初の「マスク着用条例」それはサンフランシスコだった

公開日 : 2020年05月01日
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▲トニー・ベネット像にマスク!

ほぼ全員が予想していたようですが、シェルターインプレース(Shelter-in-Place)ステイアットホーム(Stay at Home)、ロックダウンが5月末まで延長されました。が、カウンティーレベルではここはオープンしているとか住民だけにはオープンしているとかも出てきてますね。

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▲サンフランシスコ市役所

"スペイン風邪(The Spanish Flu)"って聞いたことがあるかもしれません。世界で5億人が感染し、5000万人が亡くなった、人類史上最悪のインフルエンザのパンデミックです。

その時、サンフランシスコはいち早く"マスク着用義務条例(The 1918 Mask Order)"を施行した自治体だったのは知らなかったです。

1918年1月〜1920年12月、世界中をインフルエンザの恐怖に陥れたスペイン風邪。

何でスペインなのか?は、当時第1次世界大戦中で各国は情報規制が敷かれていたんですが、スペイン中立国だったので、その規制もなくインフルエンザの情報発信してたので名前がついた、発生地というわけではありません。起源は諸説云々ありますが、パンデミックは、1918年1月にカンザス州ハスケル辺りではないかと複数の歴史学者は唱えています。

1918年3月頃スペイン風邪の第一波は、おもに東海岸で流行り、戦地に向かう軍隊と共に、大西洋を渡りヨーロッパに広がりました。サンフランシスコに最初の感染者が見つかったのは、1918年9月23日、ヨーロッパから帰ってきた人ということでした。

広がりをみせた10月になると、プレシディオの陸軍基地は部外者の侵入禁止、教会も最終的には封鎖となりました。そして衛生局(現Public Hearth Department)は、10月18日に商店の接客員にマスク着用を勧告。10月24日市議満場一致でマスク着用義務づけを可決。そして条例として発効したました。サンフランシスコはアメリカ初の"マスク着用の条例"を作ったんです。町を歩くとき、公共の場、接客の従業員......とにかく家族と家の中にいるとき以外は、鼻と口(顔を覆うように)を隠すこととしました。今(2020年)お店などに入る場合はマスク着用は義務ですが、1918年の条例では、違反者には罰金(例えば:ボクシングの試合でマスクなし観戦者に$50)や禁固刑といった厳しいものでした。

10月後半の感染者数が8682人だったのが、11月最終週では感染者数57人までに下がり、第一次大戦終了の11月21日(連合軍勝利)、条例を解除、終息宣言をしました。学校も再開、そして何といってもアメリカで最も大切な祝日"感謝祭(1918年は11月28日)"をマスクなしで祝えたのですから、どれだけ市民が喜んだことか想像できます。そのあとはホリデーシーズンと続くので、商店は一気に巻き返しを図るわけですね。

しかし、ほどなく感染者数が増加......

市は、マスク着用を呼びかけたが、うっとうしいマスクに"マスク反対同盟"のようなものができ、町は12月のかき入れどきということもあって、経済をとるか健康をとるか? 政治的な色合いが出てしまうことになってしまいました。解除した条例を再び施行することも難しかったようで、結局、クリスマス商戦も終わった年明け、1919年1月17日に再度マスク着用義務を再発効となりました。

サンフランシスコで最初の感染者が出た1918年9月から翌年1月までの間に、5万の症例、亡くなった方3500人(そのうち20才代〜40才代が3分の2)このときサンフランシスコ市の人口は、約50万人でした。

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▲アトリエでマスク作り

知り合いは、マスクを作って近所の人たちに配っています。絶対必要な最前線の方には専用のマスクを使ってもらうために自分達は持っているもので作ればいいよねという考えもあり、最近はかわいい手作りマスクをよく見かけるようになり、スポーツチームがロゴ入りマスクをオンラインで販売していたり、ファッションとしてのマスクになりつつあります。

1918年にもサンフランシスコ赤十字社では、ガーゼを集めてマスクを何千枚も縫いました。当時の新聞に、ガーゼマスクはインフルエンザの予防には効果的と広告まで出していたようでした。

マスク条例の存在を知ったのが、地元新聞の古いコラムでした。

鮮明なものではなかったのですが、スペイン風邪に対してサンフランシスコとにかく早く対応したようでした。今回の新型コロナウイルスでも、感染者がいないのにロックダウンの措置を取ったおかげなのか、劇的に増加しているわけではありません。100年前でも乗り物に乗ったときにも風通しをよくして、いわゆる"密にならない"ようにとどこかに書いてありましたよ。

筆者

アメリカ・カリフォルニア州特派員

美丸(Mimaru)

サンフランシスコ在住ビアジャーナリスト。全米のクラフトビール探求の日々、訪問したブルワリー、タップルーム情報は随時投稿。

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