トイレの研究でイグノーベル賞を狙う?サンフランシスコの自浄公衆トイレ

公開日 : 2022年10月10日
最終更新 :
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「もし、サンフランシスコにユニークなトイレがあったら教えてくれませんか」とある方から聞かれました。この方、世界の公衆トイレについて調査している立派な研究者。世の中にはいろんな研究している人がいるものだと感心しました。目指すはイグノーベル賞と意気込んでおられましたけど...という事で、サンフランシスコの清潔だけどちょっと緊張するサンフランシスコのハイテク(?)トイレの話です。

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飾り気のない室内は訳があります

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セルフクリーントイレと言われているパブリックトイレ。ドアのボタンを押してみると、円形のドアがゆっくり開き、見えてきたのが無機質なステンレスと地味な色合いの簡素なトイレと洗面台です。

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そもそも公衆のトイレは、どこも殺風景ですが、ここのトイレは極めて殺風景です。ステンレス部分が多くその上、U型やO型の便座シートがありません。便座シートのない便器に腰を下ろす時、どれだけ勇気が必要か!実際に座ると実感します。また温かい便座に慣れている方は、ブルブルっとするくらい冷たい便座です。手洗い場付近もご覧のとおり列車のお手洗いの方がまだファンシーな感じ。窓もないので照明がないと真っ暗闇になります。閉所恐怖症気味の方にはかなり勇気がいるトイレかもしれません。

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どこにあるかは以下の場所です。

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・フィッシャーマンズワーフ:ジェファーソン&パウエルSt、ベイ&テイラーSt

・ノースビーチ:コイトタワーとワシントンスクエア

・ピア7

・チャイナタウン:セント・メアリースクエア

・ユニオンスクエア:ゲーリー&パウエルスSt

・テンダーロイン:マックコーリー・パーク、ボーデッカー・パーク

・バートパウエルSt駅前

・シビックセンター:市役所前広場、国連プラザ

・エンバカデロ&ハリソンSt

・ゴールデンゲートパーク近く:スタンヤン&ウォーラー通り

・カストロ地区:交差点、マーケット&チャーチSt

・バートミッション&16番駅前とミッション&24駅駅前

・サウス・バンネス&セーザー・チャベスSt

・エンバカデロ:ドラム&クレイSt、ジャスティン・ハーマン・プラザ(写真の場所)、マーケット&カリフォルニアSt

・ツインピークス:展望台駐車場

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使用上の注意は、

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・介助の付き添いが必要な人以外は、大人一人で使用

・車椅子対応。

・10歳以下のは大人と一緒に使用

・使用時間は20分以内

・禁煙

・音声ガイダンスはドアの左側に設置

・便器・便座シートは洗浄後に乾燥

・床は自動洗浄(乾燥しない)

・誰かの使用後、ドアがまだ開いていたら入らない事。ドアは閉まり室内は自動洗浄モードになる

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ポイントは、使用時間が20分経つと自動的にオープンすることでしょうか?自動的に開く2分前に、ライトが点滅します。考えてみれば普通にトイレを使っても20分もそこにどどまることはありませんよね。軽くシャワーを浴びる時間に相当しますでしょうか。おそらく洗面所で頭を洗ったり体を洗ったりしないための対策かもしれませんね。また、ドアが開いているからと慌てて中に入らないでくださいね。このトイレ基本的にはドアは常に閉まっています。使用する際、ボタンを押してドアを開けます。もし、開いていたら次にドアが閉まり室内の洗浄が始まります。実際どれだけの水量かは、体験したことないのでわかりませんが、少なくとも靴はぐっしょりです。

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使用上の注意で不思議だったのが、何故床は乾かさないのか?床が乾いているとつい自分の荷物を置いてしまって室内に忘れてしまうのを防ぐためかもしれません。それと床が濡れているということは、打ち水と同じで室内はひんやりしていて便座が冷たいのです。

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サンフランシスコは、飲食店のおトイレは、利用者以外は断られることがほとんどで、デパートやモール内のトイレ自体が分かりにくいです。このセルフクリーントイレは、歩道や広場にあり、無骨ながらも目立ちます。人の手による点検もまめにしていますし、なんと言っても使う度洗浄しているので間違いなく清潔です!もし街中でトイレに困ったら挑戦してみてくださいね。

サンフランシスコパブリックトイレ:https://sfpublicworks.org/services/public-toilets

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おまけのトイレはカストロ地区のゲーバーのトイレ

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聞けばなるほどと思うトイレを一つご紹介します。お客さんの90%以上が立って用を足すゲイバーのトイレ。カストロ地区は、ゲイコミュニティー世界的にも有名ですが、反面最近はやや観光地化されつつあり、観光客の女性のお客さんの姿を見かけるバーも増えてきています。そんな中でも女性のお客さん率1%、老舗のゲイバーのトイレがこちら。昼夜を問わずこの明るさで白く浮き出ているのがおトイレです。水道の蛇口がない細長い手洗い場のような形です。手洗い場のような便器の正面に鏡があるのは何故でしょう?ここにはドアもなく、立って用を足している後ろ姿は丸見え。そして、座って用を足すトイレは、簡素なドアで知ってる人しか分からず、トイレの場所を聞かないと見つけられませんでした。男性用・女性用の区別はなく、よく言えば"オールジェンダー"ゴツい体つきのワンピース姿の男性が立って用を足してても誰も振り返らない摩訶不思議な空間のトイレです。

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某国営放送局の衛星放送チャンネルで世界のユニークなトイレの番組もあったそうですが、知ってそうで実は秘密の空間のトイレ。イグノーベル賞を目指し日夜研究を続けている専門家の心理が少し理解できたような気がしました。

生活になくてはならないトイレ、けっこう面白いかも ^ ^/

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筆者

アメリカ・カリフォルニア州特派員

美丸(Mimaru)

サンフランシスコ在住ビアジャーナリスト。全米のクラフトビール探求の日々、訪問したブルワリー、タップルーム情報は随時投稿。

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