ローマよりお届けする桜便り~EUR(エウル)地区で小さな花見散歩

公開日 : 2018年04月05日
最終更新 :

日本では花見シーズンの真っ最中ですが、ここ永遠の都"ローマ"にもやっと花見の季節がやってきました。今回は、日本式の花見ができるローマの新市街で、歴史が深い旧市街とは違った顔を持つ"EUR(エウル)地区"をご紹介します。

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ローマの中心街(テルミニ駅)から地下鉄B線で約20分と離れた場所にある比較的新しいこの地区は、ファシズムで知られたムッソリーニによる巨大な建築が並んでいるエリアで知られています。1942年に開催される予定だったローマ万国博覧会(伊語:Esposizione Universale di Roma)の略称からEUR地区として名前だけが地名として残っています。

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ローマ万博は、第2次世界大戦の影響により開催中止となったため、地区開発は一時中断されたが、現在は集合住宅やオフィスが立ち並ぶ新市街として発達しています。そのため、この地区は歴史的建造物が多く残るローマの中心街とは全く違う雰囲気を持っています。

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やはり、この地区で特徴的なのはムッソリーニによる都市計画が施されている点にあります。前回の記事でご紹介させて頂いた5大バシリカに数えられるサン・ピエトロ大聖堂とサン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂が持つそれぞれの守護聖人を一緒にした教会サン・ピエトロとサン・パオロ教会(伊語:Basilica dei Santi Pietro e Paolo)もその一つとされています。

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また、「四角いコロッセオ」という異名を持つ「イタリア文明宮殿(伊語:Palazzo della Civiltà Italiana)」も同じくムッソリーニによる都市計画の一環で古代ローマ復興を意識した建築とされていますが、殺風景な印象を受けます。 現在は、2015年にローマ発祥のブランドで知られるFENDI(フェンディ)が未完成だった内部を完成させ、本社オフィスとして使用しています。

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欧州の主な都市の中央広場で良く見かけることができ、神殿などに建てられる記念碑(モニュメント)の一種であるオベリスク(伊語:Obelisco)もここEUR地区にもしっかりと立てられています。高さが45mあるこのオベリスクもローマ万博のために建設が計画されたが、ローマオリンピック(1960年)が開催された1年前の1959年に完成されたようだ。

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1937年にムッソリーニがローマ帝国を敬慕するために造られ、イタリアの小学生の団体が良く見学に来られるというローマ文化博物館(伊語:Museo dell Civiltà Romana)やイタリア国内の郵便サービスの歴史を辿った郵便・通信の歴史博物館(伊語:Museo Storico delle Poste e Telecomunicazioni)や地方の伝統や民芸を学べる民族芸術・伝統博物館(Museo delle Arti e Tradizioni Popolari)等とこの周辺には博物館がいくつかあるのもEUR(エウル)地区ならではの特徴だろう。

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そして、エウル湖(伊語:Lago dell'EUR)があるとてもリラックスできる長閑な公園では、休日を利用してピクニックに出かける地元ローマの人たちで溢れています。さらにその湖に囲まれるように日本散歩道(伊語:Passeggiata del Giappone)と呼ばれる小道には日本から贈られた桜たちが咲き誇っています。その桜たちは、当時の日本の首相である岸信介が1959年にローマへ寄贈されたものです。

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またこの公園では、湖で手漕ぎボートを体験することができ、読書、散歩やジョギングを楽しむことができるちょっとしたレジャースポットでも知られ、暑いローマの夏にはこの湖から涼を感じて一瞬の暑さを忘れることができるので、花見の季節以外でも楽しむことができます。

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このようにEUR(エウル)地区は、旅行者が一般的なイメージとして持っている悠久の歴史が溢れるローマの旧市街とはまた違った印象を受ける新しい感覚のローマとも言えます。公園周辺にはレストランやカフェ屋さんが並んでいるので、散歩がてらにムッソリーニが残した爪痕からこの国の負の歴史を学ぶこのユニークな場所へちょっと訪れてみませんか。

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アクセス方法:メトロB線 エウル・パラスポルト駅(伊語:EUR Palasport)又は、エウル・フェルミ駅(EUR Fermi)下車

筆者

イタリア特派員

田澤 龍太郎

現地でサッカーを中心にしたスポーツ留学サポートや旅行アシスタントやコーディネーター等と現地在住の強みを活かした仕事をしながらどっぷりと濃いローマライフを満喫中。

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