プンタ・カナにおけるごみリサイクル

公開日 : 2010年03月23日
最終更新 :
筆者 : monalisita

ドミニカに住んで3年以上が経って初めて、国内最大の観光地であるプンタ・カナに行ってきた。と言っても、今回の旅はバカンスではない。ごみリサイクル最先端と言われるプンタ・カナの実態を把握するためである。

プンタ・カナはドミ共東部に位置する国内最大リゾート地。東部に位置する海岸はいくつか巡ったことがあったので、プンタ・カナもきっと規模が違うだけで、きっと大型ホテルが並ぶビーチ&リゾートエリアなんだろうと思っていた。でも違った。行って驚いたのは、プンタ・カナと呼ばれるエリアの入り口にはゲートがあって、そのゲートを抜けると巨大な敷地にまるで一つの街が出来上がったと言う感じ。ゲートを通るときは、ちゃんとチェックされるので、放浪バックパッカーが気軽にプンタ・カナを見学しようなんてことはできなそう。やはり、事前予約は必要だ。さて、そのゲートの中はと言うと、学校もあれば病院もある。もちろん、ホテルだけではなく住居もある。

この一つの街とも言えるプンタ・カナ。絶賛すべきは、このエリア内+プンタ・カナ空港でゴミの分別収集が行われていること。ドミニカのどこの市町村も、ゴミの問題には頭を抱えている中で、ここは別世界。日本の超細かな分別レベルまでは達していないものの、食料ゴミ、枝葉のゴミ、リサイクルゴミ(ペットボトル、新聞紙・雑誌、アルミ・スチール缶)とその他のゴミの4つに分類(写真左上。枝葉のゴミは別の場所で収集)し、リサイクルゴミはリサイクルセンターできれいに仕分けられ(写真右上)、コンパクトされた(写真中央上)後、首都に持ち運ばれている。食料ゴミは、敷地内にコンポスト場(写真下)を作り、ミミズによる分解によってできた土壌や染み出た水は、同じく敷地内で栽培している野菜の肥料として利用されている。

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何故、他の市町村ではできずにここプンタ・カナでゴミの分別、ゴミの再利用に成功したのか。理由はいくつか考えられる。まず一つは、観光地として継続して発展していくためには、観光資源である美しい環境を維持していく必要性に迫られたこと。以前は、押し寄せる観光客が捨てるゴミで空港が非常に汚く、常にゴミ箱の周りには犬・猫がゴミをあさっていた。ハエも大量発生し、衛生状態は非常に悪く、観光客からの苦情も相次いでいた。第二に、ゴミ処理にかける経費の削減である。分別及び収集日時の設定をすることにより、それまで1日2,3回同じエリアを収集車が回っていたところを、半分以下に抑えることができた。その結果、経費は2年間で4分の1まで削減。事業効率化はやはり民間企業が強い。特に、プンタ・カナは企業により出来上がった街なので、市町村の介入無しに事業を成功させることができた。市町村はと言うと、国のお金を使っているため、効率化してコストを削減しようという熱意に欠ける他、市長の交代等政治的な理由により、事業が継続しないことが多い。そのほかの成功の理由は、そこに滞在する人々の環境に対する意識の高さであろう。プンタ・カナの主な利用者は、欧米各国からの観光客や居住者、さらにドミニカ人でも中上流階級の人々。既にゴミ分別を経験したことのある人や、その必要性を分かっている人がほとんどであるため、分別やリサイクルを導入しやすかったと言える。

プンタ・カナにおけるゴミ分別作戦は、少しずつではあるが他のホテルにも広がっている。街がきれいになって、長期的に経費が削減できて、人々が満足して、といいこと尽くめのゴミ分別。このモデルをもっと多くの地域に普及させるためには、やはり企業のリーダーシップと人々への教育が欠かせない。ゴミ問題を市町村の非効率的な運営のせいだと非難する前に、企業が自分達の利益を探しつつ、社会貢献と環境保全のために立ち上がる姿勢を見せて欲しいものである。

なお、プンタ・カナにおけるゴミリサイクル活動についての詳細は、プンタ・カナ生態財団のHPをどうぞ。

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