俵万智 展 in 角川武蔵野ミュージアム

公開日 : 2021年08月01日
最終更新 :
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"「この味がいいね」と君が言ったから 七月六日はサラダ記念日"

1987年に初版が発行された、俵万智さんの第一歌集『サラダ記念日』は、刊行直後から社会現象を巻き起こすほど大ヒットとなり、現在まで約280万部のベストセラーとなっています。

その、現代短歌の先駆け的存在である俵万智さん初となる展覧会"俵万智 展 #たったひとつの「いいね」 『サラダ記念日』から『未来のサイズ』まで"が行われるとのことで、プレス内覧会に参加してきました。

会場となるのが、埼玉県所沢市に誕生した「ところざわサクラタウン」内にある「角川武蔵野ミュージアム」の4階「エディット&アートギャラリー」。2021年7月21日(水)~2021年11月7日(日)まで開催されています。

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今回の展覧会は、2020年に発行された俵万智さんの最新歌集『未来のサイズ』が、短歌界で最高の業績を示した歌集に贈られる賞「迢空賞(ちょうくうしょう)」を受賞したことがきっかけで企画されました。

30年以上も前に発行されたベストセラー『サラダ記念日』から、迢空賞を受賞した歌集『未来のサイズ』までの数えきれない歌の中から、約300首を厳選。現代短歌にふさわしく、POPな展示方法で俵万智さんの世界観を楽しめる企画展になっています。

『サラダ記念日』エリア

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会場入ってすぐの壁には、蛇笏賞(俳句)と迢空賞(短歌)を受賞した、歴代の句集・歌集があわせて117作品飾られています。

そして、ここを起点として展示は3つのエリアで構成され、まず最初は、俵万智さんが歌人としてのスタートともいえる、ベストセラー作品『サラダ記念日』エリア。

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「短歌は手紙に似ている。」

これは俵万智さんがずっと思ってきた、言ってきたことだそうです。

"手紙というのはこの想いを誰かに伝えたくて書くものなので、誰かに想いを届けたいというのが出発点である短

歌は手紙と似ている"と俵さんはおっしゃっていました。

実際にこのエリアには、俵さんが学生時代に家族へ書いた手紙(はがき)と、それがタネとなった短歌がセットで展示されています。

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また、『サラダ記念日』がどれだけ社会現象を巻き起こしたかがわかる資料の展示も。プロ野球球団「読売ジャイアンツ」の桑田投手が快勝した翌日のスポーツ新聞のトップには「桑田記念日」の文字が踊り、映画『男はつらいよ』の第40作目のタイトルが『男はつらいよ寅次郎サラダ記念日』になるなど、『サラダ記念日』は短歌界を超えて、さまざまな分野に大きな影響を与えました。

そのほかにもこのエリアでは、大きなハートのオブジェとともに、恋愛に関するたくさんの歌が展示されていますよ。

回廊エリア

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こちらは、平成の30年間に発行された歌集『かぜのてのひら』『チョコレート革命』『プーさんの鼻』『オレがマリオ』から、各25首、全100首が展示されています。足もとには、俵さんの歩みや社会の出来事がわかる年表。柱には、俵さんの今後の歌に影響を与えた出来事の歌が......。

2003年に男の子を出産されてから、いままで"社会"については歌わなかった俵さんが、教育や社会の出来事を自分事としてとらえられるようになったのだとか。

天井から吊り下げられた木馬は、実際に息子さんが子供の頃に遊んだものを展示しています。

『未来のサイズ』エリア

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最後は、迢空賞を受賞した『未来のサイズ』のエリア。

ここでは「子育てから未来を」「地方から社会を」「日常から人生を」という3つのまとまりで、各60首、計180首を展示しています。

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天井から吊り下げられた300個の「空気の器」。よく見ると、器の中にも歌が書かれています。

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このオブジェの真ん中の窓をのぞくと見えるのは、沖縄・石垣島の海。俵さんが石垣島在住時代に、住んでいる家の窓から見ていた風景がオブジェの後ろのモニターに投影されています。10時~21時までの海の映像で、10時には10時の映像、15時には15時のときに撮影した映像がちょうど流れるようになっているんですよ。

本棚劇場にてインタビュー

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展覧会を楽しんだあと、俵万智さんがこの展覧会について、自身の短歌についていろいろとお話してくれました。

冒頭にも書いた、すごく有名な歌"「この味がいいね」と君が言ったから 七月六日はサラダ記念日"について......。

最近ではSNSで「いいね!」が使われ、その数を競うような風潮がありますが、「この歌は、たったひとつの『いいね』で幸せになれるという歌なんですよ」とおっしゃっていたのが、すごく印象的でした。

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俵万智さんの言葉の選び方であったり、文の組み立て方であったり、「あ、そういう方向から物事をみるのか!」とか、共感するだけでなく、感心というか、感動というか......。短歌に初めて触れる人でもすごく楽しめると思います!

イベント基本情報

【展覧会タイトル】: 俵万智 展 #たったひとつの「いいね」 『サラダ記念日』から『未来のサイズ』まで

【会期】: 2021年7月21日(水)~2021年11月7日(日)

【会場】: 角川武蔵野ミュージアム4階 エディット&アートギャラリー

【主催】: 角川武蔵野ミュージアム(公益財団法人角川文化振興財団)

特設ページ→https://kadcul.com/event/42

【チケット価格 (KCMスタンダードチケット)】

・オンライン購入価格(税込): 大人(大学生以上)1200円、中高生 1000円、小学生 800円、未就学児 無料

・当日窓口購入価格(税込): 大人(大学生以上)1400円、中高生 1200円、小学生 1000円、未就学児 無料

2021年8月現在の情報です。最新情報は上記特設サイトにてご確認ください。

筆者

特派員

Benisei Rinka

川越在住、二児の母です。テーマパーク、グルメ、イベント、子連れ旅、女子旅など守備範囲広めです。

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