爆撃により地中からひょっこり神殿 古都パレストリーナ、日本人が知らない町 その1

公開日 : 2013年07月23日
最終更新 :

この小さな町は日本のガイドブックにはまだ紹介されていませんので、ご存知の方は少ないかもしれません。いつ行っても日本人の観光客には会いません。

ところが、町の観光案内で配布されているパンフレットはひそかに日本語訳入りで、町の人はどうやら日本人の皆さんが遊びに来てくれるのを待っているようです。

「いいところなのにどうして誰もいないのかしら?」といつも疑問に思いつつ訪問していたので、今回ご紹介したいと思います。

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町の頂上にあるフォルトゥーナ プリミジェニア神殿からの眺め(左右の壁はその遺構)

パレストリーナはローマからバスで約30~40分と地理的に近いことに加えて、歴史、文化、アート、グルメ、パノラマと多くの魅力的な見所が揃っており、昔より欧米の旅行者にはよく知られています。

ユリの花の形をしたおいしいクッキーやネズミの尻尾の形をしたパスタなどが名産になっています。

この町は、イタリア半島の歴史を語る際、必ずといってもいい程登場する重要な町の一つで、古代はPraeneste(プラエネステ)という名で呼ばれていました。人口約2万人ですが、実際に歩いてみるともっと小さく感じます。

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ここが町の中心、レジーナマルゲリータ広場とこの町出身の大作曲家 ジョヴァンニ・ピエルルイジ・ダ・パレストリーナの像。

町の歴史はとても古く、紀元前9世紀には存在しイタリア半島の南北を結ぶ交易ルートを支配することにより大きく繁栄しました。

ところが中世になるとしばしば権力抗争に巻き込まれ、2度、町は完全に破壊されるなど歴史に翻弄され、更に近世では、1944年に第二次世界大戦中の爆撃により町の三分の二が再度破壊され、多数の死傷者がでました。

皮肉にもこの爆撃により破壊された民家の下から、1000年以上地中に埋もれていたフォルトゥーナ プリミジェニア神殿(紀元前2世紀の終わり頃に建設されたもの)がひょっこり顔を出すことになり、町は神殿と女神の町として昔の栄光を取り戻すかのごとく、一躍有名になってしまいました。

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爆撃により、偶然にも地中からひょっこり顔を出した6段のテラスを持つ巨大な神殿をプラスティックモデルにしたもの。何も知らないで住んでいた町の人々はとても驚いた様です。こんなに大きなものが昨日まで歩いていた道の下に埋もれていたとは誰も思っていませんでした。

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友人のマンションの屋上にお邪魔させてもらい、ひょっこり顔を出した神殿の真正面から撮った写真。神殿の頂上まで見えますね。現代の家と神殿が混じり合っていてパレストリーナは不思議な町です。

つづきはその2でお届けします。

インフォメーション:

主な見所 神殿入り口の柱廊跡、太陽の門、レジーナマルゲリータ広場(ローマ時代の神殿跡、聖域、神託所、アプシスのある広間、魚のモザイクなど)、ドゥーモ(サンタアガピト)、ジョヴァンニ・ピエルルイジ・ダ・パレストリーナの生家と博物館、パレストリーナ司教区博物館、フォルトゥーナ プリミジェニア神殿、国立パレストリーナ考古学博物館、サンタロザリアなど。

行き方 (バス)ローマの地下鉄A線のAnagnina(アナニーナ)駅から出ているCOTRAL社の青いプルマンで所要約30~40分。月~土曜日は約30分に1本、1日40便程ある。日・祝日は1日15便運行。切符は片道2.2ユーロ 。Via degli Arcioni(もしくは付近のことも)で下車して Porta del Sole(ポルタ デル ソーレ)まで歩くと、すぐに右側に観光インフォメーションが見えてくる。立ち寄って地図やパンフレットをもらおう。その時に帰りのバス停の位置も確認しておくと良い。

*電車+バスで行く方法もあるが、パレストリーナには最寄の鉄道駅がないため、ローマ中央駅テルミニ駅から乗車後、近隣の駅Zagarolo(ザガローロ)で降りてパレストリーナ行きのバスに乗り換える。電車でザガローロまで所要約30分、片道2.6ユーロ。その後パレストリーナまで市バスで。

筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

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