ヴェネツィアの高潮チェックアプリをインストールしよう!

公開日 : 2019年12月02日
最終更新 :

ヴェネツィアはアクア・アルタ(Acqua alta)と呼ばれる異常潮位現象が心配な季節ですが、どきどきしながらも、最近仕事で2回程、ヴェネツィアに滞在しました。

10月下旬の一度目は晴天に恵まれましたが、二度目は11月7~9日にかけて滞在しました。ローマに戻って来てその2日後。1923年以来、観測史上2位の最悪の高潮となってしまい、非常事態宣言が出されました。

IMG_7485_01.JPG

↑ 10月下旬に訪れた時のものです。仕事が夕方に終わったので、その後に、個人的な観光を始めました。本島のサン・マルコ広場のすぐ向かいにある、サン・ジョルジョ・マッジョーレ島へ行くヴァポレット(水上バス)の中からの写真です。雲と波が創り出すダイナミックな動きに引けを取らない、沈みゆく夕日の生命と力強さが感じられました。

IMG_8999.JPG

↑ サン・ジョルジョ・マッジョーレ島のサン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂の鐘楼に上りました。まるで夢の世界に迷い込んでしまったかのような、夕刻の美しいヴェネツィアです。

IMG_7550.JPG

↑ こちらは、2回目の滞在の時です。11月8日は朝から強い雨が降り、あっという間にいつも通っていた歩道が冠水してしまいました。カンナレッジョというゾーンで、朝10時頃に撮影したものです。

IMG_7552.JPG

↑ ちょうど正午にサン・マルコ広場に着きました。こちらは既に海から広場に水が上がって来ており、周辺の道はかなりびしょびしょな状態でした。しかしながら、水のあるところは、設置された足場の上を通って移動することが出来ました。通常の高潮ですと、ヴェネツィアではすぐに足場などが用意されますし、もし必要ならば、長靴や靴をすっぽりと覆うカバーなどを購入したりも出来るので、それ程心配することはありません。

ヴェネツィアから帰って来て僅か2日後に街は非常事態に突入、大変なことになったと知り、宿泊していたホテルに高潮の被害は大丈夫かどうか電話をしてみました。

ホテルのレセプションのお姉さんによると、ニュースで見るよりも実際は10倍も酷い状況だそうで、激しい雨などにより海の水位が53年ぶりに2メートル近くも上昇、海水がホテルのレセプションを含む1階部分に侵入して電気系統が全壊したそうです。ここまでの酷さはヴェネツィア生まれのお姉さんも初めて見たそうで、普通は浸水するはずがないホテルの1階部分の設備や、電話、インターネットなどの通信機器も今回は全て使えなくなってしまったので、今朝、漸く新しいものに交換したところと話してくれました。

街の様子ですが、幾つかのゴンドラは係留ロープが激しい波で切られて沖へ流され、大きな船やヴァポレットも横転し、狭い道にはまって抜けなくなっているものもあると教えてくれました。

また、お姉さんが仕事を終え帰宅しようとしたところ、実家のすぐ前の通りが川のようにゴーゴーと流れていて、夕方で暗く、とても不安だったそうです。また、近くにある教会も、美術品などの避難が間に合わずに大きな被害を受けたとのことでした。ヴェネツィアの80%が浸水してしまいました。

この季節にヴェネツィアを訪れる場合、ヴェネツィアっ子のお姉さんもおすすめの潮位をチェックするアプリがあります。ご自身の身を守るためにも、ヴェネツィア訪問前に、予めスマホにインストールしておくと安心です。

IMG_7555 ferrovia_SL1.png

↑ ヴェネツィア市の公式ホームページによると、サンタ・ルチア鉄道駅のある場所の海抜は135㎝、高潮により身体が水に浸かる部分の予想は上部の図のようになります。11月の非常事態宣言時は187㎝を記録しましたので、絵でいうと大体足の真ん中くらいまで来た感じです。

IMG_7565 rialto.png

↑ 続いて、ヴェネツィアでも有名な観光スポットであるリアルト橋付近です。海抜は105㎝となるため、私たちにとってさらに余裕はなくなります。

IMG_7600 san_marco.png

↑ 最も海抜が低いのが、80㎝しかないサン・マルコ広場です。今回の高潮で、歴史あるサン・マルコ大聖堂も浸水してしまいました。

IMG_8000_01.JPG

↑ こちらが、Hi!tide Venezia という市の公式アプリを操作した時のものです。この日も危険潮位のオレンジ色で、128㎝まで上がって来ました。イタリア語でDomenicaは日曜日、Lunedìは月曜日、Martedìは火曜日で、数日先まで予測出来ます。また、画面左上に出るModifica(変更)をクリックすると、市内のさまざまな地点(地名)が表示されるので、知りたい場所を細かく選択することが可能です。

* 現在、iPhoneでアプリをインストールした場合、バグなどの不具合が生じているようです。機種によっては問題はないかもしれませんので、ご確認下さい。(2019年12月2日現在)

IMG_8300.PNG

↑ 例としてiPhoneのアプリの場合です。左のリアルト橋の絵のHi!tide Veneziaが市の公式アプリです。右のお魚のアプリもシンプルでかわいいです。お魚のアプリは、知りたい海抜のところを選ぶと(設定のマーク→Altezza della riva 岸の高さ)海水面が動き始めます。スマホにまずは公式のアプリを入れ、その他にも何種類かお好みのものを入れて、常に潮位を比較しながら安全なゾーンを歩かれると良いでしょう。

幾つもの街が束になっても敵わない、唯一無二の美しい水の都、ヴェネツィア。完全復旧までには少し時間がかかると思いますが、安心出来る暮らしが一日でも早く戻りますようにお祈りしたいと思います。

筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。