巡ってみた北海道平取町!「二風谷コタン」から、ちょこっとウォーク、おみやげショッピングまで。

公開日 : 2021年10月22日
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モニターツアーで訪れた平取町。町内で最もよく知られている「二風谷コタン」から、恐らく"平取町通(つう)"が知るスポットまで、2日間で訪れた場所を紹介します。

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伝統家屋"チセ"が並ぶ二風谷コタン

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▲ "Cise" and "heperset" that are restored in Nibutani Kotan in Biratori Town

アイヌ民族の伝統が残る地域として知られる平取町二風谷の一角には、二風谷アイヌ文化博物館やアイヌ工芸品店が集まっているエリアがあります。

そして復元された「チセ」(アイヌ民族伝統の家屋)が立ち並び"チセ群"として知られる二風谷コタンには、住居としてのチセのほか、「イオマンテ」(熊送りの儀式)のための子熊を飼う檻「ヘペレセッ」(子熊の寝床)なども復元されています。

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▲ Ainu traditional house "cise"

チセの中に入ることもでき、ていねいに復元されたチセの中は、とても興味深い光景です!

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細部まで復元されたチセは、窓などの位置にも意味があり、決まった方角に設置されています。
囲炉裏の上に吊るしている白いドーナツ型のものは、"オオウバユリ"の根でつくった「オントゥレプアカム」。
保存食だそうです。

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▲ Ainu traditional wooden weaving machine of cattail mat and the weights for warp thread

9棟あるチセのうち2棟のチセは工芸のチセとして工芸家が木彫りなどをおこなっており、無料で見学できます。
この日は大きなチセのなかで、"ゴザ"織りを見ることができました。
石の錘りを使った特徴的な織り方です(写真↑はゴザの裏側)。

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▲ Woven cattail mat at Uresipa, Biratori Town

表から見た模様が入っているゴザ(こちらのゴザ↑は二風谷コタンの平取町アイヌ工芸伝承館「ウレシパ」に展示されていた作品)はこのような風合いです。

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▲ Ainu traditional cuisine, sito

この日は大きなチセで、アイヌ民族伝統料理"シト"(団子)が無料でふるまわれていました。
毎日ではありませんが、イベントをはじめときどきアイヌ民族の伝統料理をふるまっている日があるそうです。

"シト"は、儀式の供物のひとつだそうで、この辺りではお米とイナキビで作っているそう。
昔はお米やイナキビはとても希少で、何年もかけて貯めたりもしたそうです。
この日いただいた"シト"は、やさしい味のお団子でとてもおいしかったのですが、現代風な食べ方としては揚げたシトもおいしいそうです。

復元されたチセやその内部はとても印象的なうえ、実際の手仕事を見学したり、わからないことを直接訊いてお話を聞くこともでき、より印象深い体験になりました。

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「ウレシパ」で、プチものづくり

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▲ Biratori Ainu Crafts and Heritage Center "uresipa"

二風谷コタンの一角、「匠の道」沿いにある「ウレシパ」(平取町アイヌ工芸伝承館)は、工芸家を志望する人が技術を学んだり、一般の観光客が工芸を体験できる施設です(「ウレシパ」はアイヌ語で「育て合う」という意味だそう)。

簡単なアクセサリー組み立てやレーザー加工体験が手軽にできるということで、今回は「セタプクサ号オリジナルキーホルダー」作りを体験しました。

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セタプクサ号は、赤バスと青バス、どちらかを選べます。
キーホルダーのストラップになる革ひも、アイヌ文様が入ったビーズをはじめ、選ぶパーツは6種類。
キーホルダー作りは、そう難しくはないのですが、実は色とりどりのパーツを決める最初のステップが最も難しいかもしれません。
実際に作っている時間よりもパーツの組み合わせを決める時間が長くかかる方もいるそうです。

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パーツが決まると、あとは順番にパーツを革ひもに通していきます。
ビーズの小さな穴にひも通しやすくするため革ひもの先端を斜めに切ったり、ビーズの順番や向きを考えながら作業を進めます。
色の組み合わせはどうかな、と一瞬の勘で決めてしまったことをやや後悔しながら作業していましたが、ひとたび出来上がると、がぜん愛着が湧いてきました(笑)。
着色していない木の色そのままのビーズを1個使ったので、エイジングによる木の色の変化を楽しみに使いたいと思います。

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「ウレシパ」では"レーザー加工機"を使って、デザインを選べるアイヌ文様入りオリジナルマグボトルやタンブラーを作ることもできます(要事前予約)。
好きな言葉や名前を入れたり、文字の字体を選んだり、旅の思い出になり、実用的でもある自分へのお土産にもぴったりです。

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この日は平取町に移住されたアイヌ伝統工芸「アットゥシ織り」の工芸家の方が作業をされており、お話を聞くことができました。
写真↑は、アットゥシ織りに使う糸の原料「オヒョウ」の木の皮です。

アットゥシ織りは、すべて手作業でオヒョウの木の皮を採取するところから始まり、木の皮で糸を作り、最後に織物に完成させます。
実際のオヒョウの木の皮を前に採取方法や木の皮を煮たり重曹や苛性ソーダにつけてやわらかくする方法などを説明していただきました。

やわらかくなった木の皮は、1枚ずつ薄く剥がして乾燥させ、さらに1本ずつ細く糸に割いていくそう。
そうしてできた糸を織っていきますが、柄を織り込むためには織る前に糸を染める作業もあります。
すべてが手仕事で手間がかかる伝統工芸品は、100%天然の繊維でできた織物ならではの独特な風合いがあります。
現在はアットゥシ織りの小銭入れやコースター、名刺入れ、印鑑ケースなどの小物も作られているそうです。

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ウレシパには体験プログラムがあるので、興味のある方はウレシパのホームページをチェック、もしくは直接ウレシパにお問い合わせください。

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平取町アイヌ工芸伝承館 ウレシパ

平取町の自然景観を楽しむならココ!

今回の旅でおしえていただいた、平取町観光のメジャースポット以外のゆっくりとひとときを過ごしたいときにおススメのスポットをご紹介します。

マカウシノ沢の散策路

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「びらとり温泉ゆから」や「二風谷ファミリーランドオートキャンプ場」から歩いて5分ほどのところに「マカウシノ沢川」に沿って散策路があります。

国道237号から「びらとり温泉ゆから」へ向かって100m進むと右手に入口があり、森林浴をしながら川の流れる音と小鳥のさえずりをBGMに散策できます。

かわいいコケやオオウバユリ、マタタビが生えていたりと、普段は目にしたことがない植物にも遭遇しました。
冬には氷瀑やフロストフラワーを見ることもできるそうです。

二風谷ダム管理橋

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▲ The view of the Saru River from Nibutani Dam Kanri Bridge

沙流川にかかる橋です。沙流川の流れと森の景観がよく見えるスポットです。
この日は前日の大雨で沙流川の水は濁っていたのですが、額平川との合流地点に近い場所で、写真では見えにくいですがアイヌ文様のひとつ、「モレウノカ」(渦巻きの形)の実物が見えて感激。

カンカン2遺跡

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▲ Kankan 2 iseki view point

縄文時代から擦文時代にかけての遺跡が発掘された場所で、展望台があります。
国道237号から1分ほど歩いた場所で、隣は軽種馬の牧場、周りは木々に囲まれ、ひと休みするのにぴったりな場所です。
国道沿いに車を停められるスポットがあります。

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お土産ショッピングをハシゴする

行く先々で"おいしいもの"を見つけると、つい"お土産"と称してショッピングをしてしまいますが、平取町でもおいしそうなお土産がたくさんありました。

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今回はおしえていただいた平取町の指定されたお店で使える「ミナミナチケット」(500円1枚・700円1枚計1200円分を1000円で販売/販売・使用期限2021年11月30日)を二風谷アイヌ文化博物館で購入し、早速、お土産購入に使いました。

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▲ Biratori Ham

「おいしい」と噂を聞いていた「びらとりハム」。

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北海道産の豚肉を使ったドイツ製法のソーセージやハム、ベーコンを作っているお店です。
粗挽ウインナーや粗挽フランクをはじめソフトサラミ、ロースハムなどを販売。

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▲ Soft salami from Biratori Ham

どれもおいしそうでしたが、ソフトサラミ(写真)とブロックベーコン、大好きなボロニアソーセージもあったので、その3種類を購入。
豚肉の旨味が味わえるソーセージは、食事にもおつまみにもおすすめです。

びらとりハムのデータ

  • 名称|びらとりハム
  • 所在地|北海道沙流郡平取町二風谷88
  • TEL|01457-3-7086
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▲ Local specialty that are made from the tomatoes "Nishipa-no-koibito" from Biratori Town

平取町といえば、ブランドトマト「ニシパの恋人」が有名ですが、ニシパの恋人(トマト)で作った商品もあります。
写真は「北海道産びらとりトマトとびらとり和牛のミートソース」と「ニシパの恋人トマトジュース」。
このほかニシパの恋人と平取黒豚入り「北海道生まれのびらとりトマトカレー」もありました(今回は「びらとり温泉ゆから」の売店で購入)。

びらとり温泉ゆから

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▲ JA Biratori

帰りがけには寄ってみたい農産物直売所。
ブランドトマト「ニシパの恋人」はもちろん、地元産野菜や旬の栗、市場には出回らない数量限定の地元産フルーツなども並んでいました。

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▲ Vegetables and fruits from Biratori Town

当初、バスツアーでたくさんの荷物は持てない、と買い物は少しだけする予定でした、おいしそうで求めやすい価格の新鮮野菜とフルーツを目の前にし、結果的に両手いっぱいの買い物をしていました。

個人的な目玉商品は「ハックルベリー」。普段はみかけない野菜(果物?)でベリーの仲間かと思っていましたが、ナスの仲間だそう。
直売所ではハックルベリーのジャムの作り方レシピもいただきました。
(アントシアニンが豊富だそうで、バスツアーのガイドの方からおしえていただいたハックルベリービネガーにして、現在、アントシアニンを摂取中。)

平取町で宿泊する場合は、1日目に直売所を覗いてフルーツを購入し、宿で味わうのもよいかもしれません。
帰りがけに寄る可能性があれば、エコバッグを1枚多めに用意していくことを強くおすすめします。

JAびらとり 農産物直売所のデータ

  • 名称|JAびらとり 農産物直売所
  • 所在地|北海道沙流郡平取町荷菜85-5
  • TEL|01457-2-3594
  • JAびらとり URL|http://www.nishipa.or.jp/
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▲ Sweets and soft drink shop "Harenoasa" in Biratori Town

最後はスイーツショップです。
「はれのあさ」は、平取町に1件のみというスイーツのお店で、ケーキのほかスムージーも売っています。

ショーケースに並んでいるおいしそうなケーキを見ると食べたくなりましたが、移動中だったので、今回はお土産用に焼菓子「ピリカピリカ」を購入。
フレーバーはバニラ・モカ・チョコの3種類あり、焼菓子とパッケージ両方にアイヌ模様が入ったかわいいデザインです。
手ごろなサイズのおいしいお土産としておすすめです。

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はれのあさ

筆者

北海道特派員

市之宮 直子

小樽生まれ、江別育ち、札幌在住のフォトライター。三度の飯より北海道を撮ることが好きな道産子北海道Loverです。

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