[お題]満開の花束はファーマーズ・マーケットで!パイクプレイスの花屋さんのトリビア

公開日 : 2015年10月28日
最終更新 :
筆者 : Eko

アメリカで花束を買うというと、すぐに思いつくのは生花店、スーパー、そしてファーマーズ・マーケットです。

スーパー?とお思いになる方は多いと思いますが、大きな店舗になるとほころびかけの1番きれいな時のバラ1ダースとか、可愛い花器付きのフラワーアレンジメントとか、なかなかあなどれません。

昔はお店によっては生花店が入っているところもありましたが、今はスーパーに生花部門があるほうが多いようです。

でもやはり種類が選べるのはきちんとした生花店です。ただ、お花もネットで注文&配達が普通になってきた昨今、昔ほど町中で「お花屋さん」を見かける事はありません。今後はネットでタイアップしているところが生き残って行くのかなと思ったりもします。

ところでスーパーでも生花店でも、お花は長持ちするようにつぼみの時点で入荷します。花束を作ってもらうと満開のお花は少なくて、贈った先で1日2日たったころに満開になるような感じになりますよね。

でも、もしカジュアルにウワッと豪華な花束をというときにはファーマーズ・マーケットに行くのが正解です。あちこちのマーケットを回りましたが、だいたいが今満開できれいなお花を持ってきているお店が多いです。

ダウンタウンから一番便利なファーマーズ・マーケット、パイクプレイスに軒を連ねる花屋さん達も、満開のお花をたくさん並べています。

PikePlaceFlowerShop.JPG

このたくさんの花屋さん達には面白い話があります。

通りすがりに見て行くと東南アジア系の店主が圧倒的に多いですが、そのほとんどが少数民族モン族(Hmong)の人々なんです。

1980年代、シアトルがあるキング郡はラオスからの難民、モン族を積極的に受け入れました。1960年代〜1970年代半ばにかけてのベトナム戦争とラオス内戦で難民になった人達です。

そのころは難民を受け入れるための知識も今ほどではなく、衣食住を確保して英語を教えてという基本的なことから始めたのですが、もともと山岳地帯で農耕に従事していた働き者の人達は、環境の変化に付いて行けず、仕事もなく日々の張り合いを失い、鬱状態に陥ったのだとか。

それでも女性達は、待った無しの家事や子育てに助けられて気を取り直し、まず自分達が一番得意な農作業から始めたそうです。

ところが、素朴なモン族の人々の目には「使われていない土地は耕していい土地」とうつり、手っ取り早く耕し始めたのが、高速道路の路肩続きの空き地でした。

そしてラオスでは昔から鎮痛剤として使われていた阿片、その原料の芥子を、生活必需品として栽培し始めてしまったそうです。

違法薬物の原料がニョキニョキ生えてきたのを見つけた交通局のお役人や交通課の警官達は、さぞやビックリ仰天したことでしょう...。

それであらためて耕していい土地が与えられる事になったそうです。

これは、当時は研究対象でもあったモン族のプロジェクトにも携わっていた文化人類学の教授から聞いた話です。芥子の栽培については検索しても文献は見つけられませんでしたが、そうやってもともと花を育てる事が上手だった人達が、最初に始めた野菜作りからだんだんお花作りにシフトしていったのはお花の方が高く売れるから、というのはよく知られた話です。

いまやパイクプレイス・マーケットの花屋さんの40%がモン族か、その血統の人々だそうです。花屋さん達は花の時期が終わればドライフラワーの花束に切り替え、1年中そこで店を出しています。

マーケットで求めた大きな花束を抱えてダウンタウンを行く時、いつもとても幸せな気持ちになります。

お花の威力なんですね。

Pike Place Market

住所:Between Pike and Pine sts. at First Ave., Seattle, WA 98101

TEL:206-682-7453

(10月お題"お花屋さん")

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