「Salt Gril」天空のレストランで、手作りの温かみあふれるモダンオーストラリア料理を

公開日 : 2016年01月14日
最終更新 :

オーチャード駅直結のショッピングモール、ION(アイオン)の最上階、展望台と同じフロアにあり、地上56階の美しい眺めと、オーストラリアのセレブリティシェフのさきがけである、Luke Mangan(ルーク・マンガン)氏の料理が楽しめる、Salt Grill(ソルトグリル)。

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天空のレストランへのルートは、展望台の受付の横の、専用のカウンターを通って、

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非日常の世界を感じさせるエレベーターで、55階まで上がります。

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ゴージャス感あふれるレストランでいただく、前菜、メイン、デザートの3コースに食後のコーヒー、紅茶がついた49シンガポールドルのランチセットが、コストパフォーマンスも素晴らしく、特におすすめです。

レストランまでのルートからもわかるように、都心の一等地、高層ビルの最上階。天井が高く、開放感のある眺め。それでも、料理はどこか、大地の温かさを感じるような、洗練された中にもほっとする雰囲気を残しています。

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例えば、コースの最初に提供されるお通しのようなバーニャカウダ。

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ナプキンにふんわりと乗せられた姿は、のどかで美しい農場の風景が目に浮かぶよう。提供されている野菜はすべてシンガポール産。水耕栽培のラディッシュや、ローカルのサヤインゲン、ニンジンなど。歯ごたえもよく、確かに新鮮です。じっくりと低温でうまみを引き出したにんにく、普通のアンチョビよりも新鮮で、酢漬けのニシンのような白アンチョビなどで造られているこのソースは、実はルークシェフが日本を旅行した際に、日本のバーニャカウダソースを気に入って、オリジナルにアレンジして作ったものだとか。確かに、日本人の舌に合う味わいです。

そして、まずは前菜。オーストラリアでは、健康志向から「ベジタリアン」の人も多く、そういった対応も進んでいます。そんな、ベジタリアンのメニューというと、どうしても軽すぎて物足りないのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この一皿はそんなイメージを覆してくれそうです。

Grilled haloumi, puff pastry, pea mousse, fig, beets, shallot

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実はギリシアなど中東からの移民が多いオーストラリアでは、中東の食材がよく使われているのだとか。自家製のパンに合わせて出てくるのは、オーストラリア産のオリーブオイルとデュカと呼ばれる、アーモンドやピスタチオ、ゴマなどのナッツと、クミンシードやコリアンダーなどを混ぜた中東の調味料。オーストラリアでは肉の周りにまぶして焼くなど、かなり広く使われているそうです。

主役は「中東のモッツアレラ」とも呼ばれるハルミチーズ。ハルミチーズの両面を軽く焼き、表面がこんがりとした香ばしく薄い層、その間にはもっちりとしたチーズ本来の食感が楽しめます。上からはほんの少し、タイムと蜂蜜のソース。蜂蜜とこのハルミチーズの塩気の対比がきいています。その下にはスライスした生のイチジク。プチプチした種の食感と甘み、そしてみずみずしい緑の香りが、サイドに添えられたグリーンピースのムースと共鳴します。そしてそれをさらに洗練されたものにしているのが、一番下に敷かれたパイ。バターの香り豊かなパイはごく薄い層にほろりと崩れ、ハルミチーズの表面のクリスピーさに、さらに繊細な印象を加えています。横に添えられたゴールデンビーツは、ズッキーニやカボチャのようなしっとりとした食感の中に、ほのかな苦みを感じる味。オーストラリアでは、「苦み」というのは比較的好まれるらしく、このほかにもケールやロマネスコなど、あくのある野菜も好まれているそうです。

シャルキュトリーと呼ばれる、ハムやソーセージを作る職人から転身、イギリスのミシュラン二つ星「Waterside Inn(ウォーターサイドイン)」でキャリアを重ねたルークシェフ。

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前菜の中でもう一つのおすすめ、House cured charcuterie, smoked ham, venison salami, duck bresaola,chicken liver parfait, grilled toast, pickles, pear shallot chutnetyは、そんなルークシェフのキャリアが生きた味。すべて、オーストラリアのミシュランの星に値する、「ハット」を取るはるか昔、18年前のレシピそのままの、まさにお店の定番中の定番です。パンなどすべてのメニューは自家製で、加工品は一切使わないのがお店のこだわり。もちろんこのシャルキュトリーも店内で作られています。

鹿のサラミは、スパイスの中にほんの少し野性味を感じる、赤ワインにぴったりの味。桜のチップで燻製した豚のスモークハムは、桜の香りがふわっと香るほのかな塩気の優しい味。鴨の生ハムは、鴨の脂の甘さを堪能できる味。クミン、フェンネル、コリアンダーで24時間マリネした後、ドライチリ、コリアンダー、ローズマリー、タイムをまぶしてから3週間ドライエイジドしたという、熟成感あふれる品。

そして、私が一番気に入ったのが、鶏肉のレバーのパルフェ。臭みがなく、ほとんどフォワグラのような濃厚さです。クリーム分が多く、口の中でとろけますが、ところどころに刻んだレバーが入っており、食感のアクセントになっています。

添えられているのは、洋ナシとキャラメリゼしたエシャロットのチャツネ。粒マスタードが入っていて、食感のアクセントになっているだけでなく、アップルビネガーが甘く奥行きのある香りを添えています。まるで、よく熟したブドウで作ったレーズンや、遅づみブドウで作ったワインのような、香り高い引き立て役になっていて、長年定番メニューとして愛されているのも納得。

メインディッシュからも2皿をご紹介します。

Kurobuta pork assiette, grilled loin, cider cured belly, crispy skin, kale, cabbage, roasted pear

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黒豚のロイン(腰肉)は脂身の部分を含めとても柔らかく、上品な味わい。そしてばら肉はアップルサイダー(リンゴの発泡酒)に漬けこんでから、皮目をやや硬めにしっかりと焼き上げ、内側にジューシーさとうまみを閉じ込めています。カリッと焼かれた表面はナッツのような香ばしい香りがあり、ワインなどにもよく合いそうです。スターアニスなど、中華と共通するスパイス使いも、シンガポールでは好まれそう。豚肉は部位ごとではなく、丸ごと買っているので、いろいろな部位を料理に使うことができるのだとか。皮はフィリピンの郷土食を思わせる、サクサクとしたせんべいに仕上げてあります。ソースは焼いたときにでる肉汁と、赤ワイン、アップルサイダーを使い、バターのリッチな香りが漂う品。その濃厚さを、酢を効かせた紫キャベツのピュレと、ケールのソテーでバランスをとっています。オーストラリア料理は、英国の文化の影響もあり、フレンチよりも酢を使うことが多いそう。キャラメリゼした洋ナシが添えられているのも、香ばしく、またフルーツ感が豚肉と合っておいしかったです。

そして、メインコースのもう一つのおすすめは、Seard tuna, potato, tomato, olives, capsicum, beans, watercress, anchovies, soft egg。

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オーストラリア産の小さめの刺身用のブルーフィンツナ(黒マグロの一種)を、「シドニースパイス」と呼ばれる、ショウガやターメリックなどのスパイスに漬けた後、表面をあぶって半生でいただきます。ニース風のサラダ仕立てで、冷たい温泉卵が、涼感のあるソースとして、マグロに濃厚さをプラスしています。湯むきしてからバジルやセロリシードでコンフィしたというチェリートマトは、まるで熟した桃のような甘さがあります。ホワイトアンチョビはニシンの酢漬けのような酸味、そしてクレソンなどの野性味あふれるサラダが、新鮮な印象です。ツナもあっさりしていて、野菜がしっかりとれるので、ヘルシー志向の方におすすめです。

デザートからも2皿。

まずは、Cheese selection(追加料金+12シンガポールドル)。2種類のチーズが楽しめるセットです。

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この日は、青カビと白カビのチーズでした。ニュージーランド産のKikorangi(キコランギ)と呼ばれるチーズは、青カビの刺激は比較的マイルドで、ミルキーなテクスチャーの中に、ブルーチーズならではの香りと味わいがあるチーズ。とてもクリーミーで食べやすいです。横に添えられたみずみずしいマスカットのようなブドウとベストマッチでした。

そして、もう一つはフランス産の白カビチーズ、Saint Nectaire Fermier(サン・ネクテール・フェルミエール)。コンテチーズのようなナッツの香りがありつつ、内側はトロリとしています。こちらは、小麦粉と塩で作った生地をオーブンで焼き上げた手作りのクラッカー、Lavosh(ラボッシュ)とベストマッチでした。小麦粉のシンプルな味わいと、この熟成感のあるコクがよく合います。オーストラリアではよくチーズの横に添えられているという、西洋カリン、クィンス(Quince)ペーストも、芳醇な果実味を加えていました。

デザートは日替わりですが、この日はラズベリーとホワイトチョコのパンナコッタ。

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イチゴミルクのラズベリー版、と言いたくなるような、ラズベリーの酸味をホワイトチョコが優しく受け止める、まさに鉄板の組み合わせ。生のみずみずしいラズベリー、酸味と香りを凝縮したフリーズドライ、そして甘くミルキーなパンナコッタ。上からふわりとかけられたパウダーが全体の味をまとめる役割を果たしています。

食後のコーヒーは、カプチーノやラテなども追加料金なしで選べます。私はラテにしました。

香り高いコーヒーと程よいミルク感のおいしいラテでした。

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ランチは11時から、友達とゆっくり話したい、だけれどもお迎えが気になるママにもうれしい時間設定。

気分が上がる眺めを見ながら、美味しくてボリュームたっぷりのモダンオーストラリア料理に舌鼓を打ってみてはいかがでしょうか?

もちろん、ビジネスシーンや記念日などにもぴったり。都会的な景色と好コントラストの、どこかほっとする手作りにこだわった温かい味わいは、きっと一緒に食べる人との距離をもっと縮めてくれるはずです。

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■ Salt Grill & Sky Bar (ソルトグリル・アンド・スカイバー)

営業時間:ランチ 11:00~13:45、ディナー 18:00~21:45 (日~木曜)~22:15(金・土曜/いずれもラストオーダー時間、無休)

住所:2 Orchard Turn, ION Orchard, #55-01 & #56-01 Singapore 238801

電話: +65 6592 5118

アクセス:MRTオーチャード駅直結、(ion4階の専用レセプションを通ってから展望台と共通のエレベーターで55階へ。)

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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