フランスのミシュラン三ツ星、Flocons de SelのEmmanuel RenautシェフがStellar at 1-Altitudeへ!
フランスの山間にある三ツ星、Flocons de SelのEmmanuel Renaut(エマニュエル・ルノー)シェフが、シンガポールで2日間限りのスペシャルイベントを開催。
ミシュランシンガポールのオフィシャルパートナー、Robert Parkerとのコラボレーションのイベントだけあって、すべてのワインがパーカーポイント90点以上のワインというスペシャルなペアリング付き。その様子をご紹介します!
ランチタイムスタートの12時ちょうどにStellar at 1-Altitudeに到着すると、Emmanuelシェフがスタッフと最終打ち合わせ中。ハーブのソースなどの味見を行っていました。(写真右端がEmmanuelシェフ)
まずはパーカーポイント90点の、Champagne Ruinart Blanc de Blancに合わせて、アミューズが登場します。
外側カリカリ、内側しっとりのパンとタルト、Vegetable tartelette。バターの香り豊かなタルト生地の中にはアンチョビのソース、上にはゆでた大根のスライスが。
一口サイズのアミューズは、黒い生地のPuffed bread, polenta and celery from the mountains。中からは、ポレンタとサフランのソース。かなり柔らかめのペーストで、中からじゅわっとペーストがあふれ出します。サフランの蜂蜜を思わせる花の香りと、ポレンタの自然な甘みがマッチしていました。
Smoked alp milk as a beignet、外側をカリッと揚げたボールのようなものの中には、スモークした牛乳が閉じ込められています。
そして、ここからがテイスティングメニューのスタート。
パーカーポイント91点、Bouchard Finlayson Missionvale 2013は、南アフリカのシャルドネで、程よい酸味にバニラの香りがふわっと広がります。
こちらと合わせたのは下の2品。
Gnocchi of parsnip and red beetroot, stock from the garden with horseradish
ビートルートの鮮やかなワインレッドが際立つパースニップのニョッキは、ほのかに甘く、シャキシャキのビートルート、パルメザンチーズと一緒に盛り付けたところに、パセリとマッシュルームのクリアな出汁を入れていただきます。
元々、ベルギーとの国境近く、北部で山の多いエーヌ県で育ったというEmmanuelシェフ。スキーが大好きで、Flocons de Selも、スイスとの国境にほど近く、山深いオート・サヴォワ県にオープンしたのだといいます。
特徴は、山に自ら分け入って取ってくるハーブや食材。「今は茸がたくさん採れるんだ、ほら」と、3人のお子さんと一緒に採って来たという、様々な種類の茸を見せてもらいました。残念ながら、シンガポールには持ってこられなかったそうですが、そういった食材を多用するEmmanuelシェフらしく、この出汁にも、パセリの野性味あふれる緑の香りとマッシュルームのきりりとした旨味があり、まるで日本の摘み草料理のような、凛とした味わいが随所に感じられます。
野菜の自然な甘みとからめ、山沿いの地域らしく、パルメザンチーズでコクをプラスしています。
Spaghetti of salsify, lightly smoked with truffle from Alba
もう一品は、Salsifyと呼ばれる、西洋ごぼうのスパゲッティ仕立て。ほのかにスモークをして、アルバ産の極上のトリュフと合わせてあります。
西洋ごぼうは、大根のような味わい。塩漬け卵黄をペーパー状にしたもので、コクをプラスしています。(ちなみに、シンガポールの塩漬け卵黄とはまた違うものだそう)
パーカーポイント90~92点なのは、Petitte Haut-Lafitte Blanc 2014。
ほのかな草原のような香りで、酸が比較的強く、後味に上品なバニラ香が残ります。
Caviar and langoustine, citrus, white cheese, gentiane roots
生のラングスティーヌの上に、キャビアを敷き詰め、マンダリンオレンジとグレープフルーツのピュレを飾っています。中にはコクを与える白チーズ、サイドにはすっきりとしたレモンバームのゼリー、緑色のものは、ヨーグルトとほうれん草のピュレ。滑らかなラングスティーヌとキャビアは同じ濃厚さと食感、コクがあり、卵黄の代わりにキャビアを使った、エビのタルタルという印象。Gentiane(ゲンチアナ)と呼ばれる、苦みのあるリンドウの仲間の根をアクセントに使い、全体の味の輪郭を際立たせています。
同じく90点の Chateau de Fieuzal Blanc 2012 は、白い花の華やかな香りが広がるワイン。
こちらと合わせるのは、この魚だけはとEmmanuelシェフが持ってきた、シグネチャーのCoregonという、レストランのそばの湖で獲れる魚。Fillet of coregon, cooked in salt,sauce of mountain herbs
ラベンダーソルトでをまぶして軽く燻製したという、ほのかにスモークの香り漂う滑らかな肉質の魚で、塩漬けしてある分、食感も少しまったりとした印象。とはいえ、塩辛すぎず、臭みもなくて、刺身を食べているような、自然な味わいです。酸味のある小さな丸い葉と上には紫色の海藻、チーズのソース。サイドにはレモンバームのピュレがあしらわれていて、白身をかんきつ類と塩でいただく日本の刺身を、ヨーロッパ風に解釈したらこんな感じになるのかも?と感じる一皿。
93点のChateau Malescot, Margaux 2012、濃厚な果実味がありつつ、まろやかなタンニンで料理をさっぱりと仕上げるバランスです。
Biscuit of pike, grilled onion jus、表面を焦がした卵のフランに、玉ねぎと牛肉出汁を合わせたソース。
実は、フランスのL'arpege(アルページュ)、Alain Passard(アラン・パッサール)シェフとも親交が深く、メンターとも呼べる存在と語るEmmanuelシェフ。1990年代後半に、肉を使わず、野菜中心のメニューを提供することで注目を集めたシェフです。魚介類が中心の、クリーンでピュアな味わいは、どこか共通するところがあります。
中でも、Emmanuelシェフのお気に入りは、半熟卵の一皿だとか。「何度でも食べたくなるシグネチャー料理があるというのはレストランにとって大切」と語ります。こちらは、卵の表面を焦がすことでまるで表面を焼き上げた肉のような食感を生み出し、肉を使わないのに、まるで肉を食べているような満足感のある料理。
そして、最後の一皿は 仔牛が登場。Fillet of veal, cream & coffee。
まだミルクしか飲んでいないのか、やや白っぽく、とっても柔らか。ワイルドマッシュルームのソースに、ポートワインとコーヒーのエスプーマ。エスプーマはコーヒーの香りがあるミルキーな風味で、シンガポールの甘いコーヒー、「コピ」にも似た味のバランス。抹茶のような緑の香り豊かな、ソレルのような酸味のある葉のフィリングが詰まったタルトが添えられていて、牛が暮らす草原をイメージしているかのよう。このタルト生地も本当に薄くて、繊細な歯触りが、細かいところまで手を抜かない、さすが三ツ星という印象でした。
デザートはアプリコットを使った、Geranium and apricot。
アプリコットのゼリーの上に、繊細な飴の板と、ローズゼラニウムの香りのクリームが乗っています。ローズゼラニウムとアプリコット、酸味のある果物と甘い香りのハーブというすっきりとした組み合わせでした。
最後は、スモークチョコレートのタルト。
Smoked chocolate tarte, ice cream of wood
スモークしたカリカリのメレンゲに、スモークチップを入れて香りを抽出したミルクで作ったアイスクリーム。濃厚なダークチョコレートのタルトとともに、野趣あふれる仕上がりとなっていました。
山あいに生まれ育ち、スキーにハンティング(狩猟)、キノコ採りが趣味だというEmmanuelシェフ。11月にも日本を訪れる予定で、いずれレストランを出店したいとも考えているとか。
(右はStellar at 1-AltitudeのChris Millerエグゼクティブシェフ)
自然の中で育まれた味を素晴らしいワインと共に楽しむひと時でした。
Matter of Taste では、これからも様々な企画を考えているとか。詳しくはウェブサイトをご覧くださいね。
<DATA>
■Matter of Taste: A Savoy Experience with Emmanuel Renaut of * Flocons de sel
会場:Stellar at 1-Altitude(ステラ・アット・ワン・アルティチュード)
日時:2016年10月25日、26日
住所:1 Raffles Place, Level 62, Singapore, 048616
電話:+65 6438 0410
アクセス:MRTラッフルズプレイス駅徒歩1分
URL:https://www.a-matter-of-taste.com/
筆者
シンガポール特派員
仲山今日子
趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。
【記載内容について】
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