「Bochinche」にアルゼンチンシェフが大集合、アルゼンチンフェスティバル"Comilona"

公開日 : 2016年11月06日
最終更新 :

世界でも数少ないアルゼンチン料理の専門店、Bochinche。

「特産の牛肉をダイナミックに焼き上げた「アサード」が有名なため、アルゼンチンの牛肉を使ったステーキハウスは世界中にあるものの、アルゼンチン料理を洗練させて提供するレストランがない」という思いで、ヨーロッパを中心にキャリアを重ねた、Diego Jacquetシェフがオープンしたお店です。(Diegoシェフについて詳しくはこちら)。「一生をかけてアルゼンチンの食材と食文化の豊かさを世界に伝え、若いアルゼンチンのシェフたちに道を開きたい」と語るDiegoシェフが音頭を取り、アルゼンチンの政府機関の後援の下、世界各地に散らばるアルゼンチンシェフが一堂に会し、アルゼンチンの食材をプロモーションしようというイベント「Comilona」が、先週行われました。

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(Diogo Jacquetシェフ)

ロンドンからやってきたDiegoシェフを含めて8人のシェフ、そしてアルゼンチンを代表するソムリエ1人の合計9人が、3人一組となって、3日間、日替わりで腕を振るうという内容。

私は初日、10月26日のディナー、Federico Heinzmann(前列右)、Martin Molteni(後列右)、Martin Baquero(前列左)各シェフが腕を振るう回にお邪魔しました。

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メインはこの3人でのディナーとはいえ、その他のシェフもあちこちで登場。この日のソムリエも、アルゼンチンを代表するソムリエ、Agustina De Albaさんでした。

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会場のあちこちに、アルゼンチンの食材が展示されています。トウモロコシ一つとっても、こんなにたくさんのバラエティがあるのかと驚きます。また、見たこともないハーブも。標高の高いアンデスの山合いで実る、ピンクペッパーの仲間のAguaribayだとか。

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(手に持っているのがAguaribayです)

こうして、気軽にシェフたちから、食材について話を聞くこともできます。

最初は、メンドーサ産のピノ・ノワール100%のロゼのスパークリングワインPequenas Producciones Extra Brut Roseで乾杯。

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まずはFederico Heinzmannシェフによる一皿、生ハムの入ったマドレーヌと自家製スモークドバター、Chorizo & aguaribay madeleine, home made smoked butter は、定番のマドレーヌの形ながら、生ハムの旨味が生きた塩味ベースのケーキでワインのお供にぴったり。その鉾には、"Pizza de cancha"、トマトで作ったチャツネのような印象のマーマレード、塩漬けのイワシ、海藻を乗せたピザ風の一品。

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ちなみに、Federicoシェフは、東京のPark HyattのNY Grillのエグゼクティブシェフとして働いています。身近なところに、アルゼンチン出身のシェフがいたなんて、びっくり!Diegoシェフには、「西洋料理のシェフなどとして、世界でアルゼンチンのシェフは活躍しているけれど、アルゼンチン料理を作る機会がない。自分たちの郷土の料理を洗練されて提供するレストランがもっと増えてほしい」という思いがあるとか。

次の2品は、いずれも、アルゼンチンを代表するシェフの一人、Martin Molteniシェフによるもの。

サワードゥブレッドの上に、サーモンにコリアンダーの芽を乗せ、パプリカと唐辛子のジェルを乗せて。

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アルゼンチンでは、唐辛子と一口に言っても、とてもたくさんの種類があるそう。

スコーンのような食感の生地の中に、じっくりと煮込んだオックステールを入れたウミータ(Humita)。

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元々は、南米全域で食べられている素朴な料理で、トウモロコシと玉ねぎでできたペーストを蒸しあげたもので、牛肉などのフィリングを入れることも。こちらはその生地を揚げて、中にオックステールの煮込みを入れたオリジナル。

再び、Federico Heinzmannシェフによるかぼちゃのフランは、冷やしたトウモロコシとライムのスープ、キヌアのアイスクリーム、アンデスハーブのオイルを添えて。

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こちらには、珍しい「オレンジワイン」と呼ばれるワイン、Via Revolucionaria Torrontes Brutal 2015を合わせて。

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同じくアルゼンチン・メンドーサ産。「オレンジワインとは、白ブドウを使って赤ワインの製法で造られたワインのこと。通常の白ワイン造りでは取り除かれる、種や皮と共に発酵させるので、その色素からこのようなワインになるのです」とソムリエのAgustinaさん。こちらはフィルターをかけておらず、どこか薔薇のような香りのするワインで、トウモロコシやかぼちゃなどの野菜の自然な甘さにうまくマッチしていました。

アメリカなどでもステーキの薬味として人気で、シンガポールでも徐々に出すレストランが増えてきている、アルゼンチンのハーブソース、チミチュリ。

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オレガノやオリーブオイルでできたこのソースにタラを漬け込んでから焼き上げ、カルボナーラのフォームとほのかな苦みのある塩レモン、タイムの香りのグレープフルーツを漬け込んだのは、Martin Molteniシェフ。グレープフルーツやレモンの酸味とほのかな苦みとハーブの爽やかな香り、フォームに仕立てて軽くなったカルボナーラのソースが良いバランスです。

そして、Martin Baqueroシェフは、シトラスの香りのラムにポルトワインのソースを合わせ、きりっとした苦みのあるチコリとチーズのソース、ほのかな苦みの芽キャベツを合わせています。

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焦がしたケールには、キャラメルのような香りと甘みがあります。

ここで同じくMrtin Baqueroシェフによるデザート。レモンとパッションフルーツのガナッシュ、パッションフルーツにプチプチのキヌアを合わせて、パッションフルーツの再構築のような面白い一皿。

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Federico Heinzmannシェフからは、すっきりとした、トマトとブッラータチーズを使ったデザート。

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そのままでも甘いチェリートマトを焦がして甘味を凝縮させ、クリーミーなブッラータチーズ、バジルのアイスクリーム、デザートではなくお料理になりそうなバランスの所に、バニラオイルの甘い香りでしっかりデザートに仕上げています。

最後のプティフールは、それぞれのシェフが、まさにアルゼンチンという個性あふれる食材を生かして一品ずつ作り上げたもの。

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まず、Martin Molteniシェフは、紫トウモロコシで作ったAlfajor(アルファフォール)と呼ばれるアルゼンチンの伝統的なクッキーに、定番のDulce de leche(ドルチェ・デ・レチェ)、キャラメルペーストをはさんだもの。紫トウモロコシの粉をたっぷり使っているので素朴な甘みが生きていて、口の中でほろほろと崩れる食感も魅力的でした。

Martin Baqueroシェフは、Algarroba(アルガローバ)と呼ばれる豆で作ったクッキーに、スイートポテトのペーストをはさんだもの。こちらも、麦こがしのような香ばしい香りに、豆類独特の口当たりとコクがあって自然な甘さ、アルゼンチンの大自然の恵みを感じる味でした。

Federico Heinzmannシェフは、Yarba Mate(イェルバ・マテ)のマカロン。マテ茶の原料にもなる植物、Yarba Mateを使い、マテ茶の独特の青っぽい香りとコクを生かしつつ、食べやすく仕上げています。ローストした香ばしいブラック・マテ茶と共にいただきました。

食材自体も、料理も、アルゼンチンらしさあふれる食体験でとっても印象的でした。これからも、こういったイベントを行って、牛肉のステーキだけでない、アルゼンチンの魅力を知ってほしい、とDiegoシェフは意気込んでいます。

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■Bochinche

営業時間:ランチ 12:00~14:30(平日)、11:00~15:00(土曜・日曜)、ディナー 18:00~22:30(月曜~木曜)~23:00(金曜・土曜、日曜のディナー営業はなし)、無休

住所:115 Amoy Street #01-02 Singapore 069935

電話:+65 6235 4990

アクセス:MRTテロック・エア駅徒歩2分

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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