爆撃により地中からひょっこり神殿 古都パレストリーナ、日本人が知らない町 その2

公開日 : 2013年12月21日
最終更新 :

皆さん、覚えていらっしゃいますでしょうか?

以前に、"爆撃により地中よりひょっこり神殿が出てきたことで一躍有名になった、パレストリーナの町"をご紹介しました。今回はその2(完結編)です。(その1はこちら) この町はこんなにローマから近いのに、いつ行っても日本人の観光客には会わないんですよね。 町の観光案内で配布されているパンフレットは日本語訳入りで、町の人はどうやら日本人の皆さんが遊びに来てくれるのを首を長くして待っている様なんですが・・・。 先日はカメラをぶらぶらさせながら町を歩いたので、「どこからから来たのかい?」などなど話しかけられます。「ローマです。」と答えると、「あっ、そうだよね。ローマ訛りがあるからどうもおかしいと思った!」などと言って笑わせてくれます。イタリア人はあまり人見知りをしないので面白いですよね。

とある日本人男性(30歳)が昨年、シチリア島に2週間一人旅をしたのですが、小さな町では道を歩いていると人がやたら話しかけてきたり、うちに寄っていかないか?とか、バールに入れば隣の人がおごってくれたり、ホテルのレセプションの人はご飯から何から何まで心配してくれたなどと体験話をしてくれました。

一番びっくりしたらしいのは、ある日気づいたら自分の後ろにぞろぞろ人がついて来てた。何だと思った。立ち止まったら皆に取り囲まれて、どこに泊まってるんだ?とか、日本人なのか?横浜は知っているか?おじさんは若い頃、船乗りでな、横浜には何回も行ったんだぞ。うちに来て昼でも食べていかないか?とか聞かれたそうです。

(おじさんから日本に持って行けと、ワインの手土産も貰ったそう) シチリアはどうだった?と聞いたら、「いやぁ~イタリアは人が面白い!」と言っていました。

この友人はイタリア語は全く話さないので、コミュニケーションは英語だったそうですが、イタリア語が聞き取れたら相当面白い旅になっていたんじゃないかと思いました。人がついてくるなんて、何だかコントみたいじゃありませんか? それでは、パレストリーナの観光スポットをひな壇のようになっている町の下部から順に紹介していきます!

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↑ 神殿の最も高い部分より下の町を望む。写真中央の三角屋根がドゥーモ(サンタガピト)の鐘楼。 まずは町の中心にあるのは、一番大きく重要な教会、ドゥーモ(サンタガピト)です。レジーナマルゲリータ広場に位置していて、 この町生まれの聖人、アガピトに捧げられています。

その後、てくてくと歩いて教会音楽の父ともいわれるルネサンス期に活躍した大作曲家 ジョヴァンニ・ピエルルイジ・ダ・パレストリーナの生家を訪れてみて下さい。彼はミサ曲を100曲以上残しました。内部は音楽関係の書籍や譜面を集めた音楽図書館になっています。男性の職員さんがこの作曲家の人生などを丁寧に説明してくれます。(途中から説明に熱がこもって来て、1時間以上も話してくれました。)

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↑ 続いて、お土産に買って帰りたい食べ物です。

これは"Giglietti" (ジリエッティ)といって、百合の花の形をしたビスケットでパレストリーナの名物。卵、小麦粉、砂糖を混ぜて百合の形を作りオーブンで焼く。さっぱりしたボーロのような味。

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↑ こちらは"Ciambelline"(チャンベッリーネ)というビスケットの一種で赤ワイン味、白ワイン味、ナッツ味などがある。味は沖縄県のお菓子"ちんすこう"に似ている気がします。

大作曲家ジョヴァンニ・ピエルルイジ・ダ・パレストリーナの生家より少し歩くと、重要な作品が集められている2005年オープンのパレストリーナ司教区博物館です。迷っても町は小さいので心配いりません。ここの目玉は長いこと世に知られていなかった秘蔵、ミケランジェロの彫刻 "エオロ"やカラヴァッジョの作品とされる"聖アガピトの斬首"などが展示されています。

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↑ 町の目玉のひとつ、ミケランジェロの彫刻 "エオロ"。 パレストリーナ司教区博物館は面積は小さいのにもかかわらず、大理石の碑文や歴代教皇の聖遺物、聖具、絵画など約600点を展示。

そして、町も中断まで上ってくると、フォルトゥーナ プリミジェニア神殿(紀元前2世紀の終わり頃)があります。イタリア半島におけるギリシア様式建築の例としてその壮大さは比類を見ないものです。

こんなに大きい神殿が第二次世界大戦の爆撃でひょっこり出てきたんですよ!

こんなのが自宅の下から出てきたらびっくりするではありませんか! ひな壇のように丘の斜面に6段の人口テラスが建てられていました。神殿で最も重要な部分は半円形のテラス部分で、この場所に井戸があり、ここで町の貴族ヌメリオが神託を得ていました。この半円形のテラスの2つは完全に壊れず今も残っています。 

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↑ 壊れずに残っている半円形のテラス。遺跡の中にがんがん入れるので、近寄って観察できます。昔の人はどんな思いで神殿を造って、そして利用したのでしょうか。

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↑ 神殿のとにかく長~いテラスの片側部分。

続いて、標高450メートル程の町の頂上まで登って来ると国立パレストリーナ考古学博物館があります。見晴らしがいいです。博物館は町を全て見下ろせる高台フォルトゥーナ神殿の頂上部分にあり、バルベリーニ宮殿の建物の中にあります。

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ここには考古学的に重要な発掘品があるんですよ。

カピトリヌスの三神、プライネステ及びその近郊から出土した彫像や、女神フォルトゥーナ信仰に関するもの、古代の住居の床を飾っていたモザイクなどを展示してあります。ネクロポリスから出土した日用品、有名なナイル川のモザイクのある4階はフォルトゥーナ神殿の全景のプラスティックモデルなどが展示されています。

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↑ これが有名なナイル川のモザイクといわれる紀元前2世紀頃の作品。遠くから見ると絵のようにみえるかもしれませんが、大きな広間の床を飾っていた大きくて美しいモザイクですよ。

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↑ 細かすぎて見えない程一粒一粒がとても小さいモザイクでできていて、水辺に棲むいろいろな種類の動物が登場します。それにしても一つ一つ小さな石の色を変えて絵を描いていくなんてすごく気の遠くなる作業。床モザイクなので踏みつけられていたんですね。贅沢な床ですね~。 当たり前ですが、大昔からカバやワニはいたんですね~。ハスの花もあったみたいですね。屋台舟みたいなのを漕いでナイル川を渡っていたのでしょうか?

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パレストリーナの町の多面性は、多くの人を魅了してきました。 ドイツの作家ハインリヒとトーマスのマン兄弟は夏に何度となくパレストリーナに滞在し、人々の生活などを書き残しています。

まだまだお伝えしたい見所は沢山あるのですが、スペースの関係で全て書ききれませんでした。 ローマへお越しの際は、古都パレストリーナを是非訪れてみて下さい!

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インフォメーション:

主な見所: 

神殿入り口の柱廊跡、太陽の門、レジーナマルゲリータ広場(ローマ時代の神殿跡、聖域、神託所、アプシスのある広間、魚のモザイクなど)、ドゥーモ(サンタアガピト)、ジョヴァンニ・ピエルルイジ・ダ・パレストリーナの生家と博物館、パレストリーナ司教区博物館、フォルトゥーナ プリミジェニア神殿、国立パレストリーナ考古学博物館、サンタロザリアなど。

行き方: 

(バス)ローマの地下鉄A線のAnagnina(アナニーナ)駅から出ているCOTRAL社の青いプルマンで所要約30~40分。月~土曜日は約30分に1本、1日40便程ある。日・祝日は1日15便運行。切符は片道2.2ユーロ 。Via degli Arcioni(もしくは付近のことも)で下車して Porta del Sole(ポルタ デル ソーレ)まで歩くと、すぐに右側に観光インフォメーションが見えてくる。立ち寄って地図やパンフレットをもらおう。その時に帰りのバス停の位置も確認しておくと良い。

*電車+バスで行く方法もあるが、パレストリーナには最寄の鉄道駅がないため、ローマ中央駅テルミニ駅から乗車後、近隣の駅Zagarolo(ザガローロ)で降りてパレストリーナ行きのバスに乗り換える。電車でザガローロまで所要約30分、片道2.6ユーロ。その後パレストリーナまで市バスで。

筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

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