ブラジルの国際競争力、前年より5ランク下落の49位

公開日 : 2007年06月06日
最終更新 :
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スイスの国際経営開発研究所(IMD: International Institute for Management Development)がこのほど、2007年の国際競争力ランキングを発表しました。

このランキングは55カ国・地域を対象に323項目を分析調査したもので、多くの投資家が信頼性のおける指標として用いています。

1位はさすがの経済大国アメリカがキープ、日本は昨年16位から8ランク落ちて24位、そして、ブラジルはというと、前年に比べ5ランク下落の49位・・・・・・。

徐々に競争力を身につけてきているロシア、インド、中国の外貨準備合計額は17億米ドル以上にのぼり、それぞれ確固たる足場を築き始めています。

この経済発展著しい3ヶ国とともにBRICs(ブリックス、注1)の一員として、世界の投資家から注目されているブラジル。

ですが、ここ数年は低迷路線をたどり、BRICsのなかで唯一、ランキングが後退しています。

ブラジルの新聞は、国の弱体化について、資本コストの増大、高金利、重い租税負担などを要因に挙げています。

私のようなブラジル在住外国人でも、実感できることがたくさん。

例えば、「私たちが一年かけてもらう給料の、平均4ヶ月26日分は租税として吸い上げられてしまう」とブラジル税制企画院(IBPT)が発表していますが、これには私も、うんうんと頷いてしまいました。

でも、その一方で、経済成長加速プラン(PAC:Plano de Aceleração do Crescimento)や教育開発プラン(PDE:Plano de Desenvolvimento da Educação)に国政改善の期待をかける報告もありました。

このPACは今年発表されたばかりで、インフラ整備や租税軽減などを目的に2010年までの3年間で約5億レアル(約300億円、R$1=60円)が投資されるとのこと。

法務省によると、さっそく今年10月から、PACの一環として安全保障計画がサンパウロやリオのような犯罪多発地域に導入されるそうです。

ランキングはそのほか、外貨政策、投資レベル、航空運輸構造、カントリーリスクなどあらゆるアスペクトも含みます。

ブラジル通貨のレアルが高騰していることも、国際競争力の揺れに大きく関わっているようです。

現在、1ドルが2レアルを割り込むレアル高。

今まで雲の上の存在だったプラズマTVなど輸入製品の販売数が増加し、また、夢にまで見た海外旅行に出かける人も増えてきました。

まるで国民の生活の質が向上しているような気分になります。

でも、オレンジやコーヒー、砂糖、大豆、鉱物などブラジルの基幹産物の値段も上がるため、アメリカや日本のような輸入国が買い渋ると、ブラジルの貿易収入が減ることもあるわけです。

こうして問題を一つ一つ取り上げていこうとすると、きりがありませんね。

これからも、一筋縄ではいかないブラジル政治経済を、少しずつ、身近な情報から学んでいきたいです。

(写真はサンパウロのビジネス街、地下鉄ブリガデイロ駅)

注1)BRICs(ブリックス)=ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字をとった造語。2003年、アメリカの証券会社が投資家向けに書いたレポートの中で使われたのが始まり。

[参考資料]

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