これでも普通? 排気がキッチンに吹き戻ってくる家
今月のお題は「クリスマス」と「キッチン」の2本仕立てということなので、まさかここでお話しするとは思わなかった我が家のキッチンを紹介させていただきます。
私にとって「いかにもアメリカ」な出来事で、ちょっと長くなりますがお付き合いください。
いくつかの記事で書いているのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、我が家は去年の年末に今の家へ引っ越してきました。
仕事の変動と子供達が揃って上の学校に上がったのとでライフスタイルが激変したための転居で、転校させることなく近所でまあまあ希望通りの家が見つかるという幸運に恵まれました。
色々な検査も済んで契約を結び、入居前にこまごまとした点を確認しているうちに、大変に困ったことを発見しました。
数年前にリモデルしたばかりという、家の築年にしては今風のキッチンは、この辺りの家によくある調理台の上に電子レンジがつき、レンジの下が換気扇になっているというスッキリした造りでしたが、
換気扇の音が思いのほか大きいのであちこち手をかざしてみたら、下から吸った空気がそのまま上からゴウゴウと放出されているのを発見してビックリ仰天!
うそー。
何のための換気だーーー。
そこで思い出したのが、友達の家では夕食に唐揚げをすると翌日まで強い匂いが残るという話。
いつだったか持ちよりパーティーで私が大量の唐揚げを持ち込んだときに、そういう話になったんです。
でも我が家は夕食後に揚げても翌朝には別に残らないので、不思議だねえって言っていたんですが、もしかして彼女の家もこういう造りなのでは。
聞けば、電子レンジが換気扇も兼ねている場合、風が戻ってくる形は珍しくないのだとか。
上部吹き出し口に活性炭入りフィルターを装着するので、そこそこの匂いは吸収されるんだそうです。
「でもそのフィルターで油分は吸収されませんよね」
「されないですね」
「あのぉ私、日本人なので、色々な香辛料とかも使うんですけど」
「それだとこの換気法では無理ですね」
と、排気口が通っているはずの上のキャビネットを開けてみると、
排気管、通ってなくて塞がれてるしーーー。
この家を買う時にご本人から聞いたんですが、売り手オーナー夫人は料理が大嫌い。
メインディッシュはほぼ毎日、ご主人が外でバーベキューしていました。
ガス台もほとんど使った事がなくて、新品同様ピカピカ、オーブンと電子レンジにある程度使い込んだ形跡があっただけです。
それで排気が吹き戻っても大丈夫だったのかもしれません。
というか、換気扇使った事なんてなかったのかも。
実は家探しを始める際、子供の学校を変えないというのと、何も手を入れなくてもすぐ住める家というのが条件だったんですが、このままでは今まで通りのごはんは作れないという私に夫が恐れをなし、急遽、換気扇を取り替える事に。
電子レンジが上についているとカウンターの上がスッキリしていいんですが、背に腹は代えられません。
面白い事にキッチン専門店に行って換気扇を見たいと言ったら、あなたはアジアの人だからよく料理するんでしょう、と店の人がすっかり心得ていて、見た目はよくても働きは悪い製品は素通りし、一番強力なのから3機種ほど勧めてもらいました。
長年の経験で誰がどんなものを求めているのか分かっているというか。
その店員さん自身が調理師の資格を持ち、以前はシェフだったそうで、これだったらフランベしても大丈夫ですよと勧められたのがこちら。
「あのぉ私、お酒は使うけど火はつけないんですが」
「でもアジアの料理は炒めたところに調味料とかジューッとかけ回して湯気がたくさん立ちますよね」
そういうのもフランベというんだと、勉強になりました。
工事の業者もそこで紹介してもらいましたが、
「ガス台のある壁の反対側が外壁じゃないのなら、あらかじめ排気管が通っていなければその反対側の壁をひっぺがしてダクトを入れないとならないです」
「ええええええ、反対側はフォーマル・ダイニングルームなんですけど」
「この壁をこわすのはもったいないですが、仕方ないですね」
もったいなさすぎですーーー。
大工事そうだしーーー。
私があまりにもガッカリした顔をしたのか、この築年だと恐らくどこかに管は通っているはずだから、まあ開けてみれば分かるからと、よってたかって慰められました。
だけど、といいうことは古い家だと換気扇の用をなしていなくても普通っていうこと?
「普通ですよ」
コレコレコレコレ。
「新築の家は必ず換気扇の排気口は外へつながっている事と決められている自治体もありますが、そういう新しい規制はそれ以前に建てられた古い家には適用されず、たまに屋根裏に突き抜けただけで外に出ていなくて、信じて換気しているうちに火事の原因になったりする場合もあるんです」
危なすぎるでしょうそれって。
でも私、古い家にも都市部のアパートにも住んだ事があるんですけど、弱々しくても換気は外に出ていましたけど?
「それはラッキーでしたね」
ラッキーなだけだったのか(^^;
アメリカに住んで20年、初めて知らされる事実でした。
そうやって覚悟させられて始まった工事でしたが、またまた驚いた事に、調理台を動かし電子レンジを外してみたら、ちゃーんと排気口が通っていたんです!
工事の人も驚いて、ちゃんと外まで通じているのか確認のために壁を切り取ってみて送ってくれた写真がこちら。
なんということでしょう・・・。
排気管は下に向かって伸び、地面を伝って外へと出ていたのでした・・・。
つまり新築のときには通っていたのにリモデルしたときにわざわざ電子レンジで塞いでしまっていたんです。
だけど電子レンジ兼用型換気扇って、外へ排出するようには出来ないものなんでしょうか?
「そうしてあるモデルもありますが裏で配管工事が必要なので予算がかさむし、どこにも繋げないで上から出す形のほうが機種が豊富ですから見た目のいいのを選べますから」
えええええ。
「自分としては外に排気しなくて何が換気扇だと思いますけどね」
そうでしょうそうでしょう。
というわけで無事に使える換気扇が付き、電子レンジを取り去った後の壁は予備で残っていたタイルで無事に葺きなおされて、そんな大仕事があったとは全く分からないようきれいに直してもらいました。
それにしても外へ排気しない換気扇が普通に存在するとは、本当に勉強になりました。
この次に家探しをすることはもう無いかもしれませんが、もしまた機会があったときには気をつけようと思います。
電子レンジが下がっていない分、明るくなって調理もしやすくなり、めでたしめでたしです。
(12月お題"キッチン")
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