【レポート】本場アメリカのバーベキューって何?

公開日 : 2015年09月10日
最終更新 :
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9月7日、以前告知させていただいたように、本場アメリカで100年以上食べ継がれているバーベキューの技を修得するためのバーベキュー検定試験が、約2年ぶりにここ湘南でも開催されました(会場:SHONAN Bar-B-Q)。

バーベキューなんて、キャンプ場や河原などでグリルでお肉を焼いてみんなでワイワイ食べること、と思っていらっしゃる方が多いのではないかと思いますが、実はとっても奥が深い!

今回体験させていただいたバーベキュー検定試験初級では、日本人の考えるバーベキューと本場のバーベキューの違いから、バーベキューのマナー、上手な炭の熾し方、火のコントロールの仕方、ステーキやチキン、リブ、野菜、デザートなどの基本的なレシピを学びながら習得できるというもの。

今日はその内容をダイジェストでお伝えしますね!

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本場アメリカのバーベキューは、なんといっても、これが"パーティー"であるということ。高いお肉を用意しておもてなしするというよりは、安くてなかなか食べられないようなお肉であっても、それをいかにおいしく調理してみんなでシェアするか、そして何よりゲストのみんなをいかに楽しませるか、ということ。

特に日本の焼き肉のように薄くスライスしたお肉をみんなでつついて食べるというのではなく、パーティーの主催者が大きな塊のお肉を調理して切り分け、みんなにサーブしていただくというスタイルなので、塊のお肉をいかにやわらかくおいしく調理するかというのはとても重要なポイント。そのためバーベキューで一番重要な第一歩は、もちろん火(炭)を上手に扱えるようになるということ。

火のコントロールは、まず着火から。一番下に着火剤や燃えやすくふんわりと丸めた新聞紙などを起き、その上に燃えやすい炭、さらにその上に着火しにくいけれど長く火が熾きている炭をできるだけ高く積み上げ(二弾ロケット方式)、一番下の着火剤または新聞紙に着火します。

写真に写っているのはバーベキュー協会が掲げるバーベキュー三種の神器のひとつ、"チムニースターター"と言って、チムニースターターの内外の気圧が炎の熱で変わることによって絶えずサイドに空いている穴から空気が入り、煙が自然と上に上がって放置しているだけで状態のいい炭を作れるというもの。もちろんこのチムニースターターがなくてもできるだけ高く炭を積み上げ、空気がうまく循環するようにしてあげることで同等の効果を得られますよ。

ちなみにこの炭熾しには大体30分くらいの時間がかかるということを念頭に置いていろいろ準備しましょうね。

また海外のバーベキューではこの何も焼けない時間もゲストを楽しませることができるようにアペリティフのような食前のおつまみを用意しておもてなしをするようですよ。

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そして火が熾ったら、調理方法にあわせて火力をコントロールするため、ゾーニングをします。

炭を満遍なく敷き詰めるワンゾーン、写真のように炭のあるところとないところに分けるツーゾーン、炭を高く積み上げたところ、炭が少しあるところ、炭のないところにわけるスリーゾーンなどが基本のゾーニング。

温度の目安としてはスリーゾーンの場合、一番炭が高いところが200度、真ん中が160度、炭のないところが120度になります。網の上から大体15センチくらい上のところに手のひらをかざして「ワン・ミシシッピ、ツー・ミシシッピ、スリー・ミシシッピ(日本の"だるまさんがころんだ"みたいなもの)」と唱えた時に、ワン・ミシシッピくらいでそれ以上手をかざしていられないくらいが約200度。スリー・ミシシッピまで言えるくらいが120度になるそうなので、覚えておくといろいろ便利そう。

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さてそれではいよいよお肉を焼き始めましょう!

写真はいわゆる"ワン・ポンド・ステーキ"と言われる約450グラムのステーキを焼く場合です。

"ワン・ポンド・ステーキ"は大体自分の手のひらの一番厚みのあるところくらいの厚さがあるお肉ですが、その場合まず肉叩きかワインボトルの底などで全体を叩いたあと全面にたっぷりと塩胡椒をします。写真だと少しわかりにくいかも知れませんが、本当にかなりたっぷり全面が覆われるくらいです。

そしてこのステーキをスリーゾーンに組んだ網の一番高温のところに、網目に対して斜め45度になるように起き、ミートプレッサーなどの重石で軽く圧をかけてあげます。この時お肉の脂が落ちると炎が出るので、その炎を消すために用意しておくといいのが、100均などで売られている水鉄砲!炎が出たらすぐにそこをめがけて水鉄砲でお水をかけて炎を消します。

そしてお水に漬けておいたフルーツの木(桜でもりんごでもなんでも)の木片を炭の上に置き、グリルの蓋をしめてスモークします。

"バーベキュー=スモーク"と言って過言でないので、こうして熱とスモークを全体にまわすことで旨味のあるお肉に仕上がるそう。もし蓋のないグリルを使用する場合は、できるだけ大きいボウルなどを乗せて半スモーク効果を出すこともできるそうです。

白いスモークが蓋の間から出てきて頃合いを見計らって蓋を開け、お肉にいい感じの焼き色が付いていたら弱火の部分に載せて少し待ち、表面に肉汁が上がってきたら再度高温部分に移して10秒ほど待ってから切り分けるためのお皿にあげます。そしてさらに中央に集まってしまっている肉汁が全体にまわるのを待つために30秒ほど待ってから切り分けて、みんなにサーブ。

ちなみに焼き加減を見るときはお肉を軽く指で押してみて、その堅さで判断するといいようですが、親指と人差し指を合わせて丸をつくった時に親指の付け根のお肉の厚い部分を押した時の堅さがミディアム・レア。親指と中指を合わせた場合がミディアム、親指と薬指を合わせた場合がウェルダンと覚えておくといいようですよ!

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チキンもこのようにスモークしながら焼くのですが、やはりチキンはジューシーさを保ちつつ、生焼けをさけることが重要。そこでチキンやビーフにはこのような温度計を使用して確認するのがオススメ。

お肉の中央に温度計を指し、70度前後であれば完璧です!

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そしてこちらはみんなから歓声があがること間違いなし!のセントルイス・リブ。

写真左の網の上に乗っているリブを支えているスタンドは、アメリカなどではスーパーでも買える一般的なものですが、手元にない場合はリブをくるくるととぐろを巻くように丸めて串刺しにして立たせるという方法もあり。こうすることで2〜3つほど同時にリブを焼くことができ、かつ焼く際にお肉をひっくり返す必要がなくなって仕上がりが綺麗においしくなるのだそう。

もちろんリブは、ほろりとお肉が骨から取れるように焼きあげるのがポイントです!

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ちなみにリブには日本バーベキュー協会が日本ピュアフードと一緒に開発した"BBQラブ"というスパイス・ミックスを写真右のようにたっぷりとリブの表面にまぶし、軽く手で押さえてお肉となじませたあとにラップで包んでしっかりと馴染ませてから焼くのがオススメだとか。

なんとアメリカのバーベキュー産業はとにかく巨大らしいのですが、例えばバーベキューソースだけでも1兆円超えのマーケットを作っているのだそう!

日本ではまだ馴染みのないこうしたバーベキュー用のスパイスですが、こちらの"BBQラブ"には昆布や梅肉チップもミックスされていて、日本人の味覚に合うように開発されています。もしアメリカに旅行されることがあったら、おみやげにBBQソースを買ってきて、日本のものと味比べ、なんていうのも楽しそうですね♪

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またお肉だけではなく、お野菜もぱさつかせずにおいしくいただくのが本場流!食材の特徴を考えていかに乾燥させずにお野菜の甘みを引き出すかを考えます。

例えばピーマンは切ってしまうと乾燥してしまうので、ここは大胆に丸ごと焼きます!グリルの低温の場所にピーマンを乗せて全体にオリーブオイルを塗り、トングで持った時に柔らかくなったなというくらいまで焼きます。表面が黒く見えるのは油が焼けているだけで、実際には全然苦くなく、むしろジューシーでとっても甘い!

またしいたけは軸を取って逆さまにしてグリルの真ん中の部分に並べます。上から岩塩をミルで引きながらふりかけると、次第にしいたけから出汁がたっぷりの汁が出てきてお塩が水分を吸ってキラキラ光りだすので、そうしたら食べごろ。写真左でお分かりいただけるかもしれませんが、こうしてしいたけのお出汁が出てくるので、とってもおいしい:D

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とにかくバーベキューはゲストを楽しませるための"パーティー"なので、おいしいお肉だけでなく、いろいろなところにゲストを喜ばせるための仕掛けをするといいのですが、そのうちの一つがこのようないろいろ具材を一緒に焼く串焼き。

これまでのお肉は火加減や焼き上げるタイミングなどハードルが高そう...と思われたかも知れませんが、こういう串焼きはバーベキューならではの豪快さもあって焼き加減などもそれほど気にしなくていいので、ぜひぜひみんなで写真タイムを♪

最初はそのまま、次はバーベキューソースやマスタードでいただくなど、いくつかの楽しみ方を用意してあげるのもいいですね。

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またなかなか写真のようなバルバッコア用の台を持っている方は少ないと思いますが、こういう道具があるだけで、ただのソーセージのグリルがお店のような仕上がりと楽しみに:D

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さらに検定試験で盛り上がったパートのひとつが、こちら。パンのトースト選手権(!!)。

初級はデモンストレーションが試験内容に含まれないので基本的には見学しているのですが、半分に切った食パンが配られ、表面と裏面の2回、パンに対して斜め45度の網目をつけて、パンをきれいにトーストして1番を決めるというゲームがありました。

簡単そうに見えて実は意外と難しいらしく、パンの起き方やトングでの圧のかけかた、焼き上がりの見極めなど、実はなかなか奥深い!そしてトーストしたてのパンにはメープルシロップをたっぷりかけていただくと、いつものパンが何段も格上げされた感じ♪

ゲームで1位をとった方には、日本バーベキュー協会から、例の水鉄砲のプレゼントがありましたよ(笑)!

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そして実技見学の最後はフルーツで締めくくります!

豪快にグリルしたフルーツはなかなかおいしくて、ほっとする感じ。

でも例えば"チャレンジ・フルーツ"(グリルすることでおいしいと思う人と焼かないほうがいいと思う人が二分されるようなフルーツ...笑)を必ず一種類入れて、最後の最後までゲストを楽しませるのも忘れずに:P

こうしてデザートが出てきたら、そろそろお開きの合図なので、ゲストの方々は長居しすぎずに帰りましょう(笑)。

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バーベキューはどこでもやっていいものなのではなく、近隣住民への迷惑や環境への負担を考え、行政がバーベキューを禁じている場所があるので、バーベキューをする前は必ずそういったことを確認してから始めてください。

そして当たり前のことですが、ゴミはすべて持ち帰ります。

世界的にもバーベキュー先進国であるオーストラリアには、街のいたるところに電気のバーベキュー台やベンチなどが設置されていて、食材さえ持ってくればいつでも簡単にバーベキュー・パーティーができるらしいのですが、そんなオーストラリアの人たちが必ず持参するもののひとつが、使用したあとのバーベキュー台をピカピカにお掃除するためのしゃもじのようなものだそう。バーベキューしたあとは自分たちが来る前以上に綺麗にする気概を持ってお掃除しましょう!

ここでよく間違われるのが、炭の処理について。

炭は炭素なのでこれ以上分解することができず、自然のものだからとその場に捨てる方がいらっしゃるようですが、炭は不燃ごみになります。

火消し壺を持っていれば炭を火消し壺に入れて蓋をして火が消えるのを待ちます。一度燃えていた炭は着火しやすいので、次回のバーベキューで着火しやすい炭として再利用し、灰になるまで使い切るというのが一番オススメ。でも火消し壺がなければバケツにお水をたっぷり張るなどして炭をひとつずつお水に入れ、完全に火が消えるまで待ち、不燃ごみとしてまとめて持ち帰ります。炭は火が消えているように見えて実は中心に火種が残っていることがあるので、くれぐれも炭の処理には注意してください。

ちなみにビーチなどに捨てられた炭は非常に固く、自然に還ることもなく、ビーチを裸足で歩く方々が砂がかぶって見えなくなってしまった炭を踏んで足を切るなどの怪我がよくあるのでくれぐれも気をつけてくださいね。

以上、駆け足でバーベキュー検定試験のダイジェストをお伝えしましたが、バーベキューをもっと知りたい!という方にオススメなのが、日本バーベキュー協会がオススメする道具やレシピなどが載っている『おいしいバーベキュー (NEKO MOOK)』をご参照いただいたり、日本各地で開催されているバーベキュー検定を受けてみるということ。

次回の検定試験は、今話題の『肉ロックフェス』内で開催されますよ!

お肉に限らず、シーフードでも、お野菜だけでも楽しめるバーベキュー。実はとても奥が深いので、ぜひぜひ足を踏み入れてみてくださいね♪

日本バーベキュー協会検定試験

   9月21日   新潟県新潟市(中級)

   9月22日   新潟県新潟市(上級)

   9月23日   新潟県新潟市(初級)

   10月10日   岡山県赤磐市

   10月12日   京都府南丹市

   10月17日   愛知県名古屋市

   URL:www.jbbqa.org/index.htm

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