シアトルで子育て(4)子供も同じ、ひとりの人

公開日 : 2012年11月29日
最終更新 :
筆者 : Eko

シアトルとその近辺、そしてカリフォルニアの片田舎しか知らない私が「アメリカでは」というのも妙なので「シアトルでは」と申し上げますが、子供と一緒に日米を行き来して感じることを書いてみます。

もっとも私は東京近郊育ちなので、一括りに「日本では」と言うのも語弊があるのですが。

アメリカに来て1年でシアトルに移り、すぐ働き始めて驚いたのは親の都合で子供が職場に来ることが許される環境だったんですが、もちろんそれは社風やオーナーの意向で、そんなことが出来ない職場も多いです。

ただ子供が職場にいる時、話しかけられた人が昼休みや休憩中などで手が空いていると、じっくり向き合って相手になることに驚かされました。

日本から来てすぐの頭では「子供はおとなしくしていなさい、私は休憩なのよ」としか思えなかったんですが、話にしっかり耳を傾け、子供が納得するように答えてあげる人ばかりだったんです。

そしてそれは新卒の若い子達にも浸透し切った風潮でした。

私はあの年頃に幼稚園ぐらいの子に話しかけられて、あんなにシッカリ相手してやったことがあっただろうか、子供相手に半分そこに居ないような存在としてナアナアで扱っていたのではないかと、しみじみ思いました。

アメリカでは学生がアルバイトでベビーシッターする文化が根付いていますから、特に女の子は近所で頼まれて夕食付きで一緒に留守番するとかいうことが日常茶飯事です。

小さな子供の扱いに慣れているのは当然のことです。

「子供と話す時は自分も同じ目線で、子供が楽しいと思うことを一緒に楽しむんです」

と、高校を出てすぐ入って来た18歳の子に言われ、私はその頃まだ子供が居ませんでしたからすっかり感心して、自分に子供が出来たらそうしようと思ったものです。

この「子供を逸らさずシッカリ相手をする」というのは街中でも強く感じることです。

例えばダウンタウンのウエストレーク・モールのあたりにはいつも警官の姿があります。

うちの子は大好きですから通りすがりに挨拶をすると、ニッコリ笑って挨拶を返し、一言二言会話をしてくれます。

もし子供が立ち止まって何か質問すれば、ただ見回っているだけの時など必ずちゃんと受け答えしてくれます。

最近はあまり見かけませんが騎馬警官に呼び止められ、馬に触らせてもらったこともあります。

お店やレストランでも子供がヒョイと何か話しかけた時、気が付かない振りなどして無視される姿は見たことがありません。

レストランでは日本のように1人が全員分をまとめて頼むのではなくて、1人1人注文を聞かれますが、子供が年長から小学1年ぐらいだと思われると、ちゃんとした店なら子供にも一人前にオーダーを聞いてくれるようになります。

12歳ぐらいまでは子供メニューですが、サラダはつけますか、ソースの種類は、飲み物はと、親を介さず直接聞きます。

その場を利用してプリーズとサンキューをきちんと言うように親は躾けるんですが、あちらも慣れていてたどたどしいのをニコニコしながら待っていてくれます。

もちろん、そういう出来たウェイターやウェイトレスさんにはチップもはずまないとならないですが。

子供と一緒にいて他人と接するのを目の当たりにする時、子供の人権ということを考えます。

アメリカでは虐待やネグレクト、子供を巻き込んだ猟奇的な犯罪などは枚挙に暇がないものの、普通に生活していく上で子供は子供、大人は大人という垣根はとても低いように感じます。

小さいなりに、半人前でなく一人の人として子供を受け入れ相手すること、アメリカに来て学んだことのひとつです。

(11月のお題"世界各地の子育て環境")

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