大統領官邸、クイリナーレ宮は一般開放あり。

公開日 : 2013年11月30日
最終更新 :

少し前の大統領官邸の様子です。この建物はローマにある7つの丘の一つ、クイリナーレの丘の上に建っているので、別名クイリナーレ宮(Palazzo del Quirinale)ともいいます。

突然ですが、歴史的背景を解っていた方が観光が断然面白くなります。

そこで、ここで最近のイタリアではどういうことが起きていたのかを簡単にまとめてみますので、お付き合い下さい。(すぐに終わります)

それでは始めます。

イタリアはその長い歴史の割には、半島が一つの国となったのは比較的最近です。  

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みんながバラバラなのでこれは何とかしなければいかんということで、統一運動に向かって愛国者達が立ち上がり始め、統一が成功すると、1861年3月17日に王様をたてて(奇遇ですねぇ筆者の誕生日です)、イタリア王国となりました。これをイタリア統一といいます。

これ以降、それまで小さな国や町がばらばらとあったのが、一つの国にまとまることによってみんなが"イタリア"という国の国民としてのアイデンティティーを少しずつ少しずつ持つようになっていきました。

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そして第一次世界大戦参戦などを経て、時間は流れていきます。

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1920年代になってムッソリーニのファシスト政権が誕生すると、ドイツ、イタリア、日本の三国同盟を組み第二次世界大戦に参戦します。

開戦当時、ムッソリーニとイタリアの王様は協力しながら国の政治を行いました。ムッソリーニは21年間も国のトップ(首相)を務め、それまで首相は1~4年で交代するのが普通だったので異例の長さです。途中まではうまく行った様に思えましたが・・・・

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戦争も末期になると、イタリアのシチリア島からアメリカ軍などの連合国軍(イタリアの敵)が上陸し始め、ついには本土上陸、王党派らがムッソリーニはもう辞めた方がいいんじゃないか(要は指導者として失格)と言い出し、統帥権を王様に返すように議決されます。

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その後イタリアは降伏し、ムッソリーニは処刑されます。

もう随分前から(ムッソリーニの政権時代から)食べ物がないことや失業率の高さ、物価の急上昇などを我慢してきた国民は不満爆発、世論などでも、もう王制は止めた方がいいのでは?といわれることになりました。そこで1946年に選挙が行われて、王様は必要かどうかみんなで国民投票で決めることにしました。

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結果、王様はいらないということになり、国外追放されます。

そして君主を持たない共和制国家の誕生となりました。これが現在のイタリア共和国です。(終わり)

DSCN0911.JPG

↑ 共和国になって、初代大統領はデ・ニコーラ、首相はデ・ガスペリ(キリスト教民主主義/中道右派)が担当することになりました。このクイリナーレ宮には共和国が誕生した1946年以降、大統領官邸として使われています。

DSCN0908.JPG

↑ ちなみにイタリアの大統領の任期は7年間です。イタリアの場合、大統領の権限は形式的な(象徴的な)元首です。例えば、罪人の恩赦や減刑を行ったり、首相を指名することができます。現在のジョルジョ・ナポレターノ大統領は2006年より現職です。

Fontana di Monte Cavallo 1.JPG

↑ 官邸のあるクイリナーレ広場。(Piazza del Quirinale)

この周辺は徒歩でトレビの泉や、ローマ三越のあるショッピングストリートのナツィオナーレ通りまですぐで、良く賑っています。

この官邸の内部は毎週日曜日に一般開放されています!

中には大きくて美しいお部屋がたくさんあり、見学することができますよ。

オープン時間は午前8時30分から12時までです。ただし、1月6日、3月31日、6月2日、9月22日、11月3日、12月8日、22日、29日の祝日は除きます。予約の必要はありませんので、もしローマ滞在時に日曜日があるならば、是非出かけてみて下さい。

入口で一人5ユーロを払い、入場チケットを貰って入って下さいね。それでは!

筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

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