「Lewin Terrace」日本の美意識と味を盛り込んだフレンチ
去年5月にオープン、今年10月には、シンガポールの老舗グルメ雑誌の格付けで、Wine&Dineで一つ星を獲得するなど、地元で高い評価を得ている和食とフレンチのフュージョンレストラン、Lewin Terrace(ルウィンテラス)。
中心地にありながら、道を一本入っただけで、緑に囲まれた中にたたずむ閑静な一軒家レストランです。
1908年に建てられたクラッシックな建物は、イギリス統治時代の高官の自宅として建てられ、ブラックアンドホワイトと呼ばれる、伝統的なコロニアル様式の建物となっています。もともと自宅として作られただけあって、上質感がありつつも、とてもくつろげる空間が広がっています。
現場を任されているのは、五十嵐貴人シェフ。恵比寿の有名店、カーエムで本格的なフレンチを学んだシェフです。そんな五十嵐シェフが生み出すのは、伝統的なフレンチのベースを生かしつつ、日本人シェフらしさあふれる、五感で日本を感じるフレンチ。
(左が五十嵐貴人シェフ、右が嶋宏祐マネージャー)
ランチコースは38シンガポールドル、ディナーは108シンガポールドルからですが、おすすめのメニューをコース仕立てでいただきました。
食事の前に出てきたパン。ポンデケージョのようなもっちりとしたタピオカ入りのボールは、バースナックとしても人気。
前菜は、なんと八寸をイメージした盛り合わせ、その名も「FESTIN "HASSUN"」(八寸 前菜8種盛り合わせ)
一口ずつのアミューズが繊細に盛り付けられ、美しい紅葉をあしらった一品は、地元の人にも大好評とか。「手間はかかるけれど、日本らしさを視覚でも表現したい」と五十嵐シェフは語ります。内容は季節に応じて変わりますが、この日は生牡蠣をトマトとともにヴィネグレットソースで和えたものや、そば米を使ったエビとイクラの手鞠寿司など、和を感じるものになっていました。
そして、驚いたのは、もうひとつのシグネチャー、「LUNE "TSUKI"」(フォワグラのテリーヌ 月仕立て)
フォワグラをなんと、べったら漬と合わせた一皿。甘いワインとペアリングすることも多いフォワグラですが、麹の甘い香りはフォワグラによく合います。フォワグラの表面をこんがり焼いたときのような、焦げた味わいは、レモンの炭のパウダーから、そして添えられた、クリスタルポテトチップスという、とても軽くてパリパリとしたチップスは、焼き上げた際の表面のカリッとした食感を表しているような印象です。ところどころにあしらわれた、パッションフルーツの酸味と果実感あふれる香りが、フルーツソースのような役割を果たしています。
さらに、ディナーコースより、シグネチャーの「ANGRY POISSONS "MATSUKASA"」(松笠 甘鯛の松笠焼き お茶漬けスタイル)。
ひじきのピュレの上には、そば米と赤米のおこげ、そして、松笠焼きの甘鯛が載っています。元々は和食の技法の松笠焼ですが、最近はフレンチなど、ほかのレストランでも見かけるようになり、人気を博しています。それを、テーブルサイドで、カツオの出汁をかけていただく、面白い一皿です。
海の香りを閉じ込めたひじきのピュレ、おこげの部分は、表面がカリカリ。内側の赤米と香りのいいそば米が、もっちりとした食感を与えます。上の甘鯛は、カリカリのうろこの部分が、まるで桜エビのような香ばしさ。しっとりとした身との対比も見事です。カツオ出汁がどこかほっとする一品です。
この日のデザートは、「日本産ミカンのコンポートとスパーシーゼリー ミカンのソルベ添え」
甘くてジューシーな日本産のみかんをコンポートとソルベに。それに、スターアニス、クローブ、サフランといった、南国の太陽を感じるようなスパイスが効いています。
そして決め手はコショウ。唐辛子を使ったデザートなどは、だいぶメジャーになってきましたが、デザートに胡椒という、見るだけだと冒険的に感じる組み合わせではありますが、とても良いアクセントになっていました。
香ばしいアーモンドが載って、日本の材料を使いながらも、どこか南仏をイメージする仕上がりになっています。
その他にも、平日は17:00~19:00にテラス席限定でアッピーアワーを行い、北海道の唐揚げ、「ざんぎ」やトリュフフライが8シンガポールドル、ビールが9シンガポールドルなど、大切なひと時のために、ちょっと雰囲気を見に立ち寄るにもピッタリなプロモーションも行っています。
そして、毎週火曜日に行われている、女性にうれしいレディースナイトは、かなり注目!
4コースメニューにスパークリングワインの飲み放題がついて、88シンガポールドルというお得なセットになっています。マネージャーの嶋宏祐さんは、「どんどん仕掛けていって、いつも面白いことがやっているレストランと思われるようになりたい」と語ります。
実は、日本の大手結婚式場が手がけているこのルウィンテラスは、年間50件の結婚式を行っているそう、週末は結婚式で貸し切りになることもあるので、事前の確認は必須です。日本人経営ながら、結婚式のユーザーは9割が地元の人という、シンガポールに根付いているレストラン。
繊細な味と素敵な雰囲気を楽しみに、ぜひ訪れてみてくださいね。
<DATA>
営業時間:ランチ 12:00~15:00、ディナー 18:30~23:00 (無休)
住所:21 Lewin Terrace Singapore, Singapore 179290(Coleman Street の消防署とプラナカン博物館の間から入ります)
電話: +65 6333 9905
アクセス:MRTシティーホール駅から徒歩10分ほど
筆者
シンガポール特派員
仲山今日子
趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。
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