ローマ帝国の港町"オスティア・アンティーカ"を訪れる

公開日 : 2019年03月27日
最終更新 :

ローマを州都とするラツィオ州の旅として、最初に訪れるべき場所として理想的なのは、ローマ帝国時代に港町として栄えたオスティア・アンティーカ(伊語:Ostia Antica)で、ローマの中心から南西へ約22kmの場所にあり、公共機関を利用して商用時間が約30分とアクセスが非常に良い場所にあります。

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今日もローマの街を流れるテヴェレ川の河口にローマ人が紀元前4世紀頃に築いたオスティア・アンティーカは、要塞と貿易で発展したが、外敵の侵攻やマラリアの蔓延等で5世紀頃から衰亡が始まり、川の泥土の中に埋もれていった町とも言われています。それももっとも深いところでは建物2階まで埋もれていたため、保存状態が極めて良い遺構として、考古学者たちの好奇心を掻き立て、現在も発掘調査が続けられています。

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誘惑に満ち溢れた行楽地として名を馳せ、世界遺産となっているポンペイ遺跡とは異なり、オスティアはローマ帝国の軍事要塞というよりも商業的な機能を持つ港町として栄え、食堂や洗濯屋、商店、民家、集会場の遺跡が広範囲で残っています。そのため、このオスティア・アンティーカは、当時の生活を垣間見るには最適な場所です。

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オスティア・アンティーカの目抜き通りのデクマヌス・マクシムス(Decumanus Maximus)は、町の入口であるローマ門(伊語:Porta Romana)から海の方にあるマリーナ門(伊語:Porta Marian)まで1km以上あり、これを軸線にして都市計画が進められたと言われます。2世紀頃にローマのパンテオンを手掛けたアグリッパ(伊語:Agrippa)が完成させた2000人収容可能な劇場、フォルム(伊語:Foro)と呼ばれる公共広場、穀物倉庫、神殿等と豊かな港町として整備されてきました。そして、デクマヌス・マクシムスの裏手にある同業者組合広場(伊語:Piazza delle Corporazioni)はオスティアの商人の事務所が並んでいたとされ、保存状態が良いモザイク画を見ることができます。

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最盛期の2世紀には、人口5万人規模を誇ったオスティア・アンティーカは、人口増加によりこれまでの中心だった戸建て住宅のドムス(伊語:Domus)は、インスラ(伊語:Insula)と呼ばれる集合住宅に取って変わり、その集合住宅として代表的なディアナの家(伊語:Casa di Diana)は地価が高騰した当時に建てられた姿をそのまま残している。

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このようにして都会となったオスティアの町も河川の堆積土等により商業港として機能しなくなると次第に衰退の道を歩み始め、商業都市から居住都市と役割が変化し、富裕層が住むドムスがまた建て始められた。しかし、ローマ帝国末期の9世紀頃には外敵の襲撃を受け、町は放棄されたと言われています。

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このオスティア・アンティーカの遺跡の一つであるディアナの家の近くにあるテルモポリウム(伊語:Thermopolium)は、現代の居酒屋と似ているとされ、当時から高度な文明があったことが直に感じることができます。また、お風呂好きな古代ローマ人らしく、いくつかの公共浴場があったが、その一つの公共広場の大浴場(伊語:Terme di Foro)には完全な姿の石製のトイレが数多く残されています。

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現在は、新市街をオスティアとし、この古代都市をオスティア・アンティーカと表記されていますが、オスティアの新市街は、海辺の町で夏になればローマからナンパ目的と気取った連中で溢れています。それでもこのオスティア・アンティーカの遺跡は、見所が多く、まさに古代ローマ都市そのもので、ローマ滞在中に一度は訪れてみる価値があります。

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【アクセス方法】

地下鉄B線のピラミデ(伊語:Piramide)駅のそばにあるポルタ・サン・パオロ駅(伊語:Porta San Paolo)駅より、オスティア・リド(伊語:Ostia-Lido)線にて、オスティア・アンティーカ駅下車、徒歩約5分。

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筆者

イタリア特派員

田澤 龍太郎

現地でサッカーを中心にしたスポーツ留学サポートや旅行アシスタントやコーディネーター等と現地在住の強みを活かした仕事をしながらどっぷりと濃いローマライフを満喫中。

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