ローマに来たなら一度は近くで見てみたい、迫力のローマ水道!(公園の行き方最新情報)

公開日 : 2014年11月04日
最終更新 :

週末はお天気が良かった為、ローマ水道を見に水道橋公園(パルコ・デッリ・アックエドッティ Parco degli Acquedotti)へ行って来ました。

ローマ水道とは、名前そのままですが、紀元前312年~3世紀前半にかけて古代ローマで住民においしい水を運ぶ為に建設された水道です。

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↑ 水道橋公園の航空写真です。写真左側にローマ水道が見えます。

手前には羊の群れが見えるので、田舎で随分郊外に来てしまったのかと思ってしまいますが、実はまだ地下鉄A線の運行区間内にあります。

CARTANEW.jpgのサムネール画像

↑ 水道橋公園は、大きなアッピア街道州立公園(Parco Regionale dell'Appia Antica)の一部です。水道橋公園内には、ローマ水道11本のうち6本が公園内を通過しています。ずっと後の16世紀に、ローマ教皇シクストゥス5世が建設したフェリクス水道を加えれば7本もあります。

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↑ ローマ水道は全部で11本、建設されました。古代ローマ人はコンクリートを発明したことでも有名で、非常に高度な建築技術を持っていました。それらは帝国内の領土のあちらこちらに建てた、橋や水道橋などに存分に活かされています。 

驚くことに、11本の中の一つ、ヴィルゴ水道は2000年近く経った今でも使えています。

今日は、水道橋公園で最も美しい形で見ることができる、クラウディア水道(ラテン語:Aqua Claudia)への行き方をご紹介したいと思います。行き方も最も簡単で近いルートをご紹介します。

地図上で赤い線が、クラウディア水道が建設されたルートです。クラウディア水道は、ローマ帝国の第3代皇帝カリグラが38年に着手し、52年に第4代皇帝クラウディウスが完成させた水道で、全長69kmあります。

古代といえども、約14年で完成するとは全くたまげたものです。アニエーネ川の高い谷部分から、きれいな水を引いて来ました。

↑ 行き方は簡単です。

地下鉄A線のスバウグスタ駅(Subaugusta)で下車し、ひたすら真っ直ぐ歩き、徒歩約10分で水道橋公園の入口に着きます。スバウグスタ駅では、"Via T.Labieno(ティート・ラビエーノ通り)"と書いてある地上出口から出ます。出口を上がるとバールが真右(道の角)にあります。

そのまま地下鉄の出口を背にして、ひたすら突き当りまで歩くと、そこは公園内へ入る入口です。

水道橋公園近くまでは、バスの557番、451番、503番、552番、558番、559番、590番、650番、654番も行きますが、バスの場合はかなり慣れていないと降車の停留所が分かりづらいと思いますので、地下鉄のスバウグスタ駅で降りる方法がよろしいかと思います。

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↑ 公園内に入ると、左側に子供達が遊ぶ遊具や、右側にサッカーをするスペースがある広場がありますが、依然地下鉄の出口を背にした形で公園の中をぐんぐん突き抜けて行きます。(一つ前のマップをご参考下さい)

途中、コンクリートの小さな土手がありますが、土手を越える小さな階段が付いているのでそれを利用して更に進みます。マリアーナ(もしくはマラーナ Acqua Mariana、もしくはAcqua Marana)という人口の小川も橋を渡って越えます。(上の写真)

小川(マリアーナ水道)を越えるとすぐに、きちんとした道が出てきます。

この時点で右斜め前方向に、もういくつかの水道橋の残骸が見えると思いますが(マップの黄色の矢印部分)、この道を右ではなく、更に左に進みます。

少し行くと、左側に建物(カサーレ・ディ・ローマ・ヴェッキアという13世紀に建てられた塔の家 Casale di Roma Vecchia)が見えてきます。この建物を通り過ぎて道なりに右方向に曲がると、壮大なクラウディア水道が見えてきます!

(公園の入口からここまでの所要時間:約8~10分)

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↑ 土曜日の午後3時頃なので、親子連れなど子供達もたくさん遊んでいました。写真の右側がクラウディア水道です。

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↑ 凧揚げをしている人がいました。子供が揚げているのかと思いきや、全員、お喋りに夢中になって凧を揚げているおじさんでした。

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↑ こちらがイタリアの凧です。

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↑ 今度は大きい凧が来た!と思ったら飛行機でした。

ヨーロッパの各都市を結ぶ、格安航空会社のライアンエアー(Ryanair アイルランド国籍の格安エアライン)です。実はこの公園の南方向約5kmにローマ・チャンピーノ空港があるので着陸態勢に入っていて、もうフラップと車輪がおりています。タイムテーブルを調べてみると、おそらくロンドンのスタンステッド空港から来た飛行機の様です。こんなに晴れていると、きっと空から水道橋も見えますね!"いらっしゃ~い!" と手を振りました。

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↑ ローマのシンボルともいえる松の木は、傘を開いたような樹形をしているのでイタリアカサマツ(イタリア笠松 学名:Pinus pinea L.)といいます。水道橋と青い空と絵になります。

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↑ 水道橋のすぐ脇に道があり、散歩をする人、サイクリングをする人、ジョギングをする人がたくさんいます。この道のすぐ隣はゴルフ場の為、フェンスが張ってあり入れません。

このゴルフ場、アルキ・ディ・クラウディオ・ゴルフクラブといいますが、ゴルフ場のプロモーションビデオは空中からの撮影であり、脇にあるこの水道橋のイメージがとても良く分かります。ご興味のある方はこちら (ビデオの長さ:6分9秒)

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↑ 水道橋が切れているところからは内部の構造(水管部)が分かります。

ここを水が通っていたのですね。水に圧力をかけずに(自然に)流すには微妙な勾配が必要ですが、ローマ水道は非常に厳密に計算された上に精巧に作られており、通常規格と呼ばれるものでは1kmあたり、僅か34センチの傾斜だそうです。

例えば、紀元前144年前後に建てられた、マルキア水道は古代ローマ水道の中で一番長く、全長が91km以上ありますが、そんなに遠いところから水を引っぱって来ようと考え、そしてそれを完璧に実行した方々には本当にすごいといわざるを得ません。この水道の水は、カラカラ浴場などへ給水していました。お風呂も楽しめます!

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↑ ぽつぽつと遺構が残っています。夕日の中では、何だか物悲しい水道橋です。古代の夢の跡です。

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↑ 水道橋公園は夕暮れ時には人影も少なくなるので、遅い時間の訪問は避けた方が良いです。一番訪問者の多い日は、家族連れが多い土・日曜日ですので、これらの日の昼間に訪れると安心して楽しめると思います。私も、もうそろそろ家に帰ります。

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筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

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