【レンヌ】王室お抱え建築家父子が手がけた傑作! レンヌ市庁舎(Hôtel de ville de Rennes)

公開日 : 2019年11月20日
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町の中心にある広場に堂々と構えるのが、レンヌの市役所です。中央部が前に張り出すような構造をした真向いにあるオペラ座に対し、レンヌ市庁舎は中央部が丸く窪むように設計されており、ふたつの異なる年代の建物がパズルのように組み合わさる興味深い建築様式となっています。今回は、市民と共に歴史を刻んできたレンヌ市庁舎を紹介したいと思います。

◇災難に見舞われたレンヌ

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レンヌに最初の市庁舎が建設されたのは15世紀終わりのこと。しかし財政難から建物は質素で、管理状態も悪かったといわれています。新しい市庁舎の建築のために9年間限定で税金の引き上げを認められた町は、1694年に市庁舎を再建しましたが、1720年の大火災によって被害を受けてしまいました。

◇フランス建築史に残る親子が手掛けた傑作

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そんなレンヌの町の再建を担ったのが、当時最も著名な建築家のひと人であったジャック・ガブリエルでした。現在、パリのロダン美術館として使われているペイレンヌ・ド・モラ邸などを設計したことなどで知られています。しかし、完成間際の1742年に亡くなり、その後は息子のアンジュ=ジャック・ガブリエルが引継いで、1743年に完成しました。アンジュ=ジャック・ガブリエルは、その後コンコルド広場やヴェルサイユ宮殿内の小トリアノン宮殿などを手がけ、ルイ15世お抱えの建築家として名を轟かせました。そんな歴史に名を残す親子二代の手によって建てられたのが、このレンヌ市庁舎です。

◇地域色溢れる煌びやかな室内装飾は必見!

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レンヌ市庁舎内の一番の見どころは、南翼棟2階に位置する大広間です。天井や壁にはブルターニュ紋章のついた装飾やブルターニュの歴史を語る上で欠かすことのできない重要人物の名が刻まれ、地域色豊かでありながら豪華絢爛な空間となっています。市の公式行事や市議会が開かれたりするほか、1977年からはウェディング・ホールとしても使われています。

◇レンヌ愛感じる市長室

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最後のこの日は市長室も案内して頂きました。机の上にさりげなく置かれた小皿の絵柄がレンヌの風景になっていて、この町への愛を感じました。そのほか、北翼棟の1室は第一次世界大戦で命を落とした兵士たちを追悼するための静寂な空間となっています。

普段は一般公開されていませんが、毎年夏の一定期間と9月の文化遺産の日のみ、無料のガイドツアーが用意されています。タイミングが合えば訪れてみてくださいね。

それでは、次回もとっておきの地元情報をお届けしたいと思いますので、楽しみにお待ちください。

〈文・写真:高津竜之介〉

■今回紹介した場所

・スポット名:レンヌ市庁舎(Hôtel de ville de Rennes)

・住所:Place de la Mairie, 35000 RENNES

・アクセス:メトロ「レピュブリック駅」から徒歩5分

筆者

フランス特派員

高津 竜之介

NPO法人「日本で最も美しい村」連合在フランス研究員。レンヌ第2大学言語学部非常勤講師。現在は同大学人文社会学研究科において「世界の最も美しい村の比較研究」をテーマに博士課程在籍中。

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