「各種制限15日延長の可能性も」イタリアの新型コロナウイルス最新情報

公開日 : 2020年03月30日
最終更新 :

新型コロナウイルスが猛威を振るうイタリアから、2020年3月9日より現地の状況を見たままお届けしています!

イタリアでは一昨日(3月27日)、新型コロナウイルスによる1日の死者数がほぼ1000名に達し、ウイルスが流行し始めてから1日当たりの最多の死者数を記録しました。これでイタリアの新型ウイルスによる犠牲者数は合計で1万名を超えたことになります。ちょうど1ヶ月前は、イタリア全体の感染者数は200名程度でしたが、今日現在の感染者数は7万4000人となっています。1ヶ月でこのように爆発的に感染者数が増えてしまう怖ろしさを、現地で身をもって感じています。

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↑ 販売活動におけるルールがより厳しくなった先週は、遂にお店の入口に遮断棒が出現しました! 地面の足元にもシールが貼られています。人と人との接触を完全にシャットアウトすることが目的であり、こんな形で買い物をしています。感染拡大防止の為、この小さなお店(食料品店)の中にお客さんは入店することができず、店の外から商品を選んで伝えないといけません。

これまでの、イタリア政府が発出した新型コロナウイルス感染拡大防止措置に関する法令の流れを簡潔にまとめてみたいと思います。法令の一つひとつの詳細と、その時点の最新の状況については、過去の記事をご覧下さい。

イタリアで最初に新型コロナウイルスの感染者数が多く出たのは、おもにイタリア北部のロンバルディア州(全体)、エミリア=ロマーニャ州(こちらの5県:モデナ県、パルマ県、ピアチェンツァ県、リミニ県、レッジョ・エミリア県)、マルケ州(1県:ペーザロ=ウルビーノ県)、ピエモンテ州(5県:アレッサンドリア県、アスティ県、ノヴァーラ県、ヴェルヴァーノ・クシオ・オッソーラ県、ヴェルチェッリ県)、ヴェネト州(3県:べネチア県、パドヴァ県、トレヴィーゾ県)です。

ですが、北部から徐々にイタリア全土に拡大していることもあり、2020年3月9日の夜にイタリア政府は、今まで上記の地域のみに適用されていた移動制限を、10日の朝からイタリア全土に適用すると発表しました。この首相令により住民は、基本的には外出してはいけないことになりました。ただし、職務上や、健康を理由とした移動などの必要性がある場合は除きます。

そしてその2日後、コンテ首相は、「新型コロナウイルス感染拡大を防止する為、3月12日から3月25日まで、イタリア全土で生活必需品の販売店、薬局、ドラッグストアを除くすべての商業および小売り販売活動の休止措置を取る」という声明を発表しました。生活必需品の販売店の中には、食料品店、スーパーマーケットなどが含まれます。また、公益に資するサービス、銀行、郵便、金融、保険サービスなどの生活に不可欠な公共サービスは休業することなく営業を保証されています。

しかし、25日の期限が切れる3日前の22日になっても、一向に感染者数の増加は衰える気配が見られなかったため、コンテ首相は上記の「販売活動の休止措置」を23日より、さらに厳しく、狭いカテゴリーの職種(お店)にしぼって営業可能としました。期間も25日までではなく、4月3日までに延長となっています。ですので、本来でしたら、26日からはイタリア国内のお店は営業開始の予定でしたが、現在のところ商業施設はまだ閉まっており、ゴーストタウン化しています。

また、22日の首相令では、3月8日発出の首相令第1条1項 a)で規定されていた「自らの住所、住居、居住地への帰還は許可される」という規定が廃止となりましたので、自治体間の移動が禁止となりました。ただし、航空券と有効な旅券を所持して、イタリアから日本に帰国される方の空港への移動、出国については制限されることはありません。イタリア旅行を目的とした国内の移動は絶対に避けねばならず、すでに旅行中であるイタリア人および外国人は、帰宅の為の移動であれば行うことが可能です。

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↑ 筆者の前でスプレーなどの商品を買うお客さん。遮断棒の下でお札を差し出し、何だか怪しい取引のように見えます。今朝は、こちらのお店でクッキーを買おうと思ったのですが、お店の人に何度伝えても、筆者の伝えている商品名が間違っているようで(?)、「これ?」「いや違う!」「これのこと?」「その隣!」「この四角いの?」「それじゃない!」「じゃ、こっちでしょ?」「近い!」「これだな?」「惜しい!」の繰り返しで、新型コロナウイルスによる規制でなければ、どう見てもお兄さんとふたりでコントをやっているみたいでした。うしろの列に並ぶ皆さんに、笑いをご提供できたのが、せめてもの救いです!

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↑ このように、マスクはもちろんのこと、手袋(ビニール製やゴム製)をしている人もとても多くなっています。筆者の家の近所のスーパーマーケット・カルフールも、先週後半から入店の際に手袋の着用が義務づけられるようになりました。手袋は持参しなくても大丈夫です。お店の入口に置いてある箱の中から、自分で取って着用します。商品を素手で触ることによって、感染を拡大しないようにしているお店が増えてきました。

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↑ こちらは別のお店です。シャッターは半分閉じられ、危険ゾーンを意味するチェーンが張られています。自動車の整備部品を扱うお店で、お客さんは店内に入らずに外から要件を伝え済ませます。

イタリアの新型コロナウイルスによる感染者数ですが、今朝のニュースでは、専門家によるとまだまだ予断を許さない状況で、ピークはこれから来るとのお話をされていました。前述のイタリア全土封鎖(移動制限)や販売活動の休止措置などは、今のところ4月3日までの予定で行っていますが、それ以降も続く可能性があるとも述べていました。イタリア国内の法令により規定された営業活動ができないお店などは、休業してから4月3日で23日目となります。政府の計画では全てのお店を一気に営業再開するのではなく、カテゴリーごとに少しずつ再オープンさせるようにする方向で調整中とのことでした。その場合は客同士が密接に接触する可能性があるバールやレストラン、クラブ、映画館、シアター(劇場)などは、一番最後になる予定だそうです。

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↑ 隣の家のかわいいローマっ子のお姉さんから、また差し入れが来ていました!

いつもは夕方ですが、今日は午前中に置いてありました。顔は見ていませんが元気だといいです。イタリア全土で移動制限措置が取られ、住民は自宅待機となっていることから、自宅でお料理に精を出す人も多くなっています。家に籠って20日も経つと、料理をすることや食べることに飽きて来ます。お姉さんの差し入れで、気持ちの新鮮さが保てている気がします。

"みずほちゃんへ。今日はピザだよ。フランチェスカ"

それでは、イタリアの現地在住者が見た新型コロナウイルス情報はまた明日に続きます。状況は刻々と毎日変わっていますので、最新の情報入手と必要な感染予防をお願い致します!

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筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

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