【イタリア中部地震】10月30日の地震M.6.5に伴う被害と、現在のイタリアの状況について

公開日 : 2016年11月04日
最終更新 :

イタリア中部では、2016年8月24日、10月26日、10月30日に大きな地震がありました。10月30日早朝に起きたマグニチュード6.5の地震は、1980年以来イタリアで起きた最も大きい規模の地震となりました。地震から4日が経過した現在の状況をお届けしたいと思います。

* 8月24日以降、マグニチュード6クラスの大きな地震が続きましたが、死亡者300名という最も大きな被害を出した8月24日(水)の地震についてはこちらにまとめてあります。

8月24日の地震について詳細:

2016年8月25日号 【イタリア中部地震】8月24日の地震M.6.2に伴う被害について(加筆9月3日13時50分)こちら

2016年8月31日号 【イタリア中部地震】M.6.2地震発生直後の現地の様子と現在のイタリアの状況について こちら

イタリアには州は全部で20州ありますが、これら3回の大きな地震が発生したのは、丁度4つの州の州境辺りです。

↑ マグニチュード6.2を記録した8月24日の地震は、ウンブリア州ペルージャ県ノルチャの南東方向にある3つの市(アックーモリ Accumoli 、アマトリーチェ Amatrice、アルクアータ・デル・トロント Arquata del Tronto)に特に被害が集中しました。ローマとこれらの地震の震源とされる地方には約150キロの距離があります。(* 前述の二つの記事に、イタリア中部の地理と震源地のより詳しい説明があります)

イタリア中部で8月24日以降に起きた大きな規模の地震は、次は10月26日(水)のものでした。この日は2回大きな地震がありました。1回目の地震が起きたのは19時11分頃です。家の前で19時30分に人と待ち合わせをしていたので、丁度出掛ける準備をしていました。すると突然窓がガタガタといい始めたので、おかしいなぁと思っていたところ、すぐに天井と壁が小刻みに震え始めました。窓の外から悲鳴が聞こえます。個人的には、8月24日未明に起きた地震よりも強く感じました。すぐに震度を確かめようとパソコンからインターネットの地震サイトにアクセスしたのですが、全く繋がりません。5~6サイト試したのですが全滅でした。そこでスマートフォンから自分のツイッターのタイムラインに入ると、イタリアのニュースサイトが出す地震情報のツイートが続々と入って来ました。地震直後はツイッターでの情報収集が一番早かったです。1回目の地震はM.5.4ということが判明しました。待ち合わせの為、家の前に出ると、地震に驚いたたくさんの人が歩道に出ていてびっくりしました。近所の人もいましたし、たまたまバールなどでお茶を飲んでいた別のゾーンに住む人なども皆、お店の中から歩道に出ていました。2回目はその2時間後の21時18分頃です。こちらはM.5.9と更に大きな地震でした。

そして、最も強い揺れの地震があったのは、今から4日前の10月30日(日)の7時41分です。冒頭でもお伝えした通り、1980年以来イタリアで起きた最も大きい規模の地震となりました。マグニチュードは6.5です。当初はM.7.1とニュースで流れていましたが、後に政府から修正が入りました。これはかなり揺れました。筆者が今までイタリアで体験した地震の中で最大級のものである!ということには疑いの余地はありません。寝ていたのですが、部屋全体(360度)が音を立てるので、なんだろう?と思い目を覚ましました。揺れるので目が覚めたというよりも、窓や家具の軋む音で起こされたといった方が正確です。天井を見ると、シャンデリアが左右にぶらんぶらんと大きく揺れ、がっしりした石の壁も動いている様(?)です。地震のエネルギーはすごい、と呆気に取られていました。

8月24日の一つ目の記事にも書きましたが、この時も窓の外でカモメが激しく興奮していました。ギャアギャアと鳴きながら回っています。

震源地は8月24日の地震とほぼ同じ場所でしたので、付近にいらした皆さんは既に最初の地震の時に安全な場所に避難されています。地震による被害状況ですが、死者は0名、負傷者は20名程です。これらの一連の地震で、住んでいる家から離れなければならなくなった人は3万人に上ります。

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↑ 10月30日の地震はローマでも被害がありました。写真はローマの映画館ですが、入口部分に損傷が見られ、建築材料が歩道に落ちていました。

例えば、サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂では壁にひびが入ったり、内部の装飾が床に落ちたことから、点検の為に一時閉まりました。ボロミーニが携わったことで有名な、美しいバロック建築のサンティーヴォ・アッラ・サピエンツァ教会のクーポラ(ドーム)にも亀裂が入りました。コロッセオは専門家が内部の点検をしましたが、安全上には問題はありません。ローマでは、道路やトンネルの検査が続いている為、交通渋滞が多く見られます。特に昨日の夕方はローマ大環状線(G.R.A.)を点検の為に一部の区間で一車線に絞っていたので、車の流れが悪かったです。

個人宅では、やはり壁に亀裂が入ったり、マンションのエレベーターが落ちた所もある様です。

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↑ この写真は、ウンブリア州ペルージャ県ノルチャ(Norcia)の市庁舎の右隣にあるサン・ベネデット教会を8月24日の大地震のすぐ後に撮影したものです。この時の地震で、このサン・ベネデット教会の右側の尖塔がぐるりと回りました。(写真参照)ノルチャは震源地から最も近い町の一つでありながら死者0名、負傷者0名でした。(ノルチャの状況については、8月24日の二つ目の記事で詳しくご紹介してあります。こちら

教会の内部は物が倒れるなどしたので、地震後は教会は閉められていましたが、建物自体が崩れる様なことはありませんでした。しかし、今回の10月30日の地震でほぼ全壊してしまいました。実際に自分の目で見ただけに、とても悲しく今でも信じられません。

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↑ ノルチャのサン・ベネデット教会は、10月26日の地震で衝撃を受けた後、今回10月30日の強い地震で完全に崩れてしまいました。(写真:Repubblica.it / Terremoto di 6.5 tra Norcia e Preci. E' il più forte in Italia dal 1980.より借用 リンク

4日前の地震(10月30日)が起きた時に、イタリア人の友人が震源となった場所から近いホテルに泊まっていたので心配になり電話をしました。家族でホテルの朝食会場で朝ごはんを摂っていたそうですが、地震でテーブルの上のタルトが飛び、それを目にした子供達は号泣、初めての怖い地震体験ですっかりトラウマになってしまったそうです。(翌日予定を切り上げローマへ帰宅)

イタリア中部では、依然余震が続いています。10月30日の最後の大地震から、今日まで200回以上ありました。今日の未明にもM.4.8の大きな地震があり、ローマでも感じられました。これからイタリア中部を訪問する予定の方は、いつでもニュースにアクセス出来る環境を整えられて下さい。以上、今回はレポート形式で長くなりましたが、宜しくお願い致します。

筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

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