ブラジル出産事情(1)――自然分娩と帝王切開
近年、グローバル社会の発展で国際結婚や海外移住が増え、日本人女性がほかの国で出産することも珍しくなくなってきましたね。
ブラジルの出産事情はどうなのか、自らの体験も交えてご紹介します。
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「ブラジルは帝王切開の世界チャンピオン」とは、ある医学者のコメント。
ブラジル政府の広報公社が今年5月に発表したレポートによると、妊娠初期の段階では、女性の70%が自然分娩を望んでいるにも関わらず、妊娠後期には民間保険プランを持つ女性の80%が帝王切開を選ぶそうです。(写真)
はてさて、妊娠期間中の女性の心理に何が起こるのでしょうか。
ブラジルには出産に関する迷信がいくつかあります。
例えば、「自然分娩はとても痛くトラウマになってしまうが、帝王切開は痛みがなく『安全でおしゃれ』」というもの。
テレビなどでみられる出産シーンも、帝王切開は、妊婦が数人のドクターに囲まれ最新の医療機器を使用して笑顔で出産していますが、自然分娩は髪の毛を振り乱し、痛みに顔を歪め絶叫している場面が多いからでしょう。
病院や医師側が帝王切開を勧める傾向もあります。
「自然分娩は面倒で時間がかかるが、帝王切開なら1時間ですんでしまう」
という考えが医師にあれば、妊婦も徐々に洗脳されてしまいますよね。
ちなみに、帝王切開の場合、執刀医や麻酔医に支払われる手術費が約4000レアル(約15万円、R$1=37円)としたら、自然分娩はその半分の値段。
ほとんどの民間保険プランは出産費用を全額もしくは一部をカバーしてくれますので、妊婦もつい、時間の融通が利く帝王切開へと気持ちが傾いてしまうのでしょう。
また、医師も人の子ですから、よりよい収入につながる帝王切開をしたいと思うのも無理はありません。
でも、母体や赤ちゃんの健康のことを考えると、やはり、自然分娩がいいのではないかとブラジル国内でも論議されています。
保健省は現在、自然分娩を推進するキャンペーンを張っていて、2010年までラジオやテレビ、インターネットなどで宣伝を続けるそうです。
[参考資料]
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