香りが鍵、記憶を呼び起こすカクテル「Tippling Club」
シンガポールでのカクテルペアリングのさきがけ、Tippling Club。レストランについての記事はこちら。今年もAsia 50 Best Barで12位に選ばれるなど、国際的な評価も高いバーです。今年から新しく、イギリス出身のミクソロジスト、Joe Schofieldさんを迎え、更に香りと味についての国際的な研究機関、International Flavours and Fregrancesと共に、新しいカクテルを生み出しました。
Tippling Clubは、バーとレストランに分かれていますが、今回お披露目されたのは、バーのみで楽しむことができるSensorium(感覚) Menuと名付けられた12種類のカクテル。
「記憶を呼び起こす香り」がテーマで、子どものころに持っていた記憶と結びつく香りや味をイメージしたという内容は、「雨」「キャンプファイヤー」など様々。
12のテーマを選んだポイントは、「誰もが子どもの頃に持っている、ユニバーサルなもの。たとえば、飲む人は、それぞれの雨のイメージを持っている。それは、アフリカの奥地で感じる雨かもしれないし、京都で感じる雨のイメージかもしれない。だけれども、雨を経験したことがない人はいないでしょう?そんな風に、誰もが思い起こすイメージをテーマにしたんです」とRyanシェフ。
6年ほど前から一緒に料理を研究開発しているという、香りに関する国際組織、IFF(International Flavours and Fragrances)の協力を得て作り上げたメニュー。
IFFの担当者からは、「香りは味の大切な構成要素。たとえば、鼻をつまんで料理を食べたら、味は全く違って感じられる。実に、味の80%は香りからくるといわれているんです。でも、香りはこれまで、味とは分離されて考えられてきた。たとえばこれからは、塩辛い味をイメージさせる香り」があってもいいはず、という説明が。
ここでもまず、香りをしみ込ませた紙が配られ、それから実際の試飲へ。
RAIN(雨)は、チョークのような大地の香りや樹木の香り、落ち葉に降る雨のような、湿り気を帯びた空気をイメージさせます。「最初は、オークモス、そして、パチューリ、ジャスミンと味が移り変わっていくのがわかるでしょう?」
上には小石をイメージした炭のスポンジをカリカリに乾かしたものが乗っています。
この他にも、キャンプファイヤーはスモーキーな香りにマシュマロミルク、焦がしたシロップにジン。上には食べられる炭の粉と、自家製のマシュマロを焦がしたものが乗っています。
この他にも、オリジナルの革に入った「Leather」は、レーズンの熟成感のある香りやオレンジのフルーティーで少しビターな印象、バニラの濃厚な香りを感じます。森をイメージさせる「Forest」は、松の葉が飾られ、記憶を呼び起こす味が揃っています。
ジョーさんは、The World's 50 Best Bars 2015で5位のThe American Bar、同じく27位で、ロンドンの名門ホテル、The SavoyにあるBeaufort Barを経て、Tippling Clubのヘッドバーテンダーとしてシンガポールへ。
「ビジョンを共有できる」というライアンシェフと、8か月かけて話し合って、今回のメニューを作り上げたのだとか。
ライアンシェフも、「話し合っている間中、本当に子どもみたいにお互いに笑いっぱなしで、楽しいんだ。お互いのクリエイティビティが重なって新しいものが生まれる、こういう瞬間が、自分の一番楽しい部分」と語ります。また8か月くらい先に、新しくてもっと難しいテーマに取り組みたいと思っている、とのこと。
人間の記憶に一番深く関わる、香りに焦点を当てたカクテルの数々。子供心に戻ってグラスを傾ける、そんな体験ができそうです!
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■Tippling Club
営業時間:ランチ 12:00〜15:00(平日のみ)、ディナー 18:00〜深夜 (日曜休)
住所:38 Tanjong Pagar Road, Singapore 088461
TEL:+65 6475 2217
URL: http://www.tipplingclub.com/
アクセス:MRTタンジョンパガー駅から徒歩7分程
筆者
シンガポール特派員
仲山今日子
趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。
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