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韓国/ソウル特派員ブログ 旧特派員 田端 かや

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1998年4月30日

小劇場で話題の演劇はいかが?


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小劇場で話題の演劇はいかが?

 新人女性作家の「母と娘」をテーマにした地味な小説『マヨネーズ』は、今年に入って本屋のベストセラーコーナーに並んでいた。
 小説は、年老いてからだの不調を訴える母親が、ある時娘の家にやってきてそのまま居座るところから始まる。久しぶりに一つ屋根の下で過ごす母と娘の揺れ動く関係がテーマだ。読みながら、その母と娘の姿にある時には共感を、またある時には拒絶や嫌悪を感じた。
 息子に恵まれなかった母親は娘の世話になることを口癖のように嘆く。そう、韓国では立派な息子に老後を任せるのが母親の夢なのだ。年取った姑を実の母親のように介抱する嫁はこの世で一番美しいもののように語られる。娘が仕事で忙しく夕食の準備もしていない時に、「息子の嫁がいたらきっと親身に世話してくれるだろうに」と口走る。娘はそんな母親の口癖を聞き飽きたのか、目もくれようとしない。母親の言葉にも深刻さは感じられず、むしろユーモラスでさえある。

 一見韓国の典型的な母と娘だが、アルコール中毒の夫に先立たれた母親は、おおらかでロマンチストでもある。晩婚で現在妊娠中の娘は自立心が強く自分の将来に漠然とした不安を抱いている。小説は特にこれといったストーリーがあるわけでもなく、日常の些末な出来事が繰り返されるが、逆に二人の性格や考え方の違いが生き生きと伝わってくる。

 最近、この小説が演劇になった。『マヨネーズ』の作家、チョン・ヘソンも脚本を担当し、小説の中で表現したかったメッセージをうまく演劇化している。 
 舞台で母親役を演じる俳優の魅力もこの演劇で大きな意味を持っている。俳優チェ・ソニョンは末期癌患者で乳がんの手術で乳房を一つ失っている。一時は舞台に立つのを控え治療に専念していたが、抗がん剤の苦痛は彼女から生きる意味を奪ったという。残り少ない生を演劇にかけることにした彼女は、治療を中断し『マヨネーズ』の母親役を引き受け、話題になった。

 さて、この題名のマヨネーズ。アルコール中毒で苦しむ夫の看病に疲れ果てた母親が、美容のためマヨネーズを髪に塗りたくる回想シーンがある。娘は父親の看病というより虐待に近いことをしている母親の姿にショックを受ける。娘にとって限りなく犠牲的な母親像は、母親自らの行為によって裏切られたわけだ。この思い出は二人の間でタブーにされてきたが、母親との同居をきっかけに過去の不信とわだかまりは解かれていく。演劇を見ながら、知らないうちに母と娘のコミュニケーションにひきつけられる。ちなみに母親の言葉はひどい慶尚道なまりだ。韓国語が分かればなお楽しめるが、分からなくても役者の魅力と母と娘のやりとりに韓国的なものを感じ取れると思う。ソウルに星の数ほどある、小劇場をのぞいてみるのも面白いかも。
 
*公演日時:5月24日まで(毎月曜と5/13、14は休み)
火・木は午後7時30分から
金は午後3時と7時30分、土時と7時30分の2回公演
*場所:劇場「魔女(マニョ)」TEL02-324-6008(英語可、予約無しでもOK)
弘益大学正門前から右手に150m
地下鉄2号線新村(シンチョン)駅1番出口を出て、7番バスに乗ると劇場前を通る。向かいの有名な劇場「サンウリム ククチャン」で降りるといい。
*料金:15000ウォン(母と娘の場合20%割引)

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カテゴリー エンターテイメント・音楽・ショー
1998年4月30日
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    • 特派員プロフィール
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      田端 かや
      1991年3月より韓国在住。大学卒業後、韓国へ語学留学。その後、韓国政府奨学生として梨花女子大学大学院女性学科で学ぶ。韓国人と結婚、一男一女を出産。現在は育児のかたわら、翻訳やライターの仕事をしている。子どもを育てる環境を求め、ソウル郊外へ引っ越し、共同育児運動に参加。現在はソウル在住。関心分野は韓国社会と女性、食文化。

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