当に少なくてびっくり。これを自宅で作るのは、それくらい一般的ではない、ということなのでしょう。
準備に手間がかかるだけでなく、オーブンで45分ほど焼くので面倒臭いといえば面倒臭いですが、見た目はいまいちでも、味は格別。このおいしさのためなら、また何回か作って私の得意料理のひとつにしたいわ!と思いました。日本人の私が「幻の」バイエルン料理を作るなんて、なかなかよくありません???
これを日本で作りたい方、合挽きミンチを炒めたものを入れるといいと思います。また、グレメルは日持ちします。私が市場で入手したものも、賞味期限が3ヵ月でした。ドイツ在住の方は、お肉屋さんでグレメル(Gremel)を注文されてもいいですね。または、ベジタリアンの方はリンゴの皮を剥いて、薄く切り、シナモン(と、品種によっては少しお砂糖)をまぶして包んでもいいです。
またまた余談ですが、イタリアのラビオリは、小麦粉の生地で具を包みます。
これもまたたいへんな作業ですよね。少し前に、新型コロナウイルスで外出自粛中のドイツ人の姪が、手作りのラビオリの写真を送ってくれました。とっても美しく仕上がっていたので(20代前半の姪ですが、とってもていねいに上手に作っていますよね。私は大敗!と思いつつ......)、今回許可をとって、掲載させていただきます。
ああ、ラビオリってこれか!と思われる方も多いかと思います。これを茹でて、トマトソースなどでいただきますよね。
ラビオリは、作るのに時間と手間がかかるのですが、イタリアではもともとは残り物をパスタ生地に包んだ料理と聞いたことがあります。
バイエルンでは、このラビオリが少し大きい感じの「マウルタッシェ」というのを食べたりします。これもイタリアのラビオリと同様、小麦粉ベースの生地を利用したものです。たいがいスープの豪華な具としてのマウルタッシェかとは思いますが、これもいろいろアレンジできます。
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