【レンヌ】ブルターニュ唯一のネオ・クラシック様式の教会!サン・ピエール大聖堂(Cathédrale Saint-Pierre)
レンヌ旧市街へと向かうかつての玄関口モルドレーズ門を抜けると目の前に現れるのが、サン・ピエール大聖堂です。由緒正しき教会は、ブルターニュ公の即位式などが執り行われ、ブルターニュ公国の重要な歴史を見届けてきました。今回は、煌びやかな装飾に彩られたレンヌの象徴とも言うべきサン・ピエール大聖堂を紹介したいと思います。
◇ネオ・クラシック様式の傑作
サン・ピエール大聖堂の歴史は4世紀に遡り、1180年からはゴシック様式の教会へと再建されました。しかし15世紀に教会正面が崩れたことから、改修が開始されました。宗教戦争、資金難、建築家の変更など様々な理由が重なり、実に163年の月日を経た1704年にファサード(建物の外側正面部分)が完成しました。
外観はゴシック様式からクラシック様式へと変貌を遂げ、モン・サン・ミシェルの近くに浮かぶショゼー諸島から運び込まれた花崗岩の柱が44本も立ち並んだ荘厳な造りを特徴としています。また、高さ50メートルにも達する2つの塔の間に置かれた円弧状の外壁には太陽王ルイ14世の大紋章が彫刻されており、他にも政治・宗教・軍事などの権力を表象した5つの紋章が彫られています。
◇ほぼ1世紀の期間を経て生まれ変わった司教座
18世紀に見事ファサードの改修を終えたサン・ピエール大聖堂でしたが、内部では石の崩落が見られるようになりました。こうした事態に対応するため、1754年にファサードを除く全面的な建て直しが決定。フランス革命の影響による工事の中断などを経て1844年に完成し、教会内は古代ローマ風のバジリカ式聖堂として生まれ変わりました。
工事中の司教座は、レンヌ市内のサン・ムレーヌ教会等に移されてその役目を果たしました。
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◇煌びやかな室内装飾は必見!
内装でまず注目したいのは、バジリカ式聖堂に特徴的な柱。外観に使われた柱と同じ、44本が規則的に並んだ姿は圧巻です。大理石と見間違うほど見事に仕上げられた花崗岩の円柱には、思わず見とれてしまいます。振り返ると目に留まるオルガンは、1872年に初めて披露されたもの。パリのノートル・ダム大聖堂などにも納めたオルガン製作の第一人者、カヴァイエ・コルが手掛けた傑作の一つです。2019年夏からは、フランドル派による1520年の祭壇画が公開され、新たな見どころも増えました。
◇心の奥まで響き渡るコンサート
サン・ピエ―ル教会では定期的に合唱団やオルガンなどによるコンサートが催されています。夜のコンサートでは、ほのかな明かりに照らされた教会中に響き渡る神秘的な音色を楽しめます。コンサートホールとは違う、特別な音楽鑑賞は思い出に残ること間違いなしです。
ブルターニュ地方では唯一のネオ・クラシック様式の教会で、フランス国内でも非常に珍しい建造物の1つです。1904年から国の重要文化財(Monuments Historiques)に登録されているサン・ピエール大聖堂をぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか?
それでは、次回もとっておきの地元情報をお届けしたいと思いますので、楽しみにお待ちください。
〈文・写真:高津竜之介〉
■今回紹介した場所
・スポット名:サン・ピエール大聖堂(レンヌ大聖堂)(Cathédrale Saint-Pierre de Rennes)
・住所:Rue de la Monnaie, 35000 RENNES
・アクセス:メトロ「サン・タンヌ駅」から徒歩10分
筆者
フランス特派員
高津 竜之介
NPO法人「日本で最も美しい村」連合在フランス研究員。レンヌ第2大学言語学部非常勤講師。現在は同大学人文社会学研究科において「世界の最も美しい村の比較研究」をテーマに博士課程在籍中。
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