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シンガポール/シンガポール特派員ブログ 仲山 今日子

シンガポール・シンガポール特派員が現地からアジア地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

2014年5月31日

フレンチのようなローカルフード?! "PIDGIN"


フレンチのようなローカルフード?! "PIDGIN"

※2015年6月、閉店しました

まるでフレンチのような美しいプレゼンテーションで、庶民の味、ローカルフードのエッセンスを取り入れた、珍しい東南アジア料理レストランがある、と聞いてやってきたのが、高級住宅街、デンプシーヒル。

オーチャードからタクシーで10分ほど、緑に囲まれた広い敷地には、アートギャラリーやおしゃれなインテリアショップ、高級食材店、バー、レストランなどが並び、ひとつの町のようになっています。

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やや奥まった場所に佇む、そのお店の名前は、"PIDGIN (ピジン)"。
ピジンとは、2つの国の言葉をまぜこぜにした言語のことを指すそう。「シングリッシュ」と呼ばれる、シンガポール独特の英語では、"OK"と言う時も、後ろに中国語の強調の言葉、"Lah"をつけて"OK, Lah"と言うのが普通。中華系の家庭の中でも、中国語にマレー語の単語をところどころ挟みながら話す事も多いとか。それだけ、シンガポールは様々な国のの文化が自然に混ざりあっている場所と言えるのかも知れません。

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このレストランのコンセプトは、異なる食文化の融合。様々な文化が混じり合う、まるでシンガポールそのもののような、独創的なメニューを考案しているのは、Kenny Lim(ケニー・リン)シェフ。シンガポールと元々同じ国で、食文化も重なる、マレーシア。その中でも美食の町として知られるイポーの出身です。若干25歳と言う若手ながら、フレンチで研鑽を積んだ後、香港のミシュラン2ツ星のレストラン、"Bo Innovation" で、鬼才・Alvin Leung(アルヴィン・リャン) シェフに師事して分子料理学を学ぶなど、新しい料理を創造する情熱に満ちたシェフの一人です。

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まずは、シンガポールの名物料理、チリクラブ。美味しいけれど、カニの身を出すのに手がべたべたになるし、食べ易い料理とはあまり言えないのが難点。でも、ケニーシェフの手にかかると・・・・・・。

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この通り。CHILLI SOFT SHELL CRAB(20シンガポールドル)。殻ごと食べられる、ソフトシェルクラブをカリッと揚げてあります。ちなみに、カリカリ感がずっとキープできる、日本の天ぷら粉を使っているのだとか。そして、チリクラブのソースをつけて食べる、定番の饅頭(マントウ、小麦粉で作った蒸しパンのようなもの)も揚げて一口大にカット。外はクリスピーに、中はしっとりと仕上げてあります。そうして、下には試行錯誤を重ねて作ったと言う、特製のチリソースが。シェフ自身が、「ソースだけでも食べられるくらい大好き」というチリクラブのソースは、マントウの味に合うように、伝統的なものよりもパプリカと玉ねぎを多めに入れ、少しだけ甘めに仕上げたもの。affilla cressという、豆の芽のようなかわいらしい野菜と、赤いアマランサスの芽が入って、見た目もお洒落です。

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予め半分に切って供されているソフトシェルクラブは食べやすく、カニの味わいに、大きめに刻まれたパプリカの自然な甘みが良く合います。余ったソースはマントウのやわらかい内側につけていただくと、クリスピーなカニとはまた違った美味しさが楽しめます。affilla cressの、ほのかな豆の香りとシャキシャキした食感も新鮮。おつまみとしても食べられるチリクラブ、と言った印象でしょうか。ビールとの相性も抜群だと思いますが、チリの印象が強すぎない上品な味なので、白ワインなどとも合いそうです。ちなみに、バーとしての利用もでき、アルコールの品揃えも豊富です。

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もう1品は、甘いソースで果物や野菜、砕いたピーナッツを和えたサラダのようなローカルフード、ロジャックのソースを合わせたフォワグラ。

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メニューの名前も、そのまま FOIE GRAS (28シンガポールドル)。 フォワグラと言えば、甘いソースが定番。黒砂糖を思わせる、ロジャックのソースが良く合います。更に、和梨のような味わいのJicama(チャイニーズターニップ)、パイナップル、きゅうりなどと合わせ、ヘーゼルナッツを砕いたものが使われています。ピーナッツよりも甘い香りのヘーゼルナッツとディルの花が、ローカルフードから一気にフレンチの世界に連れて行ってくれます。焼き目の付けられたフォワグラと一緒に、このソースとフルーツをいただくと、南国ムードあふれる味わい。

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個人的には、ターニップとの組み合わせが特に気に入りました。ソースに入っているシュリンプペーストの、どこか味噌を思わせるようなコクが、味に深みを与えてくれます。そして、粗挽きの黒胡椒が添えられていることが多いフォワグラですが、初めてチリの辛味でいただきました。とはいえ、ソースに含まれたほのかなチリで、「辛い」と感じるほどではなく、あくまでも全体の味わいを引き締めるために入っている印象です。最近時々見かける、チョコレートに入っているチリのような感じでしょうか。フォワグラの下には、ロジャックの具のひとつでもある、カリカリに揚がった油揚げ(フライドビーンカード)が敷かれていて、食感の対比が楽しめます。


締めのデザートは、カヤトーストをアレンジしたケーキと迷いましたが、最新作だという、子ども時代にシェフが大好物だったと言う、バナナスプリットをいただきました。

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BANANA SPLIT(15シンガポールドル)
「今思えば、チョコ、苺、バニラの3種類のアイスとバナナのシンプルな組み合わせだったけれど、両親と食べた思い出の味」とケニーシェフ。その味を、自分なりに昇華させ、再構築し直したそう。

食べてみると、切り口をパリッとキャラメリゼさせた、完熟の濃厚な甘みの滑らかなバナナに、甘さ控えめで素材の味が生きた、様々なアイスを冷たいソースのようにして絡めて食べるような印象です。

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カカオ感の濃厚なアイスには小さなチョコレートコーティングされたクリスピーな粒が入っていて、食感にアクセントがつけられています。苺の甘酸っぱさをまろやかにまとめるストロベリーヨーグルトのアイス、蜂蜜の濃厚なうまみとバニラビーンズの甘い香りが合うバニラ。ごくごく薄く焼かれた自家製のクッキーが、繊細な印象です。横にはイタリアから取り寄せたしっかりとした味わいのチェリーが添えられていますが、下にはゴマの香りのクッキーを敷き詰め、どこかアジアンテイストな仕上がりです。

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日々、新しいメニューの開発に余念がないと言うケニーシェフ。修行先の "Bo Innovation" のアルヴィンシェフから、最も学んだことは、「料理に向き合う態度」だと言います。

アルヴィンシェフ自ら、毎日市場に自ら足を運ぶことから始まり、常に、料理のことを考えていて、先入観を持たずに、人があっと驚くような奇想天外なメニューを思いつくのだそう。アルヴィンシェフは、例えば、鳥の皮をデザートにアレンジする(しかも美味しい! )、なんて言うことも、軽々とやってのけると言います。

ケニーシェフも、同じように市場に足しげく通うと同時に、地域の生産者を大切にしているのだと言います。「もちろん、こちらでは手に入らないエディブルフラワー(食用の花)などは、フランスなどヨーロッパから取り寄せることもある。だけれども、新鮮な地域の食材を生かしたのがローカルフード。野菜などは、実際に畑に足を運び、生産者とコミュニケーションをとるようにしている」のだとか。時には生産者をお店に招いて、その食材を使った料理を振舞うこともあるそう。生産者との良い関係を築くことが、新しい料理を生み出す上でも大切なのだと言います。

ローカルの味を新しい形に昇華させる事に、今夢中だと言うケニーシェフ。将来は、ふるさとであるマレーシアに、自分のレストランをオープンするという夢を持っているそうです。

ここでしか味わえない、「シンガポールらしい」独創性あふれる料理の数々、ぜひお試しを。

<DATA>
■PIDGIN Kitchen & Bar
住所:7 Dempsey Road #01-04 , Singapore 249671
電話: +65 6475 0080
営業時間:ランチ 12:00~14:30、ディナー 18:30~22:30 日曜休
アクセス:MRTオーチャード駅からタクシーで10分ほど

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カテゴリー レストラン・料理・食材
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    • 特派員プロフィール
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      シンガポール特派員
      仲山 今日子
      元テレビ山梨、テレビ神奈川アナウンサー。現在はフリーアナウンサー、ディレクター、ライターとしてお仕事を受けています。シンガポールのテレビ局J Food & Culture TV 勤務、All Aboutシンガポールガイドブログ。趣味は海外秘境旅行&食べ歩き、現在約40カ国更新中。

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