山城の残る町、城北洞(ソンブクドン)散策

公開日 : 2000年04月20日
最終更新 :

 「市内(シネ)に出かけます」と言う言葉を聞くたびに、なんだか不思議な気持ちになる。ソウル市内に住んでいる人が明洞(ミョンドン)のロッテデパートだとか、光化門(クァンファムン)の教保文庫あたりに出かけるときに、そう言う。すっかり大都市になってしまったソウルだが、人々の頭の中には街と言えば、「市内」であり、それは今でも城郭内という認識があるようだ。渋滞に巻き込まれながら、南大門や東大門を眺めていると、その昔王朝が栄えていた頃の城郭都市の面影を感じることはできるが、「市内」感覚は外国人には今一つぴんとこない。 ソウル中心に位置する王宮景福宮(キョンボックン)の北には、その名も「城北(ソンブク)」という地域がある。城郭都市を取り囲む山城を背景に、閑静な住宅街が広がっている。地下鉄4号線漢城大(ハンソンデ)駅からのんびり歩いてみよう。10分ほどで雑踏から離れた静かな町並みが広がり始める。おすすめは山城歩きと「澗松(カンソン)美術館」、そして伝統茶屋「壽硯山房(スヒョンサンバン)」 国宝級の所蔵品で知られる「澗松(カンソン)美術館」は、小学校近くの樹木がうっそうと茂る小さな森の中にある。焼き物や書などをゆっくりと鑑賞するにふさわしいロケーションだ。 伝統茶屋「壽硯山房(スヒョンサンバン)」は、もともと小説家李泰俊(イ・テジュン)が執筆活動をするために、故郷の江原道(カウォンド)の韓国伝統家屋を解体し、ソウルで建て直した家。 1904年生まれの彼は、1930年代韓国文壇で短編小説や随筆を独特の美的感覚によって表現した。その後朝鮮戦争中、北朝鮮に渡り、韓国の地を踏むことはなかった。現在まで彼の家族が暮らしつづけてきたこの家を、最近ソウル市が地方民俗資料に指定、一般に公開されることになった。 作家が自ら植えた樹木に囲まれた庭を眺めていると、そこだけ別の時間が流れているようだ。昼ならなつめ茶やカリン茶などの伝統茶、夜なら松の葉の薫りがする伝統酒ソルソン酒や菊花酒(クッカジュ)がおすすめ。 すぐ目の前に見える山城まで足を伸ばしてみよう。山城に沿って歩くと、ソウル城郭市内が一望でき、タイムマシーンではるか昔を旅するような気分が味わえる。「澗松(カンソン)美術館」電話:02−762−0442開館時間:10:00〜18:00行き方:地下鉄4号線漢城大(ハンソンデ)駅下車、6番出口を出て路線85のバスに乗り、「城北(ソンブク)初等学校」前下車「壽硯山房(スヒョンサンバン)」電話:82−2−765−3832営業時間:11:00〜22:30行き方:地下鉄4号線漢城大(ハンソンデ)駅下車、6番出口を出て路線85のバスに乗り、「サンタリ」停留所まで5分。または、タクシーで「城北(ソンブク)2洞事務所前」まで5分。

821.jpg

「壽硯山房(スヒョンサンバン)」は素朴な白と黒い瓦の塀が目印。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。