パラティーノの丘で ローマ建国神話を訪ねて

公開日 : 2018年11月12日
最終更新 :

永遠の都と呼ばれるローマには、七つの丘があり、これらの丘がローマという都市の基礎を作ったと言われています。その七つある丘のうち一つの丘、パラティーノ(伊語:Palatino)は、紀元前753年4月21日にロムルスが弟レムスを殺して、ローマを建国したという伝説が残っています。このロムルスとレムスの存在は、ローマ建国神話によるもので、その双子は狼に拾われ、この丘にあった洞窟で育てられたとされています。

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今回、ご紹介する現在のパラティーノの丘は、ピクニックに最適で、遺跡が彩る美しい一画となっているが、かつては古代ローマの最高級住宅地だったところで、貴族はここに邸を構え、歴代の皇帝は、豪華宮殿を建設したと言われています。その煌びやかな姿を見ることは、今は叶わないが、この広大な一画にある遺跡群から想像力を膨らませながら歩くと少しでも実感が湧くことだろう。

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パラティーノの丘の大部分となっているのは、約300年間、皇帝の主宮殿として使われたドミティアヌス帝の建造物群の遺跡であり、皇帝の宮殿(伊語:Domus Flavia)、皇帝の私邸(伊語:Domus Augustana)、競技場と3つに分けられている。 皇帝が私的な娯楽や競技に使っていたと考えられている競技場の近くにはセブティミウス・セヴェルスの浴場(伊語:Terme di Settimio Severo)の遺跡もわずかながらも残っている。これらの遺跡群は、現在は野原になっているが、ローマ最大で20万人収容の競技場とも言われたチルコ・マッシモ(伊語:Circo Massimo)から眺めてみるとその規模の大きさに改めて驚かされる。

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パラティーノの丘の東側には、皇帝の宮殿等で使用された水を大量に運んだとされるクラウディア水道橋(伊語:Acquedotto Claudio)の一部が残されています。古代ローマ時代当時からこのように完璧さを追求すべくインフラが整備されていたことを強く感じさせてくれます。

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そして、ローマ建国神話に登場するロムルスとレムスは、羊飼いのファウストゥルスによって発見され、彼らの家族に育てられたたが、現在もロムルスの家(伊語:Casa di Romolo)の遺跡がこの地ある。このパラティーノの丘もローマ帝国滅亡後は、荒廃し、中世にはその廃墟の上に教会や城が築かれ、ルネサンスの時期には枢機卿アレッサンロド・ファルネーゼ(伊語:Alessandro Farnese)を筆頭に富裕階級がこの丘の上に庭園を造ったと言われている。

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16世紀中頃に造られたこのファルネーゼ庭園(伊語:Orti Farnesiani)は、ヨーロッパ最古の植物園の一つとされ、バラ園や松の木が生い茂る緑豊かなエリアを形成している。

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このパラティーノの丘の散策でハイライトとなるのが、紀元前46年から存在していた古代ローマの歴史でも重要な遺跡群であるフォロ・ロマーノ(伊語:Foro Romano)を見渡せる壮大な景観である。

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フォロ・ロマーノは、フォロと呼ばれる公共広場であり、ショッピング街、公民館、宗教施設のすべてを兼ねた場所でまさに古代ローマの政治経済の中心となっていた場所で知られます。かつては賑やかな繁華街だったこの一画は、「賽は投げられた」の言葉で知られるユリウス・カエサル(伊語:Gaio Giulio Cesare)との関わりが深い場所でもあり、巨大な石造りの神殿、凱旋門、下水道等と2000年以上も前とは思えない高度な文明を感じさせてくれる場所である。この地は、今日もまだ解明されてない部分があり、懸命な考古学調査が続けられている。

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可愛らしいウミネコが出迎えてくれるこのパラティーノの丘は、ローマという都市国家の栄枯盛衰を垣間見ることができるが、同時に相当な想像力が必要な場所とも言えます。古代ローマという壮大な歴史ロマンが今も息づくこの地は、 その場に立ったものしか分からない感動や風景にきっと出会えることだろう。

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【アクセスについて】地下鉄B線 コロッセオ駅(伊語:Colosseo)下車 徒歩約7分

【入場料について】

コロッセオ及びフォロ・ロマーノと共通入場が可能 

大人1名12€(2018年11月現在)オンラインの場合は、予約手数料として2€が加算される。

オンライン予約はこちらからどうぞ。

筆者

イタリア特派員

田澤 龍太郎

現地でサッカーを中心にしたスポーツ留学サポートや旅行アシスタントやコーディネーター等と現地在住の強みを活かした仕事をしながらどっぷりと濃いローマライフを満喫中。

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