4xFOUR ロンドンのミシュラン2ツ星、Claude Bosiシェフのスペシャルディナー
世界中からやってきたミシュラン星付き店の4人のシェフが、週替わりで1ヶ月間ポップアップレストランをオープンするというイベント、4xFOUR(フォーバイフォー)。
2週目のシェフは、ロンドンのミシュラン2ツ星、ハイビスカス(Hibiscus)のクロード・ボシ(Claude Bosi)シェフ。
アラン・パッサールの「アルページュ」のスーシェフとしてミシュラン三ツ星を獲得、同じく三ツ星の
アラン・デュカス率いる「プラザ・アテネ」を経て、自らのレストラン「ハイビスカス」をオープン。
「Chef's Chef of the year」賞を受賞し、BBCの料理番組にレギュラー出演するなどでも知られている有名シェフです。
まずは、会場となっているWhite Rabbitの名物、エスプーマで作るカクテルWhitley Neillを。
バオバブの実やケープ産のグーズベリーを漬け込んだジンで作ったカクテルで、ビターな中に、生のグーズベリーの青いココナッツのような香りが生きた複雑な味わい。
アミューズは、タピオカの粉で作った小さなシュー、グジェール。と、思いきや、中から温かいモッツアレラチーズがとろりと溶け出してきて、うれしい驚きのある一品。
そして、もう一つのアミューズは、クロードシェフのシグネチャーの一つ、フォワグラのアイスクリーム。
ワッフル生地のコーンに、フォワグラのコクが感じられるアイスクリーム、そして上にはチョコナッツが。クロードシェフは、チョコレートを料理に取り入れるのがとても上手なシェフ。フォワグラに合わせるのは、フルーツなどを生かした甘いソースが定番ですが、それをチョコレートとマンダリンオレンジで仕上げています。お菓子になりそうなぎりぎりのところを、料理にする絶妙の味のバランス。アイスクリーム仕立てなのでくどくなく、口の中ですっと溶けて、軽やかなアミューズでした。
そしていよいよ一皿目、Chestnut Mushroom, Coconut, Curry
小さな卵のようなガラスの器は丁寧に温められていて、横から見ると、様々な味のレイヤーが作られているのがわかります。ふんわりとしたココナッツのムースはとても軽く、しっかりとした甘い香りが、下のマッシュルームの野性的な森の香りを引き立てます。カレーパウダーで仕上げてあり、ココナッツカレーをムース仕立てにしたような印象。
二皿目は、King Crab, Smoked Haddock, Granny Smith Apple
アラスカ産のカニの身を丁寧にほぐし、スモークしたタラと合わせ、スモークの香りのするゼリーをドレッシングのようにしていただきます。
甲殻類と相性抜群のディルのすっきりとした香り、リンゴの青い香りは、どこか草原をイメージさせる一皿でした。
三皿目は、Organic Hen's Egg, Osietra Caviar, Light Thai Curry Beurre Blanc
オーガニックの卵を半熟卵状態にして、ナイフで割ったところにオシェトラキャビアを入れて食べるという贅沢な一品。まさにコクの競演、白ワインとバターをたっぷり使ったブールブランソース、卵黄、キャビアと、それぞれに違ったコクが三重奏をかなでます。カレーの香りは本当にほのかに香る程度。ブールブランの酸味が全体のアクセントとなり、濃厚ながら重すぎず、するっと食べてしまいました。
四皿目は、Cod a la Grenobloise
グルノーブル風の鱈は、レモン、ケッパー、クルトンの入ったバターソース仕立て。ソースを泡立てて軽く仕上げてあり、中はしっとり、生のようで生でない絶妙の火入れ。クルトンと、フレーク状のポテト、それに相性抜群のベーコンチップが下に敷かれていて、所々にちりばめられたレモンの果実の酸味が心地よい一品でした。水分を抜いたケッパーが花の香りを添えています。
五皿目は、Rougier Foie Gras, Medjool Date, Walnut & Cumin
ナツメヤシの中でも、まろやかで深い味わいを持つ、マジュールデーツにクルミを挟み込んで添えたフォワグラのポワレ。フォワグラに甘いソース、そしてこのデーツを添えて食べると、一気に中東風の味わいになるのが不思議。素材の味を生かしつつ、絶妙なアクセントを効かせて新しい料理に生まれ変わらせる、クロードシェフの技を垣間見た気がします。
六皿目は、Loin of Fallow Deer, Pumpkin & Passion Fruit, Smoked Grand-Veneur
65度で低温調理した鹿肉に、カボチャを添えて。そして、やはりクロードシェフらしいアクセントは、チャツネのような、パッションフルーツのピュレ。そして、仕上げに使われているのが、ポートワインと、なんとスモークしたチョコレートを使ったソース。メキシコ料理などではカカオのソースを使った肉料理は食べたことがありますが、鹿肉と合わせたものを食べるのは初めて。チョコレートソースの質感、キメが鹿肉と同じで、舌触りが共通しており、さらにスモークされて深くなったチョコレートの植物の香りが、鹿肉の赤身の野性的な味わいととてもよく合っています。パッションフルーツの南国らしい香りと酸味が、全体に花を添えています。
デザートは、Cinnamon Panna Cotta, Golden Delicious Apple(左)と、Traditional Tiramisu, Coffee & Cardamom(右)
パンナコッタの上に、まるで西洋梨のような濃厚な味わいのリンゴのピュレと、シナモン。
そして、何よりもインパクトがあったのは、カルダモンの香るティラミス。
甘さ控えめ、とても軽いコーヒー味のチーズムースの上には、コーヒーのソルベ、そして様々なベリーが載っています。カルダモンの香りに、中東で飲んだコーヒーの味を思い出しました。そして、コーヒーに程よいフルーティーさと酸味を与えるベリーが、コーヒーにフレッシュさを与えていました。ちょっとほろ苦く薫り高い大人のティラミス、これまでに味わったことのない味で、とっても気に入りました。
この、クロード・ボシシェフの料理は明日8日まで楽しめます。
そして、ダイニングイベント4xFourはまだまだ、個性あふれるシェフたちが登場します!
ちょうど私がお邪魔した日は、クロードシェフの長年の友人でもあり、10日から腕を振るうダビデシェフが食事にいらしていました。
そのダビデシェフについてはこちら↓
■ダビデ・スキャビン(Davide Scabin) 11月10~14日
コンバル・ゼロ=combal.zero(イタリア、ミシュラン2ツ星)
イタリア出身のシェフは、別名「マジシャン」ということからも分かるとおり、変幻自在で実験的な料理を生み出しています。現代美術館の中にある自身のレストラン「コンバル・ゼロ」は、シェフの「R&D(研究開発)」の拠点でもあります。
「実験的」というのは決して比喩ではなく、ヨーロッパ各国が共同で設立した宇宙開発の拠点、欧州宇宙機関の依頼を受けて、宇宙食の研究もしています。冒険心をくすぐる、ここにしかない料理が楽しめるはず。
■オリー・ダボス(Ollie Dabbous) 11月16~20日
ダボス=Dabbous(イギリス、ミシュラン1ツ星)
2週目に登場するクロード・ボシシェフの「ハイビスカス」でスーシェフを経た後、ファット・ダック、ピエール・ガニエール、アストランス、ノーマなど、名だたるレストランでキャリアを積んだ注目の若手シェフ。ロンドンに自らの名前を冠してオープンしたレストランは、席を取るのに1年待ちの人気店。名店で磨かれた技で「手作りの温かみのある、旬の食材にこだわった料理」を提供するのがコンセプト。
素材の味を引き出したナチュラルな味わいが持ち味だけに、シンガポールの食材がどのような形に生まれ変わるのかも楽しみ。
ブランチは4皿からなるコースメニュー、ディナーは8皿からなるコース。公式ウェブサイトwww.4xfour.sg. からチケットを買うシステムです。
VISAカードでの支払いの場合、割引価格で購入できます!
<DATA>
■4XFOUR
http://www.4xfour.sg/
会場:39 Harding Road, Singapore 249541(レストランWhite Rabbit)
【4コースブランチ:12:00~】
Visa 148シンガポールドル
その他 168シンガポールドル
【8コースディナー:19:00~】
Visa 248シンガポールドル
その他 288シンガポールドル
そのほかのおすすめレストランはこちらをご覧ください!
筆者
シンガポール特派員
仲山今日子
趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。
【記載内容について】
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