韓国版お雑煮「トックッ」は一年中食べられる

公開日 : 1999年02月13日
最終更新 :

セヘ ポッ マー二 パドゥセヨ!(新年、福がたくさんやってきますように)いよいよ韓国のお正月です。 今、デパートや銀行では華やかな韓服(ハンボク)を着た店員たちが迎えてくれます。不況の中でのお正月を少しでも明るくというサービスとか。たしかに例年に比べて盛り上がりに欠ける気がします。地方行きの特急列車はすべて予約済みらしいですが、田舎に行かない人も多いそうです。昨日のニュースでは、大統領夫人のイ・ヒホさんが貧しい家にお雑煮セットを配っている姿が映りました。空港が連休を海外で過ごそうという人でごった返す中、お雑煮を食べる余裕もない低所得者層が存在するのもまた、韓国の現実でしょう。 韓国のお雑煮は「トックッ」と言います。これは直訳すると餅スープという意味。韓国では「トックッ」を旧正月の朝に食べると一歳年を取ると言います。新年の挨拶も、「トックッ、食べましたか」と言ったりします。 この「トックッ」は日本のお雑煮とはかなり違います。まず、餅がお米でできているので、日本のような粘りややわらかさがなく、どちらかというとこしが強くてつるりとしています。形も小さくて薄い小判型で、スープの中にぎっしり入っています。スープも家によってだしの取り方が違い、たいていは牛か鶏のようです。昔は雉でスープを作ったとか。ニンニクと胡椒が入り、とても体が温まるスープです。 そう言えば韓国の新聞には日本のニュースとして、お正月にお雑煮をのどに詰まらせて死亡した年寄りの話が載ります。ある韓国人から「どうして日本ではこんな悲しいことが起こるのか黷閧Bたしかに韓国の「トックッ」がのどに詰まったという話は聞きません。餅の種類が違うのだと説明をしておきましたが。 さて、「トックッ」はお正月だけの家庭料理ではなく、食堂の立派なメニューです。韓国の街を歩いていると、肉まんや餃子などを蒸しながら売っている店があります。韓国では小麦粉などの穀物の粉を使った料理を出す店を「プンシクジョム(粉食店)」と呼び、必ず「トックッ」もあります。また「トッ マンドゥ クッ」と言えば、餃子(マンドゥ)入りの「トックッ」です。これはお腹いっぱいになりますよ。どれも自家製なので、とてもおいしく、値段も3000ウォンくらいで手軽な食事です。 韓国の友達とプンシクジョム(粉食店)に入った時のこと。わたしは大好きな「トックッ」、友達は「トッラーミョン(餅入りインスタントラーメン)」を注文しました。友達はあっという間に麺と餅をたいらげ、残ったのは真っ赤なスープ。少しちょうだいとわたしの餅をもらってはスープに入れていた彼女ですが、ついに「パプ(ご飯)」を追加注文し半分は自分のスープに入れ、半分はわたしにくれました。わたしは食べても食べても果てしなく続く餅と格闘中でしたが、ご飯を入れたスープがとってもおいしそう。ついついスプーンを伸ばし、ついにはふたり真っ赤なスープと白いスープを分け合ったのでした。プンシクジョム(粉食店)ではこういう韓国ならではの光景があります。 それにしても「トックッ」を普段食べても年を取ってしまうのでしょうか。韓国人に聞くと、同じ物でも旧正月の朝に食べるものだけ年と関係があるそうです。安心して食べられますね。

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