今日まで!Hal Yamashitaシェフ&Scott Websterシェフ、厳選食材で生み出した味の競演

公開日 : 2016年10月15日
最終更新 :

先日ご紹介した、ともにリゾートワールドセントーサに店舗を構える、「Syun(春)」のハル山下こと、山下春幸シェフと、ミシュラン一ツ星、Osia(オシア)のScott Websterシェフとの味の競演。初日の今日、お邪魔してきました!

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山下シェフは、Scottシェフが毎年4回行っている、Cooking with Friendsというイベントのゲストシェフとしての参加。会場はOsiaの、ガラス張りの解放感あふれる店内のオープンキッチン。お互いのシグネチャーメニューを交互に出していくというスタイルで、5コースが出てきます。

まずは、山下シェフによる冷たい前菜、

Scallop and Toro and Maguro Tuna Tartar with Smoked Soy Sauce

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パッケージに入った和菓子のようなしつらい。市販の和菓子のように、きちんと封をされた袋の端を破って開くと、なんとフレッシュな海鮮がたっぷり詰まった最中が出てきて、意外性たっぷり。

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特に油分の多いソースを敷いたりしているわけではないので、最中は水分を吸ってしまわないのですか?と山下シェフにお聞きすると、「湿気の多いシンガポールだけに、ちょっとだけオーブンで最中の皮を温めて、それから大急ぎで詰めれば、大丈夫なんですよ」と、教えてくれました。

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中は、紫蘇の葉を敷いてありました。ホタテの甘味、マグロの旨味、そして最中の皮にはお米の香ばしさがたっぷり。サクサクの皮と、刺身の食感の対比が楽しめるだけでなく、乾いた最中の皮のおかげで、中の刺身のフィリングのみずみずしさが際立ちます。

そして、山下シェフによるシグネチャーのSignature Sea Urchin Rolled By Ohmi Beef Topped with Smoked Caviar

カッティングにもこだわったという牛肉の滑らかな肉質と、ウニのクリーミーさ、キャビアのコクが口の中でとろける一品。濃厚さをポン酢のゼリーで引き締めています。そして、酸味でより際立ったウニの香りの余韻が口の中にしばらく広がり、ウニ好きにはたまらないひと時。

続いて、Scottシェフによるフォワグラの前菜、シグネチャーの、Foie Gras。

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テーブルに届いた瞬間、ふんわりと漂うバニラの香り。

トウモロコシの粉をまぶして焼き上げたフォワグラ、サイドには、エスプーマ、その上には甘いメレンゲ、コンポートなど、様々なテクスチャーのパイナップルが添えられています。そして、ソースはバニラビーンズとバターをたっぷり使い、ヴィネガーをアクセントに利かせた塩キャラメルのような香ばしさのあるソース。上にはコリアンダーの葉をあしらってあります。パイナップルの温かいエスプーマはココナッツが効いたピナコラーダ風、サクサクのメレンゲが全体を軽やかに仕上げます、甘い要素が多いものの、パイナップルのコンポートには塩とスパイスを利かせて、全体を甘すぎないバランスに仕上げるのはさすが。トウモロコシの粉の軽い歯触り、完璧な火入れで、フォワグラ自体のクリーミーさを楽しめるコンビネーションに仕上がっていました。

魚のメインは、山下シェフ。

Grilled Saikyo Miso Cod with White Miso Cream Truffle Sauce, Mashed Potato and Japanese Sweetened Chestnut with Sea Urchin Moose

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Syunで使っているという黒地の和柄のお皿に、菊や撫子など、鮮やかな秋の彩。まるで、金刺繍の豪奢な着物、あるいは紅葉がつづれ織りのように一面に流れる川面を見ているような、華やかさに思わず息をのむプレゼンテーション。

フォワグラの後でも負けない、脂の乗った銀鱈を、麹がふんわりと香る白味噌焼きに。

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贅沢にトリュフをあしらった下には、トリュフの香りのマッシュポテト、日本の栗の甘露煮、そして、私が何よりも気に入ったのが、ウニのムース。生クリームとウニを混ぜてエスプーマでフォームにして提供しているのですが、もっちりとした食感と、ウニの余韻の深い旨味が重なって、まさに絶品。生クリームのような味の上質のウニを、本物のクリームでそのクリーミーさをさらに持ち上げたような印象です。お聞きすると、実はこの栗の甘露煮とウニのデザートも考案中なのだとか。ベーコンをデザートに使う、というのは体験したことがありますが、シーフードを使ったデザートというのはまだ頂いたことがなく、とっても楽しみ。そして、甘い味を引き締める、穂紫蘇、そして、ハーブのような香りと、ほのかな苦みのある菊が、見た目だけでない存在感を放っていました。このコラボレーションの為だけに特別にアレンジされた一皿です。

肉のメインディッシュは、タスマニアの牧場でScottシェフが選び抜いた、乳のみ仔羊。

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ロースはグリルに、すね肉は煮込んで、サクサクのフィロで巻いてあります。下にはもっちりとした食感のスペルト小麦のリゾット、サイドにはナスとペコリーノチーズのソースがあしらわれています。

まず、この子羊、本当に柔らかく、肉汁にミルキーなニュアンスがあることにびっくり。「素材を大切に、手をかけすぎずに提供する」というScottシェフ。ソースを上からかけず、下に敷くだけにしているので、肉の味わいをそのまま味わってから、下のソースやリゾットと共に楽しめる盛り付け。素材の良さもさることながら、肉のきめ細かさ、繊細でジューシーな味わいを最大限に引き出すテクニックも、さすがでした。上に散らしたトウモロコシの若芽が、自然な甘みをプラスしています。

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そして、逆に旨味たっぷりのすね肉はしっかりとパンチのあるカレーヨーグルトソースと共に。羊と相性の良いクミンなどのエキゾチックな香りに、どこかマスタードのようなまろやかな酸味のニュアンスもあり、仔羊のもう一つの魅力を引き出していました。

そして、オーストラリア中を回って、野生のフルーツやスパイスを探すことが今の最大の関心事だというScottシェフならではのアクセントが、オーストラリアに自生するプラムの一種、Quandong(豪州白檀の実)。オレンジジュースに漬けてからオーブンで焼き上げたそうですが、甘酸っぱい味わいは、特にクミンなどのスパイスと好相性のように感じられました。

最後はデザート。

Scottシェフによるこちらもシグネチャー、Hot Chocolate Soup。

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スープという名前ですが、フォンダンショコラと、胡椒のアイスクリームの組み合わせ。

熱々のフォンダンショコラに、冷たいアイスクリームをかけて、温度の対比を楽しんで、という言葉と共にサービスされます。アイスクリームで冷たいはずなのに、胡椒を使っているので、口の中がポカポカと温かくなる、それでもアイスクリームなのに冷たい...という、アイスクリームだけでも異なった印象がある上に、フォンダンショコラとの実際の温度の対比が重なり、とても重層的で面白いデザート。この胡椒も実は、Scottシェフのこだわり。タスマニアでとれる、Dorrigo Pepperという木の葉を乾燥させたものと、その実を使っているそう。黒胡椒のような香りで、辛みよりも甘さを感じる香りです。ゴマをまぶし、ほんの少しだけシナモンやナツメグなど、温かみのあるスパイスを使ったチュイルと共にいただきます。濃厚なチョコレートと、このDorrigo Pepperの薫り高さがぴったりと合い、シグネチャーと呼ぶのにふさわしい、忘れられない味でした。

イベントは明日まで行われます。2人のセレブリティシェフの、2晩限りのコラボレーション、とってもお勧めです!予約は以下のメールまたは電話でお問い合わせください!

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■ Cooking with Friends Scott Webster & Hal Yamashita

会場:Osia Steak & Seafood Grill(オシア・ステーキ・アンド・シーフードグリル)

開催日時:10月14日(金)、15(土)19:00~

料金:5コースS$158++、ワインペアリング付S$198++

住所:Resort World Sentosa 8 Setosa Gateway, Festive Walk

電話: +65 6577 6688

Email:osia@rwsentosa.com

アクセス:シンガポール中心地からタクシーで30分ほど

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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