イタリアの新型コロナウイルスの最新情報「12日からイタリア全土にて商業活動の制限措置」

公開日 : 2020年03月16日
最終更新 :

新型コロナウイルスが猛威を振るうイタリアから、2020年3月9日より現地の状況を見たままお届けしています!

イタリアで新型コロナウイルスの感染者数が多いのは、おもにイタリア北部のロンバルディア州(全体)、エミリア=ロマーニャ州(こちらの5県:モデナ県、パルマ県、ピアチェンツァ県、リミニ県、レッジョ・エミリア県)、マルケ州(1県:ペーザロ=ウルビーノ県)、ピエモンテ州(5県:アレッサンドリア県、アスティ県、ノヴァーラ県、ヴェルヴァーノ・クシオ・オッソーラ県、ヴェルチェッリ県)、ヴェネト州(3県:べネチア県、パドヴァ県、トレヴィーゾ県)です。この状況は基本的に変わっていません。

ですが、北部から徐々にイタリア全土に拡大していることもあり、3月9日の夜にイタリア政府は新たな首相令を発出し、今までロンバルディア州全地域と4州の14県のイタリア北部を中心とする地域に適用されていた移動制限を、10日の朝からイタリア全土に適用すると発表しました。ただし、職務上や、あるいは健康を理由とした移動などの必要性がある場合を除きます。

それから2日経った11日の夜、コンテ首相は新たな声明を発表しました。内容は、新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、2020年3月12日からイタリア全土で生活必需品の販売店、薬局、ドラッグストアを除くすべての商業および小売り販売活動の休止措置を取るというものです。期限は3月25日までです。

生活必需品の販売店のなかには、例えば食料品を売るお店、スーパーマーケット、金物屋さん(水道が壊れた時などに必要)などが含まれますので、生活するのに必要な食料の確保に困るということはありません。

しかし、バール、カフェ、喫茶店、パブ、レストランなどのお店は、宅配サービスができる可能性を残して一時休業することになっていますので、イタリアでは、日本のコンビニの数より多いとされる便利なバールが閉まってしまうので影響を受けている市民が多くいます。

イタリアの人々は、朝ごはん(クロワッサンとカプチーノなどの組み合わせなど)や、夕食前のアペリティーヴォサービスなどにバールをよく利用します。お茶の時間に気軽に立ち寄れたり、パニーノなどの軽食もテイクアウトができるバールは、どこにでもある便利で身近な存在でした。筆者が見たところ、この11日の首相令発布当日から、宅配サービスも行わずほとんどのバールが休業してしまっています。

イタリアのバールについての参考記事:

2013年6月21日 イタリア人の朝ごはん スウィーツてんこ盛り 美食の国の朝ごはん その1

イタリアのアペリティーヴォ文化についての参考記事:

2013年8月6日 お金を使わずに夕食を乗り切る方法。節約旅行のちょっとしたコツ。その1 https://tokuhain.arukikata.co.jp/rome/2013/08/post_146.html

また、この商業活動の制限措置により、対人距離1mの確保ができない理美容院、美容エステ店や食堂のサービスは休業することとなりました。

企業においては、感染を避けるため、自社の従業員に安全ルールを守らせることができるのであれば生産活動は継続することが可能とありますが、実際はお店を閉めてしまっているところがほとんどです。筆者の住む地域も、ところどころにあるスーパー以外は、あらゆる種類のお店が一時閉店してしまっているので、まるでゴーストタウンのようになっています。

重要な部分ですが、公共交通機関や、公益に資するサービス、銀行、郵便、金融、保険サービスなどの、生活に不可欠な公共サービスは保証されていますのでご安心ください。また、保健衛生の規則を守る限り、農業、畜産業、農産品加工業およびこれらの業者に物品、サービスを提供する流通業の継続も保証されています。

イタリア国内のお店が閉まるニュースを聞いたのは、12日深夜1時頃でした。この日12日にどうしても買わなければいけないものがあったため、10時の開店と同時に買い物に行くつもりでしたが、「もう買えない。どうしよう....。」という絶望感に襲われ、激しく泣きじゃくりながら床に就きました(ちょっと大袈裟でした)。

それでは翌12日の朝、町を歩いて撮影してきたお写真をお届けします。

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↑ 家の近くの生協(COOP)です。入口には新型コロナウイルス感染予防対策として、対人距離を常に最低1mとって行動することなどが大きく書かれています。こちらのスーパーは食料品店のため、強制閉店にならずにオープンしていましたが、入店のための列が長くできていて、入ることを諦めました。

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↑ 薬屋さんは開いていましたので、ほっとしました! 店内を覗くと、ふたりしかお客さんがいないようだったので、こちらでは、あまり広くない店内に最大2名の入場制限をしていると思われます。人から人への感染を防ぐためです。お店の外には、人と人の距離を大きく空けて待っている人がいました。列の一番うしろに待っていそうな人に「あなたが一番最後ですか?」と声をかけて確認してから並ぶと、いろいろな方向に列ができてしまい、どの列が正しいのか分からなくなることがないので安心です。

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↑ 生協には列が長くできていたので、別のスーパーに行ってみました。こちらも列ができていて、店内に入るまで15分くらい待ちました。国の規定では、人と人の距離を最低1mはとることとありますが、1mどころではなく、皆さん対人距離を大きく空けて列を作っています。

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↑ いよいよ入店が迫ってきました。このお店から買い物をして出てきた左の方のように、最近のイタリアでは、感染予防にマスク以外に手袋(ビニールやゴム製)をしている人も散見されます。イタリアには、もともと風邪や花粉症などでもマスクをする習慣はありませんが、ここ数日は町を歩くと半数くらいの人がマスクをつけています。マスクが品薄状態なので、マスクが手に入れられなかった方などは、マフラーで顔を覆っているのを目にします。

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↑ やっと買い物が終わり、今からレジに並ぶところです。レジの列も、前の人と最低1m以上距離をとって並びます。筆者の前にいるイタリア人男性がカゴに入れているのが、典型的なお買い物の例です。スーパーでは、冷凍のピザ、オリーブオイル、缶詰の豆類、牛乳、洗剤、クッキーなどが良く売れていて品薄です。これらの陳列棚は、がらがらになってしまっているところも多いです。

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↑ めざましテレビさんにお貸しした画像ですが、この中央に見えるマスクの男性のように、スーパーなどの入口では、店員さんが厳重に入場制限をしています。例えばこのお店では、広い店内に最大で45名までしか入れないように入場制限をしているそうです。規定では、この人数には店員も含まれるため、実際にはお客さんは38名で、1名お店から出たら1名入れるというように、厳しく入場人数の管理をしなければいけないとのことでした。イタリア全土で爆発的に感染者が増えているなか、店員さんも命がけで行っています。

それでは、イタリアの現地在住者が見た新型コロナウイルス情報はまた続きます。刻々と状況は毎日変わっていますので、最新の情報入手と必要な感染予防をお願い致します!

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筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

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