ドミニカ出産物語2 「強制計画分娩のはじまり」

公開日 : 2011年08月12日
最終更新 :
筆者 : monalisita

 こっちの定期健診はかなり適当って感じ。日本では、一通り健診項目が決まっているけど、こっちでは尿検査は毎回ないし、子宮底長も計らない。計測するのは、体重、血圧それから問診くらい。先生にドミニカでは子宮底長は計らないんですかと聞くと、目で見れば分かるから必要ないと。ま、そうかもしれないけどさ...。ただ、一人ひとりに丁寧に説明してくれるから、その点では日本の病院よりもいいかも。

 臨月(37週)に入り、8月2日に定期健診に行ったときのこと。「赤ちゃんは順調に成長しているし、逆子ではないよ。首にへその緒が1回巻いているけど、自然分娩でも大半はうまく行くから心配することはないでしょう。ただ、子宮の状態を見たところ、かなり子宮頸管長が短くなっている。あともう一週間程度で生まれるだろうから、1週間後にまた健診に来てね。その前に、何か前兆があったらいつでも電話してね。」と、先生はホッとさせてくれる言葉をかけてくれた。

 しかし、その後私が前回初産であるにも関わらず、陣痛が来てから出産まで4時間しかかからなかったという経験談を話したら、急に意見を変え始めた。

「前回がそんなに早かったのであれば、今回はさらに早まる可能性は充分にある。陣痛が来て電話してから、病院に到着する前に生まれてしまったら、母子共に危険だ。しかも、首に一周へその緒が巻かれている。明日(3日)血液検査をして、明後日(4日)陣痛促進剤を使って生ませた方が安全だ。」先生の言葉を聞いた私も主人も、ひとまず同意した。

 ただ、先生の言葉を私は完全に理解していなかったようだ。私は8月4日に陣痛を遅らせる処置をするのかと勘違いしていた。だから、主人に再度説明してもらったときは、「えぇーっ?そんなこと言っていたの?」と驚いた。まだ、37週目だし、赤ちゃんだって超音波検査によると8月1日時点で2.7kg程度。予定日は8月26日にも関わらず、検査結果から推定される出産予定日は9月2日とまだまだ先。私自身、前兆なんてまだ全然感じてないし。「はじめは、来週の健診でまた診ようって言っていたくせに...」37週以降は通常分娩とは言われているけど、赤ちゃんの生まれたいときに生ませてあげたい、人工的な措置は一切使いたくないという願いが交錯し、翌日先生に電話をし、全く前兆もないことから4日の出産を見送りたいことを伝えた。

 問題なく了解してくれると思っていた。しかし、返ってきた返事はとても冷淡なもの。「4日に分娩しないのであれば、他の先生を探しなさい。私は責任持てないから。」。。。なにこれ?これが先生の言うこと?考えれば考えるほど、先生への不信感がつのり、「要は、週末は働きたくないから4日の木曜日に設定したのよ。しかも先生は自分の腕に自信がないから来週まで待てないのよ。」と主人に愚痴った。かと言って、今さら先生を変えるなんて無理でしょ...。数時間考えて、仕方なく先生の言葉に従うことにした。主人が脅迫まじりで私の里帰り出産を引き止めたが、先生の言葉も脅迫に近い。先生による強制計画分娩の第一歩である。

 4日の朝、指定された時間に渋々病院へ行った。先生はまだ来ていない。受付で、同意書にサインをといわれた紙面には、具体的なことが空欄のままでそれでサインをしろと言う。そんなことしたら、サインをした後に先生に勝手なことを書き加えられるから、「先生は、自然分娩を施す。帝王切開は認めない。」と言った文章を自分で書いて、署名した。ちょっとした自己防衛である。

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